癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2024-04-29 22:03:18
1857文字
Public
 

Sweet Rose

初代DMC、ダントリ短編。ダンテとトリッシュがバラのフラワーバスに一緒に入ってます。
裏表現はなしです。

【Sweet Rose】


甘く濃厚なバラの香りが漂うバスルーム。
たっぷりのお湯とバラが入った浴槽に、ダンテとトリッシュは二人して浸かっていた。
「それにしても珍しいな。お前の方から風呂に誘ってくるなんてな」
「ふふ。たまには……ね?」
大人二人には少し狭い浴槽の中。ダンテとトリッシュは向かい合って談笑をしていた。
「それにしても、こんな大量のバラどこで手に入れたんだ?」
「今日の依頼主がお花屋さんだったでしょう。依頼料とは別に、フラワーバス用にバラの花を箱いっぱいにくれたの。売れ残りのお花をフラワーバス用に売っているらしくて、「余っているからよければ貰って下さい」って」
「なるほどな」
「あそこのお花屋さん、地元では有名で高級なお花屋さんらしいの。余り物とは言っても、これもきっと高級なバラを集めたのよ。私だけでフラワーバスを楽しむのも勿体ないと思って。それで、せっかくだからダンテに声をかけたのよ」
そんなトリッシュの気遣いが嬉しかったダンテは、口元を軽く緩ませると目の前に浮かんでいたバラの花を一つ手に取った。
「高級なバラがたくさん入ったフラワーバス、おまけに美女付きだなんて、今夜は世界一贅沢なバスタイムだな」
「あら、それはよかったわ。それにしても、ダンテが持っているそのバラ、凄く綺麗な赤色ね」
「そうだな」
「バラってたくさん色があるけれど、やっぱり赤色が1番素敵ね」
……赤いバラは、母さんが1番大好きな花だったな」
「あら、そうなの?」
「ああ。誕生日には必ず、親父が母さんにバラの花束をプレゼントしてたな。俺はまだ小さいガキだったから、バラの花束なんて買えなくて。その代わりに絵を描いたり、工作で作ってたりして、それをプレゼントしたもんさ」
ダンテは手に取ったバラの香りを嗅ぎながら、幼い頃の思い出に浸っていた。同時に、自身の父親が真っ赤なバラの花束を母親に贈っている光景も脳裏に浮かんだのだった。
「俺……大きくなったら、いつか父さんみたいにバラの花束を母さんにプレゼントするのを密かに夢見ていてな」
……そうだったの」
「あぁ。……俺が立派なバラの花束をプレゼント出来るくらいになるまで、母さんには生きていて欲しかったな……
「ダンテ……
……悪いな。少し暗い話をしてしまって」
そう言うとダンテは力なく笑いながら顔を逸らした。微かにだが、鼻をすするような音がバスルームに鳴り響く。
一筋の滴がダンテの頬に伝ったのを見たトリッシュは、彼のの目元に指先をそっと添えた。
「ダンテ……優しいのね」
……いや、そんなこと」
「ううん。あなたはとても優しい人よ。誰かを想って涙を流せるくらい、優しい人」
……悪魔は、泣かないもんさ」
「あら?“感情を高ぶらせて流れ落ちる涙は、他人を想う心を持つ人間の特権であり、証明”って、あなた言ってたじゃない」
……
「“もしも涙が流せたなら、そいつはもう悪魔なんかじゃない”って」
……そうだな」
「あなたは悪魔の血が流れている人間であって、私は悪魔として造られた存在。その事実は変えることはできないけど、それよりも大切なことを、私はあなたから教わったわ」
トリッシュは目の前に浮かんでいるバラの花を手に取ると、それをダンテの耳の上に添えた。
「ふふ、ダンテ、可愛いわよ?」
「お?そうか?けど、頭に花を付けるなら、お前の方が可愛くて似合うと思うぞ」
「あら、ありがとう。それにしても、こんなにバラが似合う男の人、あなたくらいしかいないわね」
「はは。そりゃどうも」
場を和ませようとしたトリッシュの仕草に、ダンテは柔らかな笑みを浮かべた。
……そろそろ、のぼせてきたな」
「そうね。あがりましょうか」
二人は浴槽から一緒にあがると、脱衣所へと出た。
各自バスタオルで身体を拭いている最中、ダンテはバスタオルを大きく広げてトリッシュの事を包み込むように背後から抱きしめ、首元に顔を埋めた。
「トリッシュ……バラの香りがするな……
「もう、ここではダメよ。……もう少しだけ、我慢して?」
「それは、このあとベッドの上ならOKって受け取っていいのか?」
「えぇ。もちろん」
「今夜は……甘い夜になりそうだな」
「ふふ、そうね。……行きましょうか」
「あぁ」
身体中に染み付いた甘くて濃厚なバラの香りを包み込むようにバスタオルだけを身に纏った二人は、浴室を後にするとそのまま寝室へと向かって行った。




END