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癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2025-01-28 20:58:01
4403文字
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Gorgeous〜華やかさを君に〜
5のネロキリ設定。
キリエの友人の結婚式に参列するネロとキリエ。
だが、その日に限って美容院の予約が埋まっており、
キリエは仕方なくヘアセットを自分ですることになるが、上手くいかず……。
そんな彼女のヘアセットを、ネロがしてあげるお話。
「やだぁ
……
どうしよう
……
」
キリエは今、自室のドレッサーの椅子に腰をかけて鏡を見ながら奮闘していた。
今日は、キリエの友人の結婚式。もちろん式に参列をするため、朝から身支度を整えていたのだが、ヘアセットが上手くいかずに長時間手こずっていた。
運が悪いことに、今日に限って近場の美容院は予約で埋まっており、キリエは仕方なく自分でヘアセットをすることになってしまい、自宅の本棚にあったヘアアレンジの本を見ながらやっているものの、焦りで手元が狂ってしまいなかなか上手くできなかった。それに加え、キリエの髪質のせいか、ゴムで結んだところがするりと外れてしまったり、髪の毛をヘアアイロンで巻いても、別の作業をしている最中にストーレートヘアに戻ってしまう。
「はぁ
……
。本当、どうしよう
……
」
せっかく友人の結婚式だ。少しでも華やかな格好でお祝いしたい。だが、このままでは時間が過ぎていくばかり。
華やかなヘアセットは諦めて、シンプルに髪の毛をひとまとめにして髪飾りをつけるだけにしておくか。
そう思った矢先、部屋の扉がノックされる音が聞こえた。
「キリエ、準備終わったか?」
身支度を整えたネロがキリエの様子をうかがいにやって来たのだった。
「ネロぉ
……
助けてぇ
……
」
「え
……
」
扉越しに聞こえたキリエの言葉に首を傾げつつ、ネロは彼女の部屋の扉を開いて中に入った。
「ぅぅ
……
ネロぉ
……
」
「え、キリエ?まだ準備終わっていなかったのか?」
ヘアセットに手こずり、涙目になっているキリエの姿を見て、ネロは苦笑いした。
「あのね、ヘアセットが上手くいかなくて
……
」
「あぁ、見れば分かるよ」
「ぅぅ
……
どうしよう
……
。今日に限って、美容院の予約が埋まっているだなんて
……
」
そう嘆きながら、キリエは両手で頭を抱えた。
家を出る時間まであと一時間以上はあるが、受付や移動時間も兼ねて準備ができ次第、早めに家を出ようと思っていた二人。
だが、キリエがヘアセットに苦戦をしてしまうという事態が発生してしまい、早々に家を出れそうにはなかった。
「今回は諦めて、髪の毛をひとまとめにしようかしら
……
」
ため息をつきながらそう呟くキリエの表情は、どこか悲しげだった。
一週間前、美容院を予約しようとしたらまさかの予約が全て埋まっているという状況だったため、キリエが自分でヘアセットをすることにしたというのは、もちろんネロも知っていた。ヘアアレンジの本を二人で見ながら当日の髪型を決めていき、楽しみにしていたのをよく覚えている。そのことを思い出すと、ネロはできる限り彼女の望みを叶えてあげたいと思った。
「キリエがやりたい髪型って、このページのだよな?」
ネロはキリエのドレッサーの鏡の前に立てかけてあるヘアアレンジの本を、じっくりと読み始めた。
「うん
……
。ハーフアップなら自分でもできそうだと思ったんだけど、編み込んでゴムで結んだあとに髪を巻こうとすると、ゴムがスルッ
……
と外れてしまうし、右側の髪を巻き終わって左側の髪を巻いてる最中に、右側の髪が元に戻ってしまったり
