癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2024-06-26 19:55:44
2680文字
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痛みも快感も愛の印

DC 京園 短編。事後話です。


ここはとあるホテルの一室。時刻は午前五時頃。
寝苦しさのせいか、園子はいつもより早く目が覚めてしまった。
(ぅぅっ……なんだか腰が痛い……
まだ寝起きで意識が朦朧としている中、園子は布団の中で痛みが響く腰を手のひらでさすった。
……あれ?私、服着てない……?)
手のひらでさすったのが寝巻きではなく、素肌であることに気付いた園子。その瞬間、昨夜の出来事が走馬灯のように思い出された。
(そうだ……私、昨夜は真さんと……
徐々に意識がはっきりとしていく中、園子は寝起きで虚ろになっている瞳をゆっくり開くと、隣で静かに眠っている京極の表情を見つめた。
(真さん……
昨夜、京極と園子は初めて繋がった。
その証拠に、お互い一糸纏わずの姿。ジン……と痛む下腹部。ゴミ箱の中には使用済みの避妊具が入っていた。
(恥ずかしさで混乱して、正直昨夜のことは詳しく覚えていないのよね……
だけど、彼と繋がった感触、温もりは身体にしっかり刻み込まれ、覚えていた。
お互い初めて。きっとぎこちなく触れ合って、混ざり合っていたであろう。
それでも、大好きな相手と身体を重ね、繋がる喜びを確かに感じていた。
園子は幸福感から口元が緩むと、京極の側へと身体を寄せていった。
(真さん、まつ毛長いな……
規則正しい寝息でぐっすりと眠っている京極。
そんな彼の寝顔を見つめながら、園子は彼の長いまつ毛を指先でそっと触れた。
「ん……
そんな園子の仕草に気が付いたのか、京極は身体をモゾモゾと動かして起きる素振りを見せた。
眠たい瞼をゆっくり上げる京極。瞳には最愛の彼女、園子の姿が映り込んだ。
「あ、真さんごめんね。起こしちゃったかな……
「園子……さん……?」
まだ寝ぼけているのだろうか。京極は虚ろな表情を浮かべながら園子の存在を確かめるように、彼女の髪の毛にそっと触れた。
「ふふ。真さん、寝ぼけているの?」
……いえ、少し目が覚めてきました」
そう言うと京極は重たくなった上体をゆっくりと起こした。その時、自身が何も身に纏っていないことに気付いた。
(そういえば、昨夜は園子さんと……
先ほどの園子と同様、京極も走馬灯のように昨夜の出来事を思い出していった。
「!っ……
鮮明に思い出せば思い出すほど、京極の顔と身体は熱を帯びていく。
昨夜どのように彼女と身体を重ね、絡み合ったのか、身体が鮮明に覚えていた。
その恥ずかしさからか、京極は身体をベッドに寝かせると頭から布団を被った。
「?!ま、真さん……?そんな風に布団被ったら苦しいわよ……?」
「いいんです……。このまま、布団の中に篭りますから……
「ええっ……?!」
園子は京極が頭から被っている布団をギュッと握るとそれを引っ張った。しかし、京極の力には敵わず、布団を剥がすことはできなかった。
「真さん、せめて顔だけでも出してよ〜!」
……嫌です」
「嫌です……じゃなくて!……もう、真さんと色々お話したいのにぃ……
「話ならこのまましますから……
「もう、こうなったら……
そう言うと園子は、自身も布団の中に潜り込んだ。
そして、京極の下半身へと顔を近付け……
「?!そ、園子さん!!」
下半身へと忍び寄る園子の存在に驚き、京極は飛び起きるように再び上体を起こした。
「えへ……ごめんね真さん」
園子は布団やシーツを身に纏いながら、京極と同様に上体をゆっくりと起こしていった。
「園子さん……!そういうことは……!」
「だって、真さんあのままじゃ永遠に布団に篭ってしまうと思ったから。それに……
……?」
「私、これからもっともっと、真さんと色んなことシたいし……
園子はほんのり頬を染めながら、京極の肩に寄りかかった。
「真さんは、私とシたいこと……ある?」
「シたいこと……とは……
「私ともっと、こういうプレイがしたい!とか」
「?!プ、プレイって……
「なんて、冗談よ。それに、暫くは身体が痛くて無理そうだから……
そう言うと園子は、腰をさする仕草を行った。
その様子を見た京極は、ベッドの背もたれの隙間から手を忍び込ませ、園子の腰付近へと手を添えた。
「あの、無理をさせてしまい……すみません」
「あはは……いいのいいの。真さんと私じゃ体力も何もかも違うし、こうなってしまうのもある程度想定してたというか……
「だけど、痛かったでしょう?」
……まぁね」
「すみません……
「もう、謝らなくていいのに……
そう言われても、京極は園子の身体に無理をさせてしまった罪悪感でいっぱいだった。
「大丈夫ですか、園子さん……。他に痛いところは?」
「うーん、あちこちそれなりに痛むところはあるけど……
「一番痛いところはどこですか?」
「一番て……、そりゃ……
痛いというより圧迫感というか、身体の中に何かがずっと残っているのような場所ならあるが、そんなの恥ずかしくて言えるはずがない。
「そ、そんなの気にしなくていいのよ。この身体の痛みも真さんに愛された証拠だって思えるし、それ以上に幸せだから……とは言っても、やっぱり身体にキてるのは事実なのよね……
そう言うと、園子は布団やシーツを掛け直しながらベッドの上に身体を寝かした。
「ぅぅ……やっぱり腰が……
「すみません……。なんとお詫びしたらいいのか……
「だから、謝らなくていいってば。ほら、真さんも、もう少し寝ましょ?」
「では、そうします……
少しばかり後ろめたい気持ちを抱えつつ、園子に言われた通りに京極も再びベッドの上に身体を寝かした。
布団の中で自然と身を寄せ合う二人。今はお互いの肌の感触や温もりを感じるだけで十分だった。
「ねぇ、真さん……
「はい、何ですか?園子さん」
「今日はどこか、行きたい場所ある……?」
「園子さんが見たかった映画でも、見に行きますか」
「そうだね。映画、行こう……
「その前に、今はゆっくり休んでくださいね」
「うん……
眠気により薄れゆく意識の中、園子は真に返事をしたあと、ゆっくりと瞼を閉じていった。
(おやすみなさい、園子さん)
規則正しい寝息が聞こえるまで、京極は彼女の頭を優しく撫で続けた。
(そういえば園子さん、“コレ”に気付いているのだろうか……
園子の身体に無数に付けられた赤い印。
露出が多いファッションをする園子に後々怒られる覚悟をしつつ、京極は幸福感と共に愛しい彼女を抱きしめながら再び眠りについたのだった。



END