癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2020-07-30 01:05:15
5630文字
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怯える二人に愛の贈り物を①

メインはネロキリの話。第1章はダンテとネロの会話メイン。
4の時間から半年経った頃、キリエとの関係に悩むネロがダンテに色々と相談。
※多少R指定な会話なので、ご注意下さい。

「坊や。久しぶりだな」
あの事件から半年後。
ダンテが突然フォルトゥナに姿を現した。


【怯える二人に愛の贈り物を】①


ここは大歌劇場の外にある広場の噴水。
ネロは本日の復興作業や見回りを終え、散歩がてらにこの場所に立ち寄ったのだが、何故かそこには赤いコートを羽織った男、そう、ダンテが居た。
ダンテはまるでネロの事を待っていたかの様に、気配を感じると片手を上げて彼の元へと歩み寄って行った。
「よ、元気にしてたか?ん?」
そう言うとダンテは、ネロの頭をガシガシと揉みくちゃにした。
「うわっ、いきなりなんだよ……!やめろって……!」
「お前、せっかく看板送ってやったのに、連絡の一つも寄越さないなんてなぁ〜」
「あー!悪かったって!復興の作業でなかなか連絡出来なかったんだよ……!」
それなら仕方ないか、とダンテは思ったのか、フッと一息吐くとネロの頭から手を離した。
「それにしても、随分街の復興進んだな」
「アレから半年は経つし、ほぼ元の状態にはなっているぜ。ごく稀に、残っている悪魔達もいるけどな」
「そうか。ま、今のお前なら悪魔の相手くらいチョロいもんだろ?」
「あぁ。今のところ、強敵という強敵はいないからな。……お前みたいな」
ネロはダンテと戦った時の事を思い出し、軽く笑みを浮かべた。
それに吊られるように、ダンテも軽く微笑んだ。
「何はともあれ、元気そうで良かった」
「まぁな。そういえば、何でここにいるんだよダンテ。フォルトゥナに何か用事でも……?」
ネロの問いにダンテは片手を仰いだ。
「いいや、別に。暇してたから来ただけさ。お前の事や、この街の事も色々気になっていたし」
「それはどうも。この通り、街の復興もこうして順調だったわけだし、大したことは何もねぇよ」
「それなら安心だな。まぁ、久しぶりに会えた事だし、せっかくなら何処かで飯でも食べていかないか?あ、でも、あの嬢ちゃんが家でお前の事待っているか」
「いや、キリエなら今日は大丈夫。今日は孤児院に泊まりがけで仕事とかするらしくて」
あの事件以来、親を亡くした子供達が何人もいる。
キリエは、そんな子供達の世話に日々追われているようだった。
「成る程。あの嬢ちゃんも働き者だな」
「無理はしてほしくないけど、言っても聞かないんだよな、キリエ。昔からそういう人なんだ。面倒見が良すぎるというか。全く、困ったものだ……
そうは言うが、キリエの事を思い浮かべながら話すネロの表情がはにかんでいたのを、ダンテは見逃さなかった。
「まぁ、そういう事でキリエは今夜いないし、せっかくなら俺の家来いよ。飯はキリエが作ってくれてるのがあるし。何か食い足りなかったら余ってる食材で俺が何か作るからさ」
「お、それはどうも。お言葉に甘えるぜ坊や」
「坊や……って。はぁ……。早く坊やは卒業したいものだな全く……
ネロのその言葉の意味が、ダンテはこの時分からなかった。
「ほら、日が暮れる前に行こうぜ。どうせならそのまま泊まって行けよ。……話したい、事もあるし」
「?……あぁ、そうだな」
話したい事とは一体何だろう?と思ったダンテだったが、今は聞いてはいけないと思い、帰路を歩いていくネロの後ろを黙って着いて行った。



ーーーーーーーーーー



そして歩いて数分後、ネロとキリエが住んでいる自宅へとダンテ達は辿り着いた。
「ほら、上がれよ。先に飯にするか?シャワー浴びたいなら廊下進んで右の部屋な」
「そうだな。先に飯にしようぜ。朝からまともに食ってなくて腹ペコだ」
「朝から……って。お前の場合は数日前からだろどうせ」
「おいおい、そこまで悲惨な生活してないぜ?」
……どうだか」
確かに、ツケを払うまでピザ屋が来ない日もある。
その事を思い出すと、ダンテは目を泳がせた。
「まぁ、今夜は食べたいだけ食べろよ。食材、そろそろ使い切りたい頃だったし、ダンテが来てくれて丁度良かったぜ」
「ハハ。それはどうも」
「じゃあ、ちょっと用意するから、適当に座っててくれ」
そう言うとネロはキッチンの棚からエプロンを取り出し、それを装着した。
(ぇ……マジか)
その光景を目の当たりにしたダンテは口には出さないものの、内心かなり驚いてしまった。
外では勇敢にデビルハンターをやっていて生意気な口調のネロが、まさか自宅では料理の際にエプロン姿になるとは思いもせず、滅多に見れないその姿を、ダンテは思わずジッと見つめた。
青い色のシンプルなデザインのエプロン。
ポケットには、ネロのイニシャルの「N」が刺繍してあった。
恐らく、キリエのお手製であろう。
(ハハ。想像以上に、仲良しカップルだこりゃ)
一方ネロは、ダンテがそんな事を考えてたり自分の事を微笑ましく見ている事など知らず、ただひたすらにキリエの作った料理を温め直したり、余っている食材で追加の料理を作ったりしていた。
リビングには、食欲をそそる芳ばしい香りが漂う。


