癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2022-10-23 19:43:41
2775文字
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Feel love

初代ダントリ小説の「JOY」のその後の2人の関係ぽい話です。

お互いの関係性に迷いが生じている時期なのかな……。





「ハハ、今夜も楽勝だったな」
「そうね。五分もいらなかったわ」

悪魔退治の依頼を終え、そう会話をしながらダンテとトリッシュは自宅兼事務所の扉を開き、中へと足を踏み入れた。
「あー……クタクタだ……
そう言うとダンテは、事務所のソファーにドサっと座り込み、背もたれに寄りかかると天井を仰いだ。
「今夜もお疲れ様」
そんなダンテの様子を見たトリッシュは一声かけると、ダンテの隣へとゆっくり腰をかけた。
……本当、疲れたな」
「ぇ、そんなに……?」
「あぁ。それはもう、誰かさんの癒しが欲しいくらいに」
ダンテはそう言いながら、自身が着ている赤いロングコートを脱ぎ、ソファーの背もたれにかけた。
続いてグローブも手から取り外すと、それを目の前にあるテーブルに軽く投げるように置いた。
……なんだか暑いな」
そしてダンテはベストと、更にインナーもその場で脱ぎ始めた。
露わになったダンテの上半身を目の前に、トリッシュはどこか呆れたような気持ちで溜め息をついた。
「もう、相変わらず誘い方がわざとらしいというか、あからさまというか……
「ん?別に俺は誘ったつもりなんてないぜ?暑いだけさ」
ダンテのその言葉に、トリッシュは再び溜め息をついた。
「もう、そんな事言いながら、どうして誰かさんは私の肩をさり気なく抱いているのかしら……
そう言いつつ、ダンテの行為が満更でもないトリッシュ。
彼女自身もその行為に応えるように、ダンテの肩に寄りかかった。
ダンテの鼻に、彼女の髪の甘い香りが漂う。
(同じシャンプー使っているのに、俺とはどこか違うから不思議なもんだな)
これが男女の差というものなのかと、ダンテは改めて思った。
(それにしても、相変わらず綺麗な女だ)
トリッシュは、この世に舞い降りた絶世の美女と言っても過言ではない。
そんな彼女が自身の腕の中にいるダンテは、世間の男達に対してどこか優越感を抱いているような気持ちになった。
……どうしたの、ダンテ?そんな勝ち誇ったような顔して」
「いや、別に」
そうは言いつつ、ダンテはどこか得意げな表情を浮かべていた。
機嫌も良いのか、小さく鼻唄も奏でていた。
それは、ダンテが昔から好きなロックバンドのヒットソングのメロディ。
いい加減聴き飽きたと言うように、トリッシュは軽く溜め息をつくと、ソファーからゆっくり立ち上がろうとした。
しかし、ダンテがそれを許さなかった。
ソファーから立ちかけたトリッシュを再び座らせようと、彼女の肩を両手で掴んでグッと押さえ込んだ。
「もう、ダンテったら強引に何よ……
「そうやって、直ぐに俺の側を離れて行こうとするなよ……お前は」
「別に、ちょっと立ち上がろうとしただけじゃない」
「いいから、行くな」
「ダンテ?」
……
……そんなに側にいて欲しいの?私に」
トリッシュの問いに、ダンテは静かに頷いた。
「ダンテって、意外と寂しがり屋さんよね」
そう言うとトリッシュは、自身の肩に置いてあるダンテの手をそっと掴み、指を絡ませた。
「ほら、こうして絡み合うように握っていれば、簡単に離れられないわ。貴方も、私も……
……そうだな」
……ダンテの手、暖かい」
「お前は、冷たいんだな……手」
「嫌なら、離していいわよ……?」
「そんな事ねぇよ。冷たいけど、今の俺には気持ちいい」
「何よ……それ」
トリッシュはダンテと絡み合っている手に、ギュッと力を入れた。
この際、一晩中手を繋いで過ごしてしまおうかと、一瞬だが思い浮かんだ。
(私、ダンテの手……好きよ)
自分はダンテと違い完全に悪魔とはいえ、身体は人間、女性だ。
ダンテとこうして触れ合う度に、彼との体格差や性別の差をグッと実感するのであった。
(ダンテは私の事、本当はどう思っているの?)
身体を重ねた事は、正直ある。
しかし、世間でいう恋人ではない。
だからといって、軽い気持ちで夜を過ごした訳ではない。
相棒と言えば相棒だが、それ以上に必要な存在であった。互いに。
(ねぇ、ダンテ……
大切にしたいけど、大切にされたい。
守りたいけど、守られたい。
自由になりたいけど、手放したくない。
複雑な想いが、トリッシュの心を惑わせた。
(貴方に抱かれる事は、喜ばしい事なのかもしれない。だけど……) 

「さてと、そろそろ寝る準備でもするか」
トリッシュが心の中で言葉を発した後、ダンテはソファーからゆっくりと立ち上がった。
その流れでダンテは自然と手を離そうとしたが、トリッシュが更にギュッと力を込めて握ってきたため、離すことが出来なかった。
……どうした?トリッシュ」
「さっきは私に「行くな」って言ったくせに、簡単に離れようとしないで」
トリッシュはそう言うとソファーから立ち上がり、指を絡ませたままダンテの正面へと身体を向けた。
力強いが、どこか切なげな瞳でダンテを見つめるトリッシュ。
「何だよ。さっきは、俺の態度が嫌々だった癖に」
……気が、変わったのよ」
トリッシュは空いてる手でダンテの腰を引き寄せ、彼の胸元に頬を寄せた。
「随分、積極的だな」
……ダンテの鼓動、凄い速いわ」
「そりゃあ……こんな美女に密着されてたら、冷静に装う事で精一杯だからな」
「あら、いつも余裕たっぷりのダンテさんは何処に行ったのかしら……?」
……さぁな」
ダンテはそう呟いたあと、自身も空いている手でトリッシュの身体を引き寄せた。
そして、布越しだが互いに触れ合う禁断の場所。
二人は無意識に、ソコをグッと押し付けあった。

……ダンテ」
……何だよ」
……熱いわ」
……何がだよ」
……ココ」
「バカ、どこ触ってるんだよ……
「やだ、貴方だって。でも……
……?」
「もっと、触って……
……
「っ……凄く気持ちいい……から……
「あぁ、いいぜ。お前が満足するまで、今夜はずっと……



ーーーーーーーーーー



熱い吐息を混じり合わせても、心と身体が噛み合わない。
もっと手触りが欲しい。

近くにいるようで、本当は互いに遠い存在なのかもしれない。
越えてはいけない一線が、二人の間にはずっとあるのかもしれない。
だけど、それを認めたくない。

もし、叶うのならば……

「ねぇ、ダンテ……
「ん、何だよ……
「また私に、貴方の愛を教えて……
……あぁ、いいぜ」

(これからもずっと、お前が望むのならば……



ーーーーーーーーーー



確かめ合えば合うほど、伝わらなくなる互いの想い。
それを分かっていながらも、抑えきれない衝動。
今夜も二人は絡み合う。
微かに芽生えている、愛を感じながら……





END