癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2023-09-27 19:55:43
8098文字
Public
 

Iolite 〜優しい両手〜②

「パンドラの塔 君のもとへ帰るまで」
第二章。こちらもキスありです。
エンデとセレスがベッドの上でキスをしたその直後と、数日後の話。

セレスの実家の家業は布関係かなと、捏造入ってます。

あの後、高鳴る鼓動を何とか抑えながら夕食の用意が出来た私は、エンデを呼びに寝室へと向かった。
……大丈夫。平常心)
そう自分に言い聞かせて一呼吸ついた後、私は寝室の扉をノックしてエンデに声をかけた。
「エンデ!ご飯の用意が……
その瞬間、ドシン!と大きな音が聞こえた。私はその音に驚いて慌てて部屋の中へと入ると、そこにはベッドのすぐ下で横たわっているエンデがいた。
「エ、エンデ……?!どうしたの?!」
「いてて……
先程までベッドの上で横になっていたのだろうか。シーツにはまだ温もりが残っていた。どうやらエンデは、ベッドから床に転げ落ちたようだった。
「エンデ、大丈夫……?」
……あぁ」
「怪我とかしてない……?」
「大丈夫だよ。ありがとう、セレス」
そう言うとエンデは、腰を摩りながらその場からゆっくりと立ち上がった。
「エンデ、もしかしてずっと寝てた?」
……うん」
「ごめんね。驚かせちゃったかな?」
「いや、大丈夫。セレスのせいじゃなくて、これは僕の問題だから……
エンデの言葉の意味が分からず、私は首を傾げた。
「エンデの問題って?」
……ぁ!いや、何でもない」
エンデはどこか焦っている様子だった。一体どうしたのだろうかと気になってしょうがなかったけど、これ以上変に追及しても彼を困らせるだけなので、私は話題を変えようと彼に話しかけた。
「エンデ、ご飯の用意が出来たよ。一緒に食べましょ?」
……うん」
(エンデ、どうしたのかしら?)
エンデの様子が少し気になりつつも、私達は寝室を後にした。
その後、食卓へと向かった私達は監視塔や実家にいた時の思い出話や他愛ない話をしながら、二人で食事の時間を楽しく過ごしたのだった。

就寝時間。先ほどはベッドの上であんな事があったというのに、二人して疲れが溜まっていたせいか、布団の中に入った途端に一気に眠気が襲って来て、その日の夜は何事もなくお互い静かに眠りに落ちてしまった。
(エンデ……
私は完全に意識が遠くなる前に、こっそりとエンデの手を握ってから眠りについた。

翌朝、私はエンデより少し早く起きると台所で朝食の準備に取り掛かった。
エンデは私の実家の家業を継ぐこととなり、日中は働きに出掛ける。この家から実家までは近いけど、暫くは仕事内容を覚える日々だろうから忙しくなりそう。
私が朝食を作り終わりテーブルへと料理を並べ始めた頃、エンデが起床して食卓へとやって来た。
「おはようエンデ!……よく眠れた?」
「おはよう。……うん、まぁ」
エンデは相変わらず、どこかぎこちない様子だった。
「エンデ、朝ごはん出来てるよ!たくさん食べてお仕事頑張らなきゃね!」
「うん……
「エンデ……?どうしたの……?」
……あ、いや、何でもない。ご飯の用意ありがとう。頂くよ」
そう言うとエンデは食卓につき、料理を一品ずつ丁寧に食べ始めた。
「どう……かな?」
同棲してから初めて作った朝食。料理は以前より上達したから自信はあるけれど、エンデの様子がどこかおかしいのもあり、私は料理の感想を彼に尋ねた。
「うん、美味しいよ」
「本当?」
「うん。また上手になったね」
「ふふ……そう言ってもらえて嬉しい。ありがとう、エンデ」
慌ただしい朝の時間の中、ほんの数分の朝食の時間だったけれど、美味しそうに私の手料理を食べてくれているエンデの姿を見て、私は幸福感に包まれた。
朝食を食べ終わった後、エンデは身支度を整えて働きに出ようとしていた。
「待って、エンデ」
家の外に出ようとエンデが扉に手をかけたところで、私は彼のことを呼び止めた。
「エンデ、お仕事に行く前に……しない?」
そう言って私は、指差すように自身の唇に触れた。
そんな私の仕草に戸惑うエンデの様子が伺える。
「ね?いいでしょ?」
そう言ってエンデの元へと一歩ずつ歩み寄り、私はエンデの事を見上げるように顔を近付けていった。
「っ……!」
だけどエンデは私から顔を思い切り逸らすと、そのまま勢いよく家を飛び出して行ってしまった。
「あ…………全くもう」
部屋には、激しく閉められた扉の音の余韻が静かに響いていた。
「やっぱり、まだ恥ずかしかったのかな……。行って来ますのキス……してみたかったんだけどな」
そんな事を呟きながら、私は窓から見えるエンデの姿を遠くに見つめていた。
「さてと、私も明るいうちに家のこととか終わらせないと!」
まだ始まったばかりの二人の生活に、私は胸を弾ませた。