そして暫くすると、テーブルの上に料理が運ばれて来た。
「待たせたな。サラダは小皿に取って好きなドレッシングかけて食ってくれ。シチュー入ってる鍋もここに置いておくから、すくって食べたいだけ食べてくれ。あと、パンもあるだけ焼いといたから。それから、肉と野菜と卵適当に炒めたやつ。足りなかったらコレも食っていいから」
「おお……美味そうだな」
ダンテは、普段の自分の生活の中ではお目にかかることのない家庭料理の数々に、思わず感心した。
「悪いな、お前が好きなピザじゃなくて」
「いや、充分だ。まさか、嬢ちゃんとお前の手料理が食えるだなんてな。有り難く頂くぜ」
「よし、食うか」
そして二人は、しばらくの間夕食の時間を存分に過ごした。



ーーーーーーーーーー



「ふぅ、ご馳走様。美味かったぜ」
「そりゃどうも。ちょっと多かったかと思ったけど、やっぱ男二人だと平らげるのもあっという間だったな」
「そりゃあな。何せお前は食べ盛りだし、俺は普段まともに食えてないしで」
「おいおい……。悪魔が栄養不足でぶっ倒れる何て笑えねぇぞ……
「そうだな。ましてや、伝説の魔剣士スパーダの息子がな」
ダンテはそう言うと、ネロに出してもらったハーブティを口に運んだ。
キリエお手製のブレンドハーブティらしく、爽やかな味わいと香りが口内に広がった。
「酒でも買ってくればよかったな。俺はまだ飲めないけど」
「まぁ、たまには飲まずにこうしてゆっくりお茶するのもいいもんさ。それに……
「?」
「お前、何か相談があるんじゃないのか?」
「相談……?」
「ほら、さっき外で何か言いかけただろ?話したい事がある……って」
そう言えばそんな事言いかけた気がする……と、ネロはハーブティを飲みながら目を泳がせた。
話すか、それとも話さないか。
大した内容ではないが、この機会にモヤモヤを晴らしたい気はする。
ネロはフッと一息つくと、ハーブティが注がれたカップをそっとテーブルの上に置いた。
「その、まぁ……キリエとの事で……
ネロはどこか恥ずかしそうに、視線を泳がせながら口を開いた。
「成る程。やっぱお前が悩むとしたら、嬢ちゃんの事だろうなとは思ったよ。で、どうなんだ?上手くヤれてんのか?」
「まぁ、元々一緒に暮らしているし、いつも通りな感じなんだけど……
「?」
「その……なかなかあっちの方がさ……
ネロはそこまで言うと頬を染め、何処か遠くを見るようにダンテから視線を逸らした。
そんなネロの様子を見て、ダンテは具体的に何の事かを察した。
あっちの方……夜の営みの事だ。
「あー……アレだろ。お前の事だから、初体験終えたらそれ以降シてないとか……そんな感じか?」
……それがさ」
「?」
……
……
……
「まさか……
……そうだよ。初体験の「は」の字もねぇよ」
……嘘だろ」
「こんな事、嘘ついてもしょうがねぇだろ……
「いや、だって、あれから半年だろ?」
「そうだな」
「長年、一緒に暮らしているんだよな?」
「あぁ」
……手、よく出さなかったな。お前なら、簡単に襲えるだろうに」
「襲うって……。人聞きの悪い事言うな……!それに……
「それに?」
……言い訳かもしれないけど、街の復興で結構バタバタしてたし、キリエも孤児院の子供達の世話ばっかでさ……。その、なかなかタイミングが……
「うーん……まぁ、お前女慣れというか、恋愛慣れしてないだろうからな」
「はぁ……。恥ずかしいけど、その通りだよ。俺、キリエしか知らねぇもん。キリエ以外、こんな風に思った事ねぇよ」
「そんな事言っても、ほら、一人の時とかは別の女の写真でとか……諸々あるだろ?」
……それもない。友達に見せられた事あるけど、俺……本当にキリエでしか勃たねぇ……って、何言ってんだ俺……
男同士とはいえ、デリケートな話題にネロは恥ずかしさのあまり顔を両手で覆った。
「まぁ、いいじゃねぇか。一途な健全男子で」
「俺、本当にキリエ以外で元気になった試しがねぇよ」
「それはそれで凄いな、お前……
何て会話をしているんだろうと思いつつ、ダンテはネロがキリエに対する真っ直ぐで揺らがない想いに対して深く感心した。
「しっかし、意外だな。そんな嬢ちゃんお手製のエプロンまで着けているもんだから、俺はすっかり毎日イチャイチャラブラブな日々を過ごしているものだと思っていたが」
「いや、イチャイチャラブラブな日々は過ごしてはいるんだけどさ」
……
ダンテはあえてネロのその言葉に何も突っ込まず、本題へと話を進めた。
「要するに、夜の方だろ。お前の具体的な悩みは」
「まぁ……そうだな」
「別に焦る必要は無いと思うが、お前としてはもういい加減シたい……ってとこだろ」
「そりゃあ、シてぇよ……。何年一緒に住んでると思ってるんだよ……。それに、身体の相性ってやっぱり大事何だろ?」
「まぁな」
ダンテのその一言に、ネロは肩をがっくり落とすと深く溜息をついた。
「あー……どうすりゃいいんだよ……。俺自身の経験不足を恨みたくなるぜ……
「経験も何も、別にそれは人それぞれでいいんじゃないか?それに、お前にとったら、あの嬢ちゃん以外考えられないだろ。初体験の相手も最後の相手も」
「だとしても、初めてで「下手くそ」とか思われるのはつらいし、もし無事にセックスできたとしても幻滅されて一発勝負とかになったら、俺はどうすればいいんだよ……
「おいおい、一発勝負って……それは考えすぎだろ……。大体、あの嬢ちゃんだって初めてだろ?お前が上手いとか下手とか分かりはしないさ。それよりも大事なのは、きちんと避妊するとか、相手を想う気持ち、そういうところだぜ?」
「もちろん、分かってるよ。避妊はちゃんとする。それとは別に、あんまり痛い想いはさせたくないんだよな……。痛いんだろ?女の子は……
「そうだな。それに……
ダンテは視線を一瞬、下へと向けた。
「お前のソレ、あの嬢ちゃんにはキツイと思うぜ?だから、本番は焦らず、じっくり慣らして挿れることだな。しっかりと、嬢ちゃんの様子をうかがいながら。顔に似合わず、立派なモノ持ってるんだからな」
……っ!分かってるよ……。そこはキリエのペースに合わせるさ……
立派なモノと言われた部分に、ネロは恥ずかしいような嬉しいような、複雑な気持ちになった。
(確かに、我ながらサイズ感はいいほうだと思けど……
心の中でそう呟くと同時に、ネロはそんな立派な自身のモノを彼女の中に挿れる場面を脳内で浮かべてしまった。
やはり、痛いのだろうか。
しかし、いつしかコレを……