……
。そんな繰り返しで
……
」
「なるほどなぁ。キリエの元の髪質がサラサラすぎるから、こういうヘアアレンジを自分でやるには難しいんだろうな。
……
ちょっと待ってて」
そう言うとネロは一旦キリエの部屋を出ていき、自室から普段自分が使っているスタイリング剤とタオルを手に持って、キリエの部屋へと戻って来た。
「キリエのスタイリング材だと、上手くセットできないんだと思う。俺が使ってるやつの方が巻き髪とか固定できると思うから、これ使ってヘアセットをしてあげるよ」
「え?してあげるって
……
」
「だから、俺がキリエのヘアセットをしてあげる。本に書いてあるやり方なら、俺でもできそうだから」
「でも
……
」
「大丈夫。実はこの前、ダンテと一緒にトリッシュのヘアセットをしたことがあったんだ。パーティーに出かけるから、アップヘアにしてくれって。その時ダンテの事務所に一緒にいた俺も、巻き添えくらっちまってな」
ネロはその時の出来事を思い出しながら、笑みをこぼした。
「その時に、ダンテに編み込みのやり方も教えてもらったんだ。「昔、パティによくやらされてた」って言っててさ。
……
まぁ、こんな話は置いといて、俺に任せてくれないか?キリエの髪のことなら、俺が一番よく知っているし
……
」
「ネロ
……
」
ネロが昔から手先が器用なことは、キリエはよく知っている。そして、普段から自分の髪によく触れていることも。
あれやこれやと悩んでいる時間はない。キリエは、ネロにヘアセットをしてもらうことにした。
「そしたら、お願いしてもいいかしら
……
」
「あぁ、任せてくれ」
ネロがそう言うと、キリエは少し緊張しつつ姿勢を正してドレッサーの鏡に向き合った。
「早速だけど、始めるな」
ネロはキリエの肩にタオルをかけると、持ってきたスタイリング剤を自身の手と彼女の髪に軽く馴染ませた。
「えっと、まずはサイドの髪を編み込んでと
……
」
ネロは、鏡に立てかけてあるヘアアレンジの本をチラチラと見ながら、キリエのヘアセットを始めていった。
コームの先端を使って必要な毛束を取り、まずはそれを編み込む。両サイドの髪を編み込んだところで、それを結び合わせた。
「そしたら次は
……
髪を巻くんだな」
先ほどと同様、ネロはキリエの髪をコームの先端で分け取ると、それをダッカールで留めていった。そして、ドレッサーに置いてあるヘアアイロンを手に取ると、ひと束ずつ巻き始めた。華やかな雰囲気にしたいとのことだったので、しっかり目にカールをする。
ひと束カールをし終わると、ネロはすぐにヘアスプレーをした。ネロが使っている男性物のスタイリング材はしっかりと固まるため、すぐにストレートヘアに戻ってしまうキリエの髪質にはちょうどよかった。
そんな感じに、ネロは分けとった毛束を順番に巻いてスプレーをする作業を繰り返した。
「ネロ、やっぱりすごく器用ね。あっという間に仕上がっていくわ
……
」
キリエは鏡越しに自分のヘアセットをしているネロを見て、感心のあまり大きく息をついた。
「ははっ、それほどでもないけど。キリエだって、手先器用じゃないか」
「ううん、そんなことないわ。私だったら丸一日かかってしまうヘアセットも、ネロなら一時間以内で仕上げられるもの。ネロ、美容師さんに向いているんじゃない?」
「そしたら、デビルハンターだけじゃなくて美容院でも開くか?なんてな」
そんな会話をしているうちに、ネロはキリエの後ろ髪を巻く作業を終えていた。
「あとは、バランスを見ながら編み込みとトップの部分を少し引き抜くように緩ませると
……
」
ネロは再びヘアアレンジの本を読むと、仕上げの作業に入った。
華やかさをより演出するため、編み込みした部分とヘアトップから少しずつ髪の毛を引き抜き、ボリュームを出していく。
