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癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2025-05-05 11:14:55
3623文字
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HOME〜君のもとへ〜
ダンテおじさんの恋愛相談教室(違う)
キリエとギクシャクしてしまい、悩むネロの話を聞いてあげるダンテ。
ネロ成人済み。4〜5の間。
「俺なんかが、どうしてキリエを好きになってしまったのだろう
……
」
俺は今、ダンテの自宅兼事務所にいる。
ダンテと酒を交わしたい気分だったからだ。
事の発端は数日前。
キリエと二人で暮らし始めてから何年か経つが、最近どうも上手くいかないというか、珍しく喧嘩をしてしまった。
「帰るのが遅い」とか、「最近つれない」とか、「前はもっと優しかった」とか、キリエに言われ続ける日々。
そんな日々が続き、ギクシャクした関係にも痺れを切らした俺は、ついカッとなって言ってしまったんだ。
「そんなに俺に不満があるなら、俺と別れて他の男にすれば?」って。
そしたらキリエ、急に黙りこんだと思ったら、ボロボロ泣いてしまって
……
。
それから数日間、俺とキリエはまともに会話をしていない。
「おはよう」「いってらっしゃい」「ただいま」「おかえりなさい」「おやすみ」
それくらいだ。
挨拶を交わしているだけ、マシなのかもしれないが。
「なるほどなぁ。俗にいう、倦怠期ってやつか」
俺の話をひと通り聞いたダンテは、ボトルに入っている酒をグラスに注ぐと、それを半分ほど飲んだ。
「まぁ、どの夫婦も一度は経験するやつだな」
「夫婦って
……
まだ結婚してねぇよ」
ダンテの言葉にどこか照れ臭くなった俺は、その気持ちを誤魔化すように用意された酒をグイッと飲んだ。
俺が少し乱暴に音をたててグラスをテーブルに置いたところで、ダンテが話し始める。
「とりあえず、こうなってしまった原因を冷静に探ろうか。まず、「帰るのが遅い」に心当たりは?」
「
……
最近、遠い場所の依頼がずっと続いていたんだ。夜ご飯の時間に間に合わないことがほぼ毎日で
……
。家に帰ってくるのは、日付が変わる頃」
「「最近つれない」に関しては?」
「さっきも言ったけど、立て続けに遠い場所の依頼だったから、帰りが夜遅くになってしまう日が続いていたんだ。帰ってシャワーを浴びたらすぐに寝る。そんな日々で
……
」
「それで、昼も夜も嬢ちゃんの相手をしてあげられなかった
……
ってところか」
「いや、夜のほうは少ししてたけど
……
」
「けど、ノリ気じゃなくて、不完全燃焼でやっちまった
……
みたいな感じだろ。互いに」
「あぁ
……
」
「なるほどなぁ。それで、「前はもっと優しかった」と」
俺とキリエの状況をある程度把握したダンテは、顎に手を添えながら頷いていた。
「単純に、寂しかっただけだと思うぜ、キリエちゃん。ただ、お前の仕事に関して、もう少し理解をしないといけないな、彼女も」
「そうかもしれないけど、これ以上キリエに寂しい想いをさせたくない
……
。だけど、デビルハンターをやっている以上は、場所も仕事内容も選ぶわけにはいかないしな
……
」
そう言ったあと、俺は大きくため息をついた。
ダンテに言われなくても、キリエは俺の仕事に関して理解をしてくれている。
デビルハンターとして生きていくことを伝えた時、俺のことを信じてずっと支えていくと、言ってくれた。
仕事に行く時、いつも優しく見送ってくれて、帰ってきた時はいつも笑顔で出迎えてくれる。
そんな彼女の優しさに甘えすぎてしまったせいか、俺は自分のもとに来た依頼を全部こなす勢いで、休む間もなく仕事尽くしの日々だった。
少しでも収入を得ようと、キリエに楽をさせようと、とにかく働きたかった。どこかの週休六日の同業者と違って。
だが、その結果、一番大切な人を傷つけてしまった。
キリエのために仕事尽くしの日々を過ごした結果、彼女との時間を取れなくなってしまった。
彼女なら俺の仕事を理解しているからと、俺のことならなんでも受け入れてくれると、ほんの少し彼女への想いや扱いが雑になってしまっていたなと、今更ながら気づいた。
「俺、キリエを支えようと、仕事がんばってきたつもりだったけど、それが彼女を傷つけることになるなんてな
……
」
そう呟きながら俺は空いたグラスに酒を注ぎ、それを一気に飲み干した。そのせいか、酔いが一気にまわってきた。
「はぁ
……
。俺、ちょっとキリエとギクシャクしたくらいで、こんなに落ち込んでしまって
……
。ダメだな、俺
……
」
