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syanpon
2025-09-26 00:31:49
2005文字
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本日と明日は休業です
行商√
オトスバ
オットーは頭を悩ませていた。
元はと言えば自分がうっかり口を滑らせたのが悪いのだが、友人のしょうもなさと突拍子のなさを舐めていた己が憎い。
「ほらどうよ!」
「タルタルソースの帳簿つけるんであっちで遊んでもらえます?」
「あしらい方が適当!」
「
……
あんたいい歳して猫耳つけて恥ずかしくないんですか?」
「お前を揶揄うという目的がある以上そこに恥はない」
「言い切りやがった!」
――
まさか、猫耳を用意してダル絡みしてくるなんて思わないだろう。
そしてそれが今好きな相手、というのが何よりも困る。
ナツキスバルはオットー・スーウェンのことが好きだった。恋愛的な意味で、だ。異世界にきて右も左もわからなかった自分に手を差し伸べてくれて肩を組んで笑い合うことのできる頼れる友人。
正直この気持ちは恋なんかじゃなくて依存なんじゃないか、勘違いじゃないかと頭を抱えたこともあった。が、スバルはできることならオットーとキスもしたいしその先だってしたいため、これは恋だしょうがないと開き直ることにしている。
好きな人ができれば自分のできる範囲で相手の好みに近づきたい、というのは自然な感情でありスバルも例に違わなかった。
オットーが背の低い子がいいと言えばスバルはこれからずっとスニーカーを履くし、背の高い子がいいと言えば厚底を履く。髪の長い子が好きと言われたら幼少期、女の子に間違えられたきり短く揃えている髪の毛を伸ばしたってよかった。
「初恋
……
。白い猫でしたねえ」
ねこ
……
ねこ、猫!?
加護の関係もあるのだろうがどこかズレているこいつらしい、なんてスバルは感じた。それに初恋が町1番の美少女とかではなく猫であるのならば男もワンチャンあるんじゃないかな、なんて都合のいい妄想も脳裏によぎった。
――
だからといって普通の人間は、初恋が猫だからという理由だけで猫耳をつけて特攻したりしないのであるがここには誰もスバルにそういったことを教えてくれる人はいない。数日後に後悔でうずくまるとしても恋は盲目。
今のスバルは止まらないし止められない。
好きな人の好きな要素を身に纏ってみようという心構えであったがオットーがスバルの特攻を適当にあしらう度に、年上の兄に構ってもらっているような甘えの感情も出てきてしまっていた。
前述したように今のスバルは止まらないし止める人もいない。目の前をちらついてみせるところから始まった特攻はいつしかオットーの膝の上にのしかかるところまできていた。オットーの手から書類を奪い、お手製の猫耳を指先でいじりながら至近距離で青い瞳を覗き込んでにまりと笑う。
「ほら、オットー。この耳よくできてるだろ。触ってもいいんだぜ」
今日もスバルはそうやってオットーにかまちょをかける。あと5秒もすれば膝の上から落とされて追いかけっこなんかが始まるんじゃないかな、なんていう予想をたてながら上体を左右にゆらゆらと揺らした。
「
……
じゃあ、お言葉に甘えて」
「へ」
青い瞳がどことなく据わっているように感じる。なんとなくやばい、と思ったスバルだったがオットーが自分に危害を加えるわけがないため猫耳を触りやすいように頭を下げて手のひらをむかえ入れる。
オットーが耳を触る。
「ひゃん!?」
スバル自身の耳を。
「そっちじゃな
……
ひぅ」
オットーの細くて、でも男性的な節くれだった指先がスバルの両の耳を包み込むように塞いだあと耳輪をなぞり耳たぶを悪戯に引っ張って遊ぶ。
「ふ、ぅ
……
お、とぉ」
「なんですか? 触らせてくれるんでしょう?」
「そっちの耳じゃあ
……
ひぁ、」
つぷり、と指先が耳の穴を塞いでくる。右の耳はそのまま塞がれたままなのに対し左の耳の穴は爪の先で穴の周囲をカリカリと引っ掻かれ、そのアンバランスな刺激に出したくもない高い声が漏れ出てしまう。
「ぅ、に、ぁ
……
」
完全に力が抜けてしまって男の肩口にもたれてもオットーの耳をいじる不埒な手は止まることがなく指先がほんの数ミリ動くたびにゾワゾワとした感覚が全身を支配した。
「に、みぃ
……
」
「ふ、ナツキさん。その声、猫みたいで可愛いですねえ」
完全に力の抜けてしまった身体をどさりとソファに沈めらられ、オットーが上から覆い被さってくる。青い瞳が普段よりも深い色をしているのはきっと逆光故の錯覚だけではない。スバルの両腕を器用に頭の上で纏めるとオットーが歯を見せて獰猛な笑みを浮かべる。
「あんまり年上を揶揄うもんじゃありませんよ」
スバルは頭を左右に2回振った。頭につけていた猫耳がごとりと床に落ちる。どちらもそれを視線で追うことはしなかった。オットーが自分だけを視界に収めていることを確かめてスバルは「にゃあ」と一声鳴いた。
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