今日も明日もこれからもずっと、エンデと幸せな日々が送れますように。
エオスの神様、私たち二人を見守っていて下さい……


ーーーーーーーーーー


それから数日の時が経った。あの日以来、エンデとはキスをしていない。
仲が悪くなったとかぎこちなくなったというわけではなく、平和で幸せな日々を過ごしてはいるのだけど、エンデは相変わらずよそよそしい態度というか、恥ずかしがり屋さんというか、そんな感じだった。
監視塔で一緒に過ごしていた事もあり、以前よりエンデとだいぶ話をするようになった。だけど、最近はまた口数が減ったような、そんな気がする。
「もう少し自分の気持ちを言ってくれたらいいんだけどなぁ」
エンデが無口なことはとっくに慣れているけど、私はもっとエンデとお話をしたい。
「あ、でも、お喋りすぎてもちょっと困るわね」
私は自分がお喋りすぎるところがあるせいか、自分よりお喋りな人は少し苦手かもしれない。
「無口だからこそエンデなのよね。だけど、やっぱりもっとお話したいなぁ……
そう呟きながら、私は夕食の支度をしていた。
「エンデ、早く帰って来ないかなぁ」
監視塔にいる時は朝も昼も夜も関係なく、エンデは身体を休めては十三訃塔に赴き、私のために下僕の肉や主肉を取ってくる日々だった。
今は私の実家の家業を継ぐこととなり、日中は働きに出て夜ご飯の時間になると帰ってくる日々を過ごしていた。
(結婚は……まだ先かな)
監視塔にいた頃から新婚生活を送っていたも同然だったけど、私自身は正式にエンデと籍を入れたいと思っている。
(エンデも、同じ気持ちだといいな)
いつか現実になって欲しいなとそんな事を夢見ている最中、玄関扉が開かれる音が聞こえた。
「ただいま」
それと同時に、エンデの声も聞こえた。
私は料理中の手を一旦止めると、エンデの元へと駆け寄った。
「おかえりなさい!今日もお疲れ様。どう?仕事はだいぶ慣れた?」
「うん。少しずつだけどね」
「ご飯もう少しで出来るから、先にお風呂入って来てもいいよ」
……っ!うん……、そうするよ」
「?」
私がお風呂を進めた時、エンデは一瞬顔を歪ませるとそのまま視線を逸らした。
どこか様子がおかしいエンデが気になり、私はエンデの視線の先にそっと目を向けた。すると、エンデが着けている左手のグローブが赤く滲んでいるのが視界に入った。
「エンデ、ちょっと左手を見せて」
「えっ……いや、その……
「いいから見せて」
「ぅぅ……
私が少し強めの口調で言うと、エンデは渋々グローブを外して私に左手を差し出した。
「やだエンデ……怪我しているじゃない……
エンデの左手の甲は刃物で切ったような傷跡があり、その傷跡が開いたのか血が流れ出ていた。
「手当てするから、そこに座って……
私はエンデをソファに座らせると、救急箱を手に取ってエンデの隣へと腰掛けた。
「怪我は、左手だけ……?」
……うん」
……本当に?」
……
「エンデ?」
……。あと、左肩も少し」
「うん。分かったわ」
私は首元から服の中を覗き込み、エンデが怪我している左肩を確認した。
「やだ……ひどく火傷しているじゃない……。どうしてこんな怪我を……
「そんな、大したこと……
「エンデ」
「ぅっ……。セレスの弟が作業台の近くで転んで、その時に作業台にぶつかってしまって、お湯が入っている容器が倒れてしまったんだ。それで……
「全くもう……。あの子達に今度会った時に注意しておかないと」
「いや、怒らないであげてくれ。ふざけていたとか、わざとじゃないんだし。まだ仕事に慣れていない僕の手伝いをしようとしていただけなんだ」
「だけど……
「それに、僕は大丈夫だから。セレスの弟を守れたなら、それでいい」
