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癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2024-11-18 18:40:27
1764文字
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Tea time
ネロとキリエが買い出し帰りに立ち寄った喫茶店でのひと時。
4より前の時系列で、曖昧な関係の時期です。
ある日、ネロとキリエが夕食の買い出しへと出かけた帰りの出来事だった。
「あら?こんなお店、あったかしら?」
帰路を歩いている最中、ふと目に入った看板。どうやら、喫茶店のようだった。
「確かに、見たことない店だな。新しくオープンしたんじゃないのか?」
「せっかくだし、お茶でもしていきましょうか?」
そう言うとキリエは、喫茶店の扉を開いて中に入っていた。その後ろに、ネロも続く。
店内に入り、二人は荷物カゴに買い出しの荷物を入れると、空いている席に腰をかけた。
商品の注文はカウンターでして、その場で受け取る形式らしく、ネロは注文をしに行こうと席を立ち上がった。
「キリエ、何飲む?俺、買って来るよ」
「ありがとうネロ。そしたら
……
ミルクティーをお願い」
「ははっ、やっぱり」
「え?」
「キリエ、喫茶店ではいつもミルクティー頼んでるだろ。ホットでいいか?」
「うん、お願いね」
「分かった。買って来るよ」
キリエの注文を聞き、ネロは数メートル離れた注文カウンターへと向かった。
「いらっしゃいませ」
店員がそう言ったあと、ネロはキリエの分のミルクティーを注文した。しかし、自分の飲み物が決まっていなかった。
「やべ、俺はどうしようかな
……
」
小声でそう呟いたのが聞こえたのか、カウンターにいる店員は柔らかな笑みを浮かべながらネロに話しかけた。
「よろしければ、お兄さんも先ほど頼まれたミルクティーはいかがでしょうか。当店特製の茶葉とミルクを使用しておりますので、とてもお勧めですよ」
「じゃあ、俺もそれで
……
」
店員に勧められるがまま、ネロはキリエと同じミルクティーを注文することにした。
そして数分後、カウンターにトレーと2人分のミルクティーが用意され、ネロはそれを受け取るとキリエが待つ席へと戻ろうとした。その時、店員がネロに話しかけた。
「恋人さん、とても可愛いですね」
「え」
「お兄さんととてもお似合いです。ゆっくり、お過ごしくださいね」
そう言うと、次の客の商品を準備するために仕事へと戻っていった。
「
……
恋人じゃ、ないんだけどな」
ネロは誰にも聞こえないくらいの小さい声でそう呟くと、ミルクティーが乗ったトレーを持って席へと戻って行った。
「キリエ、お待たせ」
「ありがとう、ネロ。あら、ネロもミルクティーにしたの?」
「あぁ。迷ってたんだけど、店の人にキリエと同じミルクティー勧められてさ」
ネロは席に座ると、2人分のミルクティーをテーブルの上に並べた。
ほんの少し、甘い香りが漂う。ネロとキリエはカップを持つと、2人同時にミルクティーを口にした。
「ん
……
凄く美味しいわ」
「そうだな。この店特製の茶葉とミルクを使っているんだってさ」
「そうなのね。香りもいいし、身体も凄い温まるわ」
「あぁ
……
」
本当に、ミルクティーは凄く美味しかった。普段あんまり飲まないネロも、この味や香りにはハマってしまいそうなくらいだった。
「
……
」
−恋人さん、とても可愛いですね−
先ほど店員に言われた言葉。ミルクティーを飲みながらも、その言葉がネロの頭の中にずっと響いていて、そのことばかり気になっていた。
(恋人
……
か。側から見れば、俺とキリエはそう見えるってことなのかな)
確かに、キリエのことは好きだが、それは家族としてだ。そう自分に言い聞かせて過ごしてきた。
だけど、本当は
……
「
……
」
「ネロ、どうしたの?」
「
……
」
「ネロ?」
「
……
あ、いや、何でもないよ」
「
……
?」
「それにしても、本当に美味しいな。ここのミルクティー」
「そうね。また、二人で一緒に来ましょう!」
ネロが複雑な心情になっているとは知りもせず、キリエはネロに優しく微笑みながら楽しそうに過ごしていた。
そんな彼女と同じミルクティーを飲む度に、ネロはズキズキと心の奥が痛んだ。
(キリエにはきっと、俺なんかよりずっといい相手がいる
……
)
ネロは、目の前にいる相手に想いを告げられない苦しさをグッと堪えた。
(だけど今、この時だけでも
……
彼女と過ごせる幸せを噛み締めていたい。少しでも長く
……
)
ネロは席を立つと、2杯目のミルクティーを注文しに再びカウンターへと向かった。
もちろん、大好きな彼女の分も一緒に。
END
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