癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2024-12-24 18:22:49
2865文字
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All for one〜Merry Christmas〜

アニメDMC時系列のお話です!
みんなでクリスマスパーティーの準備をするお話となっております。

—— メリークリスマス。ダンテ、バージル……


 どこからか聞こえたその声とともに、俺は目が覚めた。
 窓の外を見ると、雪がしんしんと降っている。やけに寒いと思ったら、そういうことか。
 こんな日は起き上がるのも、しんどいくらいだ。今日は一日、ベッドの中で暖を取るのもいいかもしれない。ちょうど依頼もない日で、ゆっくり出来るからな。
 俺は再び眠りにつこうと布団を頭から被り、うずくまった。そして、目を閉じる。
 そういえば今日は、世間でいうクリスマスの日か。
 子供の頃は毎年のように、家族でクリスマスパーティーをした記憶がある。
父さん、母さんからプレゼントを貰い、豪華な料理を食べ、雪が積もった時はバージルと庭でよく遊んだっけな。
 俺はその光景を、まぶたの裏に思い浮かべていた。
 あの頃は純粋に、クリスマスが楽しみで仕方がなかった。
 大人になった今、一緒に過ごす相手もいない俺は、毎年のクリスマスはいつも通りの日々を過ごすだけだった。
 強いていうなら、ストロベリーサンデーとピザに加え、ケーキを食べるくらいか。
 だが、今年はピザもストロベリーサンデーもケーキも無しになりそうだ。というのも、ピザ屋にツケを払うまで、配達を止められている。
 まったく、クリスマスの日くらいサービスしてくれてもいいよな——なんて思ったが、こんなこと日常茶飯事だし、自業自得だ。
 あの頃みたいに家族がいてくれたら、大人になった今でも温かくておいしい料理を食べながら過ごしていただろうなと、俺はふと思った。
 だけど、俺にはもう、家族と呼べる存在はいない。
 ついこの間までいた相棒も、今は俺のもとを離れて自由気ままに過ごしている。
 一人って、こんなに寂しいものだっただろうか。
 家族がいなくなったあの日から、俺は一人の時間に慣れているはずなのに。

 父さん、母さん、バージル……

 思い出すとつらくなる。
 今日は一日中寝てしまおう。
 そうすれば、寂しい時間を過ごすこともなくなる。
 家族仲良く過ごしていた光景を頭の中から消し去ったと同時に、閉ざされた瞼の隙間から一筋の雫が流れた。

 その時だった。
「ダンテー!寝てるのー?」
 事務所の外から寝室に向かって、俺のことを呼ぶ声が聞こえた。
 俺は瞼を開けたと同時に涙を拭うと、重い体を起こして窓から外の様子をうかがった。
 そこには、パティ、レディ、トリッシュがいた。
「もう、ダンテったら……まだパジャマ姿なの?事務所の中に勝手に入ってるから、着替えたら下に来てー!」
 そう言ってパティは事務所の入り口へと向かい、扉を開けて勝手に中に入っていった。レディとトリッシュもあとに続く。
 まったく、アイツらは人様の家をなんだと思っているんだ。
 まぁ、俺の事務所は出入り自由にしているようなものだから、べつに構わないが。
 俺は小さく溜め息をつくお、普段着に着替えて一階の部屋へ向かった。

***

「おはようダンテ!」
 俺が現れると同時に、パティが抱きついてきた。
「ダンテ、お休みのところ、押しかけて悪かったわね」
 続いてレディも、俺に一言声をかけた。
 まったく、依頼が無い日にお前たちはこうも騒しく……
 俺が少しばかり不機嫌そうな表情を浮かべると、トリッシュが俺に声をかける。
「ダンテ、疲れているところ悪かったけど、機嫌直して?今日はクリスマスだし、せっかくならみんなで賑やかに過ごしたいじゃない」
 そう言うとトリッシュは、白い箱を差し出した。
「ほら、ケーキ買ってきたの。みんなで食べましょう?」
「もちろん、お酒もね。あ、パティはジュースだけど」
「あと、もう少ししたらモリソンが料理持ってきてくれるわ!今日はクリスマスだからって、ダンテの好きなピザも用意してくれるって!」
 この流れからすると、どうやら俺の事務所でクリスマスパーティーをするつもりらしい。
「えへへ……実はね、私がみんなに『クリスマスパーティーしよう!』って、声をかけたの!そしたら、たまたまレディもトリッシュも予定が空いてて。最初は女の子たちでやる予定だったんだけど、『どうせダンテも暇してるだろうから、誘いましょうか』って話になって、それでね……!」
 暇って……確かに俺は週休六日ではあるが。
「まぁ、そういうことだし、準備しましょ?グラスとか適当に使っていいわよね?」
 俺の許可を取る前に、レディは棚からグラスや皿など、食器を必要な人数分テーブルへ並べ始めた。 
 パティも手伝おうと、レディが並べた皿の隣にナイフやフォークを並べていた。
……なんだか、懐かしいな)
 レディとパティがパーティーの準備をしている光景を見つめながら、俺は幼い頃の記憶を思い出していた。
(俺もこんなふうに、母さんやバージルとテーブルに皿を並べたり、料理を運んだりして、父さんの帰りをワクワクしながら待って……
そう心の中で呟いてる最中、俺は目頭が熱くなり、軽く深呼吸をしながら俯いた。
そんな俺の様子に気付いたのか、トリッシュが俺の側に歩み寄ってきた。
「ダンテ……
……
「せっかくのクリスマスだし、楽しみましょ?」
……
「来年も、みんなで集まりましょうね」
……
「あなたはもう、一人じゃないんだから……ね?」
「あぁ、そうだな」
俺がそう返事をすると、トリッシュは柔らかな笑みを浮かべながら俺の背中を優しく押した。
「さぁ、今日は一日中楽しむわよ!ほら、ダンテも一緒に準備しましょう!」
「準備って……俺は何をすりゃいいんだ?」
「そうね……そしたら、一緒に飾り付けをしましょう?クリスマスの飾りも、色々と買ってきたのよ」
そう言うとトリッシュは、袋いっぱいに入っている飾りを俺に手渡した。
「こんなにたくさん、飾りきれるか?」
「飾れなかった分は、来年のクリスマスパーティーで使いましょ?」
「来年……
「そう、来年も♪」
トリッシュは袋の中から好きな飾りを選んで手に取ったあと、俺にウィンクをして玄関の扉へと移動していった。
……さてと、俺は向こうの壁の飾り付けでもやるか」
俺はクリスマス用の飾りが入った袋を抱えると、飾り付けをするために壁に向かって歩いて行った。
テーブルでは、相変わらずレディとパティが準備をしている。今はお菓子をお皿に盛り合わせているようだった。
トリッシュは黙々と玄関の飾り付けをしていたが、身体を音楽に合わせて動かしており、楽しそうな雰囲気を漂わせていた。
(なんだかいいな、こういうの)
俺は心の中でそう呟くと、口元が柔らかくなるのを感じながら部屋の飾り付けをし始めた。
(来年もこうして、過ごせますように……
そう願いながら、俺は手に握っている星型の飾りにそっと唇を落とした。

俺の暗闇に光を灯してくれた星々たちに、聖なる願いを込めてこの言葉を贈ろう。

〜Merry Christmas〜


END