「よし、そしたら最後は顔周りの毛と前髪を軽く巻いてと
……
」
ネロはキリエの前髪を内側に緩く巻き、顔周りの毛を外巻きにくるんと巻いたあと、彼女の顔にヘアスプレーがかからないように手で覆いながら、ヘアスプレーを前髪と顔まわりの髪にかけた。
そして、最後の仕上げに髪全体にヘアスプレーをかけ、ヘアアクセサリーをハーフアップの結び目を隠すようにつけた。
「キリエ、できたよ」
前髪と顔周りの髪にスプレーをかけている最中に目を閉じていたキリエは、ネロの言葉にゆっくりと目を開いていった。
ネロはキリエに後ろ姿も見えるようにと、彼女の部屋に置いてある姿見をドレッサーの鏡に向けるように持っていた。
「
……
!すごい!ネロ、ありがとう!」
完成された自分のヘアスタイルを鏡に向かって身を乗り出すように前後じっくり見たキリエは、満面の笑みを浮かべてネロに礼を言った。
「こちらこそ、気に入ってもらえたようでよかったよ」
キリエが喜ぶ姿に照れつつ、ネロは姿見を元の位置に戻し、ヘアアイロンの電源を切ったりなど片付けをし始めた。
「キリエ、ヘアアイロンはここに置いておけばいいよな?」
「うん、ありがとうネロ!」
キリエはヘアセットに使った道具などの片付けがある程度終わったところで椅子から立ち上がり、後ろに立っているネロの体に両手を広げて力強く抱きついた。
「よかった〜!これで安心して友達の結婚式に行けるわ!ネロ、本当にありがとう〜!嬉しい〜!大好きよ〜!」
「ちょ、キリエってば
……
」
喜びのあまりキリエはネロに抱きついた勢いで、そのまま彼の首筋に口付けをした。そんな彼女の行為に、ネロは一瞬固まってしまった。
「さてと、そろそろ家を出ましょうか?あ、私、お手洗い済ましてから行くから、先に外で待ってて!」
そう言いながらキリエはネロから離れると、部屋を出ていった。
「
……
」
キリエの部屋に一人残されたネロは、姿見の前に立つと鏡越しに首筋を見た。
「キリエ、口紅塗っていること忘れてるな
……
」
ほんのりピンク色の彼女の口紅、キスマークがついた首筋を鏡で見ながら、ネロはこれをどうしようかと苦笑いした。
「
……
ま、いっか。このままで」
そんなに目立つ色ではないから大丈夫だろうと思い、ネロは姿見の前で身なりを整えたあと、手荷物を持って玄関へと向かっていった。
***
「ネロ、お待たせ!」
「あ、キリエ。戸締り大丈夫か?」
「うん!ちゃんと鍵かけたわ!」
「よし、そしたら行こうか」
「うん!楽しみね!結婚式!」
そう言うとキリエは軽い足取りで歩き始め、ネロも彼女について行くように隣を歩き始めた。
「そういえばネロがつけているネクタイ、この前私がプレゼントしたものよね?」
「あぁ。やっと使う機会ができてよかったよ」
「ネロの髪色と同じシルバーで綺麗でしょ?すごく似合っているわ。素敵よ、ネロ」
「ありがとう。キリエも、ドレスすごい似合ってるよ」
「ふふ、ありがとう!思い切って、普段着ないような色を選んでみたのよ」
キリエは光沢のある空色のドレスの裾を掴みながら満面の笑みを浮かべると、わくわくした気持ちを表すかのように足を弾ませながらネロの数歩先を歩いていった。
(正直少し緊張したけど、キリエに喜んでもらえてよかった)
先ほどは余裕な態度を見せつつ、実は緊張しながらキリエのヘアセットをしていたネロ。想像以上に彼女が喜んでくれたこと、ヘアセットが上手く出来たことに安堵の息をもらした。
(キリエとの結婚式の時は、どんな髪型になるのかな
……
)
ネロの数歩先を歩くキリエの後ろ姿、華やかにセットされた髪型を愛おしそうに見つめ、ネロは近い将来純白のドレスに身を包んだ彼女の姿を想像しながら、歩き続けたのだった。
END
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