「もしかして、弟の事を身を挺して……
「いや、そんな大したこと……
「そんな事ないわ。ありがとうエンデ……。でも、怪我だけは本当に気を付けてね」
私はそう言うと、まずエンデの左手の手当てを始めた。
「まずは止血しないとね」
私は容器に入れた水で傷口を洗い流したあと、ガーゼでエンデの手の甲の傷口を軽く圧迫した。
「うん、血もすぐ止まってるから、大丈夫そうね」
エンデの傷口の出血具合を確認し、私は軟膏薬を塗るとその上から絆創膏を貼り付けた。
「よし、左手の手当てはとりあえずこれで大丈夫ね。次は、左肩の火傷を見ないと……
私は再び、首元からエンデの服の中を確認した。
「うーん……このままじゃ手当てしにくいしエンデの服を汚してしまうわ。エンデ、ちょっと服を脱いでもらえるかな……?」
「うん……
エンデは少し戸惑いながらも、上に着ている服をゆっくり脱いだ。それと同時に、エンデの上半身露わな姿が私の目に飛び込んできた。
(エンデ……とても逞しい身体……
今までこんな風にエンデの身体を見た事なかった私は、一瞬息を呑んだ。
元傭兵だった事もあり、それなりに鍛え上げられているであろうエンデの身体は筋肉がしっかりと付いていて、とても厚みがあった。
私はいつもこの逞しい身体に助けられ支えられていた事を改めて感じると、胸の鼓動が速くなっていった。
「セレス……?」
その時、エンデの身体に見惚れてボーッとしている私にエンデが声をかけた。
その声にハッとして我を取り戻した私はエンデに背を向けるように指示をすると、左肩の火傷の手当を始めた。
「ごめんなさいエンデ!少し考え事をしてしまって……。火傷は、ちゃんと冷やしたの?」
「うん。セレスの実家で軽く応急処置はしてもらったよ」
「そうなのね。そしたら、火傷によく効く薬があるから、それを塗ってあげるわ。少し滲みるけど……
実家で多少手当てをしたとは言っても、まだ新しくできたばかりの傷に薬が滲みたのか、薬を塗った瞬間エンデの肩が少し跳ねた。
「痛い……?大丈夫……?」
……っぅ、だ、大丈夫だよ」
「ごめんね。もう少しだから、我慢しててね」
痛みに耐えているエンデの様子を伺いつつ、私は火傷に薬を塗り終えるとその上から絆創膏を貼り付けた。
「これでよし……と。はい、終わったよ」
「ありがとう、セレス」
エンデは私に一言お礼をいうと、脱いだ服を再び着た。
「傷口が滲みると思うから、お風呂は明日以降ね」
「うん、そうするよ」
「寝る前にお湯とタオル用意してあげるから、今夜はそれで身体を拭くといいわ。背中とかは、私が拭いてあげる」
「う、うん……ありがとう……
私の言ったことに、エンデはどこか恥ずかしそうにしながら鼻を掻いていた。そんな彼のことを微笑ましく思いながら、私はエンデの横に並ぶようにソファに座り直した。
「ところで、今日はどんな事をしてたの?」
「今日は、簡単なアクセサリーの作り方を教わったよ」
「そうなんだ。うちって布が有名だけど、小物とかアクセサリーも人気なのよね」
「うん。その時に手を滑らしてしまって、道具で手を……
「本当、気をつけてね。それで、どんなアクセサリーを作っていたの?」
……内緒」
「内緒……って。私にも教えられないの?」
「うん」
エンデにしては、珍しく即答だった。
「そっかぁ……。どうしても言えないなら、しょうがないもんね。でも、完成したら見せてね?エンデの初作品」
「うん。もちろん、そのつもりだよ」
「一番最初に私に見せてね?」
「はは。それは難しいかな」
「えー?どうして?」
「だって、最初はセレスのお母さんに完成品を確認してもらうから」
「そしたら、二番目?」