そう言って肩を落とす俺の姿を、ダンテは酒を飲みながら黙って見つめていた。
俺は酒の勢いもあってか、そのままダンテに嘆き続けた。
「ほら、俺って口下手なところあるじゃん。相手に伝えたいことが伝わらず、いつも誤解されてしまって
……
。それがキリエとすれ違う原因を作ってしまったことは分かってる
……
」
「
……
」
「ははっ
……
。そんなんだから俺、昔は汚れ仕事ばっかさせられていたんだろうなぁ
……
」
「
……
」
「そりゃあ、悪魔に取り憑かれ、右腕もこうなっちまうわけだ
……
」
「
……
」
「キリエはこんな俺でも好きだって言ってくれるのに、俺はどうして彼女に優しくしてあげられないんだろう
……
」
「
……
」
「俺なんかが、どうしてキリエを好きになってしまったのだろう
……
」
「
……
」
「俺みたいなやつ、キリエを好きになる資格なんてないのにな
……
」
「
……
」
「俺なんかよりもっと優しくて、仕事も安定していて、キリエと過ごす時間を大切にしてくれる男のほうが、彼女にとっていいのかもしれない
……
」
俺がそう言ったあと、ダンテは少し大きな音を立てながらグラスをテーブルの上に置いた。
「何言ってんだよ。本心ではそんなこと思っていないくせに」
「
……
」
「ほんの少しのすれ違いがなんだ?お前たちの絆は、そんなもので崩れるくらい脆くないはずだろ」
「
……
」
「それに、お前がこうして俺のもとに来てまで相談するくらい、キリエちゃんのことが大好きってことだろ?そんな簡単に、彼女のことを諦めるようなことを言うもんじゃないぜ」
ダンテは少し鋭い目つきをしながら、俺の顔をジッと見つめてきた。
ダンテの言う通りだ。これは俺の本心なんかじゃない。本当はキリエのことを、誰にも渡したくない。俺以外の男の手に渡るなんて、死んでも嫌だ。
「
……
悪い。嘆いてしまって」
酒に酔った勢いとはいえ、思ってもいないことを嘆いてしまった。
俺はそのことに罪悪感を抱きつつ、空になったグラスに酒を注いでひと口ほど飲んだ。
本当は水でも飲んで頭を冷やすべきだろうが、今はとにかく酒を飲みたい気分だった。
俺はグラスに入っている酒を再びグイッと飲み干すと、力尽きたようにグラスをテーブルの上にコトッと置いた。
そんな俺の様子を見て、ダンテはフッと口元を緩ませながら微笑んだ。
「まぁ、たまには嘆いたっていいんじゃねえか。お前だって酒が飲める歳になったんだし、たまにはこうして酒に溺れるのもいいもんだぜ」
「
……
」
「それに、俺は嬉しいぜ。お前がこうして他の人には言えないような悩みを、わざわざ俺のもとに来て、話してくれること」
「
……
」
「お前はまだまだ若いし、これからも色々とあると思う。それでどうしようもなくて、つらい時は俺を頼ればいい。俺はいつでも暇してるし、酒一本手に持って気軽に事務所に顔出せばいいさ」
「ハハッ。悩み相談料は、酒ってところか」
「まぁ、そういうことだな」
そう会話を交わしたあと、俺とダンテは笑い合った。
どうやら俺も、少し心が軽くなったみたいだ。
俺の笑った顔を見て安心したのか、ダンテは再び口元を緩ませると俺の肩に手を置いてきた。
「さてと、こうして俺と酒を飲みながら語ったことだし、あとは男らしくちゃんと仲直りしてきな」
「そうだな。でも俺、キリエにどう声をかければいいんだろうな
……
」
「そんなの簡単さ。言葉なんかいらない。家に帰ったら、抱きしめてキスしてあげればいいのさ」
「それは大胆なすぎないか?確かにそうしたいけど、拒まれたりでもしたら
……
」
「大丈夫だって。それくらい大胆なことをしてもいいと思うぜ、俺は。キリエちゃんだって、お前に触れてもらうのを待っているはずさ」
「
……
」
「なんなら、そのまま部屋に連れこんでキス以上のこともしちまえ。酒の勢いに任せてな」
「なっ
……
!そんなことできるわけねぇだろ
……
!」
「ハハッ。冗談だよ。ほら、早く帰ってやりな。大好きなキリエちゃんが、待っている家にな」
そう言うとダンテは、ソファから立ち上がると俺に手を差し出した。そして、俺がその手を掴むと同時にグイッと力強く引っ張り、俺をソファから立たせた。
「また何かあったら相談くらいは聞いてやるから。ということで、がんばってこい!」
そう言うとダンテは、玄関扉ほうに向かって俺の背中を押すように思い切りバシッ!と叩いた。
正直かなり痛かったが、これのおかげで活を入れてもらった気がする。
「ダンテ
……
」
「ん?」
「ありがとうな」
俺はひと言礼を言ったあと、扉を開けて勢いよく飛び出すようにダンテの事務所を後にした。
to be continued
……
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