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癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2024-10-09 19:54:16
3418文字
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Cuddle
DMC4ネロキリ。フォルトゥナの事件後、二人だけの夜の時間。クレドを失った悲しみで雰囲気が少しシリアスですが、少しラブラブなお話でもあります。
「眠れないの?」
「キリエ
……
」
時刻は午前0時。ちょうど日付が変わった時だった。
昨日、フォルトゥナであんな出来事があったばかりのせいか、心がざわついて寝付けなかったネロはベッドから起き上がると、部屋を出てリビングに向かい、水でも飲んで一息つこうとしていた。だが、ネロが来る前にキリエが既にリビングにおり、ソファに腰を掛けて温かいハーブティーを飲んで過ごしていた。
「待っててネロ、あなたの分もいれるから」
「ありがとう、キリエ」
キリエがネロの分のハーブティーをいれてこようと立ち上がったと同時に、ネロはソファにゆっくりと腰を掛けた。
「キリエも、眠れないのか?」
ネロはソファに座ったまま、キリエに話しかけた。
「
……
うん。少し、心が落ち着かなくて」
「そっか
……
」
きっと、彼女もフォルトゥナで起きた事件がきっかけだろう。そう思ったネロは、これ以上深く理由を聞こうとはしなかった。
静寂が漂う中、時計の秒針の音が室内に鳴り響いていた。
(夜って、こんなに静かだったかな)
今夜はやけに、街中が静まりかえっていた。
事件のことは一件落着とはいえ、大切な人を亡くした者、荒れ果ててしまった街を見て気を落とす者、それぞれが悲しみに包まれている状況だ。明日以降どうなるのだろうかと、不安な気持ちが募る夜を過ごしているであろう。
事件の詳細を知っているため、ネロ自身は冷静でいられたが、街の復興作業やフォルトゥナの住民達に事件の説明など、少しばかり頭を抱えたくなるような状態ではいた。
(まぁ
……
何とかなるだろう)
今はそう思って、少しでも心身共に休ませることに気を向けようとした。
「ネロ、お待たせ」
数分後、ネロの分のハーブティーを用意したキリエは再びソファへと戻ると、目の前のテーブルにマグカップをそっと置いた。
「カモミールにミルクを入れたのよ。リラックス効果があるから、きっと寝付きも良くなるわ」
「ありがとう、キリエ」
ネロはキリエがいれてくれたハーブティーにゆっくりと口を付けた。彼女の気遣いもあってか、ちょうどいい温かさでいれられており、口あたりがまろやかだった。
「キリエは料理もお茶のいれ方も、昔から上手だったよな」
「小さい時から料理とか好きだったから。
……
お母さんと一緒に作るの、楽しかったな
……
」
そう言うとキリエはマグカップをそっとテーブルに置き、唇を噛み締めながら遠くを見つめるように虚ろな表情を浮かべた。
「
……
」
「
……
」
「兄さん
……
」
無意識であろう。不意にキリエの口から亡き兄を呼ぶ声が溢れた。
「
……
キリエ?」
「ぁ、やだ
……
!ごめんなさい、私ったら
……
」
キリエは自分が思わず発してしまった言葉に戸惑ってしまい、両手で顔全体を覆った。そんな彼女の様子を見て、ネロは脳裏にクレドの最後の姿を思い浮かべながら話し始めた。
「しょうがないさ。俺だってまだ、受け入れられていない」
「
……
」
「クレドは、俺たちを守ってくれようとしたんだ。最後の最後まで」
「
……
っ」
「キリエ
……
」
ネロは、肩を震わせながら声を押し殺しているキリエの身体を包み込むように抱きしめた。
泣き声は出さないが、キリエはネロの肩に顔を埋めると大粒の涙を流し続けた。
「
……
」
「
……
っぅ」
(今は少しでも感情を出した方がいい
……
)
ネロはキリエの涙の温もりを肩越しに感じながら、震える彼女を優しく抱きしめ続けていた。
***
暫くすると気持ちが落ち着いて来たのか、キリエは指先で涙を拭いながらネロの肩に埋めていた顔をゆっくりと離した。
「ネロ、ごめんなさい
……
。服が私の涙で濡れてしまって
……
」
「大丈夫だよ。キリエだって辛い想い、たくさんしたもんな」
「うん
……
。正直、しばらくは兄さんのこととか思い出して、不意に泣いてしまったり落ち込んでしまうことがあるかもしれない。だけど
……
」