「そうだなぁ。その前に、セレスの弟達に見られてしまうかもしれないね」
「えー……そんなぁ……
そんな他愛ない会話をしたあと、私達はお互いを見つめて笑い合った。 
そして、少しの間沈黙が訪れた時、私はエンデとピタリ触れ合うくらい距離を縮めた。
「エンデ、ちょっといいかな……?」
私はそういうと、エンデの左腕に自身の右腕を絡ませ、彼の肩に頭を乗せるように寄り添った。
エンデは一瞬戸惑った様子だったけど、私の好意に応えるように手を繋いでくる素振りを見せ、私とエンデは指を一本一本丁寧に絡ませていった。
「エンデ、左手の怪我は大丈夫……?」
「うん。大丈夫だよ」
「そしたら、もう少し強く握っていい……?」
「うん」
「痛かったら、言ってね」
私はほんの少しだけ、ギュッと強くエンデの手を握った。エンデも応えてくれるように、私の手を握り返してきた。
……こうしてエンデに触れているの、何だか久しぶりな気がする」
「そう、かな?」
「うん。エンデったらあの時以来、どこか様子がおかしかったから……
「あの時?」
……ベッドの上で、エンデとキスしてから」
私の言葉にエンデは何か考え込むように一息つくと、話し始めた。
「僕、ずっと気掛かりだったんだ。あの時、セレスの嫌がる事をしてしまったんだろうかって」
「え……?」
「僕に触れられるのが、怖いのかなって……
「エンデに触れられるのを、私が怖がってた……?」
「うん……
……?」
私は頭の中で、あの日の出来事の記憶を一つ一つ探っていった。だけど、これといって思い当たることがない。確かに、少し恥ずかしくてぎこちない態度をしてしまったかもしれないけど、エンデを怖がるなんてことは決してない。
私が何の事か分からず首を傾げていると、エンデはほんのり頬を染めながら口を開いた。
「その、僕がセレスのスカートに……
エンデがそう言いかけた瞬間、私はその時のことを思い出した。
「ぁ……!え、えっと……!あ、あれは違うの!その……エンデに触れられるのが嫌なんてこと、決してなくて……!むしろ、もっと触れて欲しい……って、やだ……私ったら何言ってるんだろ……
咄嗟に出た自分の言葉に、私は顔が熱くなっていった。
「だけどセレス、あの時僕のことを拒んだのかと思って……
「違うのよエンデ!その……
少し話しづらいけど、私は正直に話そうと思い一息ついてから話し始めた。
「あのね、実はあの時……、生理が来てて……
……ぇ」
「だからその、エンデが触れて来たのが嫌とかじゃなかったの。……少し、びっくりしたけどね」
「そう……だったんだね……
どこかデリケートな話題な事もあり、エンデは少し気まずそうに顔を逸らした。
「うん。それに、アレの日って情緒不安定になったり、疲れやすかったりしちゃうの。だからあの時、お昼寝したのも少し泣いてしまったのも、それが少し理由なの」
……そっか。その、気が付かなくてごめん」
「ううん。いいの、謝らないで。私自身そんな状況だったのに抑えきれなくて、私がエンデを誘うような事をしてしまったのだから……
「でも、あの時の僕は自分の欲だけで動こうとしてしまった。セレスの気持ちが大事なのに……。僕はセレスの怖がることや嫌がることを、したくないんだ」
そう言うとエンデは、空いている右腕で私の身体を包み込むように優しく抱きしめてきた。
「エンデ……
私は、エンデのその言葉と行為に、どれだけ大切にされているか改めて実感した。
(エンデの身体、とても温かい……
私もエンデの気持ちに応えるように、彼の大きな身体を抱きしめ返した。
「エンデ、ありがとう。エンデが私を大切に想ってくれていること、凄く嬉しいわ」
「セレス……