ーーぁっ……ネロ……



……!アホ!何考えてんだよ!まったく……俺ってやつは……
そう思うとネロは、恥ずかしさや情けなさからくる顔の熱を手で抑え込みながら、使った食器をキッチンに運び始めた。
熱いのは、顔だけじゃない。
こんな話をしてしまったせいか、体中……特に下のほうが妙に熱を篭っていた。
自身のモノがいきり立っているという訳ではないが、そんな感覚に近い。
少しでも油断してしまえば、それこそ本当にネロのモノは……
……!ダメだ……!今は抑えろ……!)
ネロは少しでも冷静さを保つために、キッチンに運んだ食器を洗うことに意識を向けた。

(やれやれ、あんなに顔を真っ赤にしちまってな)
一方ダンテは、そんなネロの様子に微笑ましくなりながら、やはりどうにかできないものかと一人考え込んでいた。
経験豊富とはいえ、自身にはネロのような特別な関係の女性がいない……という訳ではないが、事情が違う。
(まったく、恋に悩む男子は可愛いものだな)
自分にはそんな時期があったのだろうか。
ダンテはふと、今のネロと同じくらいの自分のことを思い出していた。
それなりに容姿は良かったためか、年頃になった時は街を歩いているだけで数多くの女性に声をかけられていた。
その中で、それなりの関係を持った女性も多少はいた。
しかし、その時のダンテには、家族の仇を討つという目的が大きかったため、恋愛に真剣になる余裕なんてなかった。
そのため、目の前にいる純粋な想いを抱く青年のような恋愛は、どうアドバイスすればいいのか分からないことがあった。
(できる限り、なんとかしてやるか)
ダンテはそう思ったあと椅子から立ち上がり、ネロに一言シャワーを借りる云々を伝え、リビングを後にした。
(さて、明日は坊やが起きないうちにこの家を出てって、嬢ちゃんの所へと向かうことにするか)
ダンテは、二人の明るい恋路を想像しつつ、浴室へと入っていった。


to be continued……