キリエは涙の跡が残る顔を上げると、ネロの瞳を見つめた。
「ネロ、あなたがいるから大丈夫。あなたがこうして私の側にいてくれるだけで、私は大丈夫」
「俺も
……
君が側にいてくれるだけで救われるし、凄い支えになる」
「ネロ
……
」
二人はお互いの頬に手を添えると、ゆっくりと目を閉じてそのまま唇を重ねた。
「今ので、二回目
……
か」
悪魔の邪魔が入りつつ、無事に初めてのキスをしたことを思い出し、ネロはキリエに微笑みかけた。
「ふふ、そうね。でも
……
今なら誰の邪魔も入らないから、何回でも出来るわ」
キリエはネロの首に腕をまわし、彼の頬に唇を這わせながら耳元でそう囁いた。
「キリエ、その言葉は反則じゃね?」
「そう?」
「そのうち、キスだけじゃ済まなくるぞ」
「うん。そのうちね
……
」
二人は互いの顔をジッと見つめ合い、再び唇を重ねた。ほんの少し、互いの口内にヌルッとした感触が伝わる。
「っはぁ
……
ネロ
……
」
唇を離し、熱い吐息を漏らしながらキリエはネロのことを見つめた。彼を見つめる瞳は、甘い雰囲気に酔っているようだった。
「キリエ
……
」
「ん
……
」
「そろそろベッド
……
行こうか」
「
……
え?」
「ぁ、ちがう
……
!これは各自部屋に戻って寝ようって意味で
……
!」
ネロの言葉に一瞬目を見開いたキリエ。あたふたしている様子の彼にどこかおかしくなり、クスッと笑うと再び彼の耳元で囁いた。
「一緒のベットじゃ、ダメ?」
「
……
ぇ」
今夜はお互いゆっくり眠りたいし、キリエの言葉に深い意味はないと分かってはいるが、ネロは身体の奥深くで強く脈打ったのを感じた。
「
……
どっちの部屋に行く?」
「ネロの部屋に
……
連れていって?」
「仰せのままに、女神様」
***
自室の前に着き、ネロはキリエを抱えながらも器用に扉を開けると部屋に入り、静かに扉を閉めた。
そして、キリエのことをそっとベッドに寝かし、ベッド横のスタンドライトの灯りをつけたあと、自身も彼女の隣に並ぶように身体を横にした。
自然と身体を寄せ合う二人。ほんの少し触れ合った手も自然と指を絡ませて、お互いに強く握り合った。
そのまま寝てしまおうかと、二人は静かに瞼を閉じた。だが、先程感じた胸のざわつきとは違う鼓動が騒ぎ出してしまい、お互いに閉じた瞼を開いていった。
「
……
眠れないのか?」
「うん
……
。色々ありすぎたから、やっぱり落ち着けなくて」
「そうだよな。
……
怖かっただろ?」
「うん、正直ね。でも、ネロのこと信じていたし、今はこうしてネロが側にいてくれるから
……
もう大丈夫よ」
「そっか。それならよかった」
「それより今は、別の意味でこう心が落ち着かないというか
……
」
「別の意味?」
「うん。身体中というか、顔が熱くなるような
……
」
「うーん
……
多分、それは俺も一緒」
「え?ネロも?」
「あぁ。上手く言えないけど、胸の奥が強く脈打っているというか
……
」
「
……
緊張してる?」
「
……
そうかもな」
「長年ずっと一緒にいたのに、不思議よね
……
」
「そうだな。でも俺は、出会った時からずっと、キリエのことがその
……
好きだったんだぜ」
「
……
!」
「ガキの頃は恋愛感情なんてよく分からなかったけど、キリエと出会ったあの日から、俺は間違いなくキリエに惚れていたと思う」
「
……
」
「ははっ
……
。なんか、こうして想いを伝えるって恥ずかしいものなんだな」
「
……
」
「“好き”って、たったそれだけの言葉なのに。キリエ相手だとすげぇ恥ずかしい」
「
……
」
「キリエ?聞いてる?」
「うん
……
。ちゃんと、聞いてるわ
……
」
半分眠りに落ちかけながらそう答えるキリエの姿に、ネロはクスッと笑った。
「そろそろ、寝ようか」
「うん
……
」
「おやすみ、キリエ」
「おやすみなさい、ネロ
……
」
暫くすると、キリエの静かな寝息が聞こえてきた。
ネロはキリエの方向に身体を向かせると、空いている手で彼女の柔らかな髪を撫で始めた。
(明日からきっと、暫く忙しい日々になるだろうな)
街の復興など、これからやらなければならないことが山積みとなっている。
だけど、今はこうして二人で寄り添って過ごせる喜びだけを、感じていたい。
ネロはその想いを胸に、愛しい彼女の温もりを感じながらゆっくりと眠りに落ちていった。
END
(あなたの告白が恥ずかしくて眠いふりをしてしまったことは
……
内緒よ)
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