傘道
2025-09-24 23:35:26
1074文字
Public デイイト
 

喧嘩のち恋模様

znzrのデイイトです。
喧嘩の話です。

ドン!と木製のテーブルが叩かれる音が響く。
ピリピリとした緊迫した空気が室内を支配する。
傭兵団が結成されてからこんな空気になったのは初めてだ。
そして団長と副団長が言い争いをするなんてここに居る全員が予想しなかった展開だ。
ただニックとラティーナは仲裁を考えていなかった。
殺気に近いような空気を出しているのに。
それはお互いの主張が殺気にあってないからだ。
団長であるライトは今回の作戦でデインに負担がかかり過ぎるから減らしたいと主張していて。
副団長であるデインは作戦にかかるコストや団長の負担を考えて任せて欲しいと主張していて。
まあ、要するに互いのことを心配して怒っているのだから仲裁する必要がないのだ。
ああいうのは全て吐き出した方がいい。
それがニックの考え。
あれは犬のじゃれあいみたいなもんだからほっとこう。
これがラティーナの考え。
だから二人はただ静観している。
なんなら見学ついでにコーヒーを淹れようかとラティーナが提案し始めた。
「無茶をして欲しくないんだ!なんでわかってくれないんだ!?」
「もう少し俺のことを信じてくれよ!」
どんどん大きくなる声量。
それだけお互いのことが大事なのだろう。
「わからず屋!そんなお前なんか
ライトが声を荒げる。
これ以上はまずいかとニックが重い腰を上げようとした。
「お前なんか?」
「お前なんか
ライトが拳を握りしめて俯いた。
そのまま黙ってしまった。
言ってはいけないことを言わないという自制できたかと周りが感心していると、ライトは誰もが予想しなかった言葉を発した。
「嫌いって言おうと思ったんだが、デインのこと好きだからそんなこと言えない
翡翠色の瞳に浮かんだ熱い雫。
それをポカンと見つめた後、デインはライトを抱きしめた。
「わかったよ!俺の負けだ。ちょっと作戦見直そうぜ。俺もライトが好きだからきらいにならないからよぉ!」
そのまま熱い抱擁を交わし始めた二人。
団員の前ではライトのことを団長しか呼ばなかったデインが泣きそうな顔でライトと呼び続けている。
どうやらこれは痴話喧嘩で、恋人同士のいちゃつきになったようだ。
公開された団長と副団長の仲。
それを見た団員たちが心に思ったことは全く同じだった。
うん、知ってた。
隠しているつもりでもバレバレだった団長と副団長の恋。
これからはこそこそしなくていいんだよ。
二人の世界から抜け出せたら教えてやろうとラティーナはコーヒーを淹れ始めた。


喧嘩が終われば二人の世界が訪れるでしょう。
喧嘩のち恋模様。