「でもね、あの時エンデが私に“触れたい”って気持ちが伝わってきて、すごく嬉しかったの。だから、そんなに気にしないで。まったく怖くない……って言ったら嘘になるかもしれないけど……。でも、エンデだから大丈夫。エンデの温かくて優しいこの手で触れられるのが、凄く好きなの……
私はそう言ったあと、エンデから身体をゆっくり離していき、繋いでいるエンデの左手を空いている手で包み込んだ。
「セレス……
エンデは私と向かい合うようにソファに座り直すと、私の瞳をジッと見つめてきた。
物欲しそうに私を見つめてくるエンデの瞳。私もその瞳をジッと見つめ返した。
「触れていい……?」
そう言うとエンデは、空いている右手を私が履いているスカート越しから脚の上にそっと乗せてきた。
その行為によって、エンデがどこをどう触れようとしてくるのか分かった私は、静かに頷くとエンデの手を握ってスカートの裾へと誘導した。
「エンデ、いいよ。私に触れて……
私がそう言うと、エンデはスカートの裾から中へと手を忍ばし、私の脚を優しい手つきで撫でまわすように触れてきた。
そして、繋いでいる手を解き、その手を私の頬に添えると顔を近づけてきて口付けをした。
「ん……
温かい。頭がクラクラとしてくるくらい、エンデの柔らかくて温かな唇の感触と、私の脚を触っているエンデの手付きで、私の身体は火照る一方だった。
私を欲するように口を動かすエンデ。私もその行為に応えるようにエンデに合わせて口を動かしたり角度を変えたりしながら、口付けを行っていた。
「ハァッ……んっ……
徐々に激しくなっていく口付け。ほんの少し舌が絡み合い、息が苦しくなったところで互いに唇をゆっくりと離していった。
「っはぁ……。エンデ……
唇が離れた瞬間、私は自分でも分かるくらい物欲しそうな表情を浮かべてエンデのことを見つめた。
「セレス……
エンデは再び私に口付けをしたあと、今度は私の頬へと唇を沿わせてきた。
エンデの唇が頬、耳、首筋、鎖骨へと移動していく。
「っぁ……
その感触に耐えられずに私が声を漏らしたと同時に、エンデがゆっくりと私をソファに押し倒して来た。
だけどその時、
「痛っ……!」
「エンデ……?」
エンデが突然表情を歪め、左肩を押さえながら飛び上がるように身体を起こしていった。
続いて私も、ゆっくりと身体を起こしてエンデの様子を伺った。
「エンデ……大丈夫?」
「あぁ……。少し傷が痛んで……
エンデが痛そうに左肩を押さえている手の上に、私はそっと自身の手を重ねた。
「エンデ、無理しないで……?」
「うん……
……
……
……今日は、ここまでにしようか」
……そうだね」
少しだけ残念な想いはあるが、何よりエンデの怪我の方が心配だった。
「続きはその……エンデの怪我が治ったら……ね?」
「うん……
……
……
……そろそろご飯にしようか、エンデ」
……うん、そうだね」

こうして私達の甘いひと時は終わり、私は作りかけの料理を仕上げてテーブルに並べた後、エンデと夕食の時間をゆっくりと過ごした。


ーーーーーーーーーー

時刻は二十一時頃。私は浴室でシャワーを浴びていた。
怪我のこともあり、今夜は早めにエンデは寝室で身体を休めている。
(エンデの怪我、早く治るといいな)
私はそう思いながら、今日の出来事を思い返していた。

−続きはその……エンデの怪我が治ったら……ね?

何となく口から出てしまったが、“続き”とはいったい何なのだろう。今度私達は、どこまでいけるのだろう。
「エンデ……
シャワーを浴びながら、私はいつかエンデに捧げるであろう自身の身体を抱き締めるので今は精一杯だった。


To be continued……