癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2019-12-15 11:37:43
2321文字
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My Pace

4のダンテとネロ。
BL要素なし。
ネロがほんの少し、自分自身にもがく話。

俺は時々思う。
こんなにも真っ赤なコートが似合う男は、この世にダンテしかいないだろうと。
それにしても不思議なものだ。
俺とダンテは同じ銀髪。青い瞳。
体格も、そんなに変わらない。
同じ悪魔の血だって流れている。
年齢の差、顔立ちも影響しているかもしれないが、それにしても不思議だ。
人それぞれ似合う色、似合わない色があるのはなぜだろう。
そんな疑問を持ちながら、俺はダンテと今、席を向かい合ってドリンクを飲んでいる。
悪魔退治の依頼後、いつも二人で寄る行きつけのバーで。
ダンテは相変わらずストロベリーサンデーを美味しそうに頬ばり、幸せそうな笑みを浮かべている。
(全く、こういう時は無邪気で可愛らしいとか思ってしまうんだよなぁ)
俺はドリンクを飲みながら、ダンテの事をジッと見つめていた。
そんな俺の視線に気づいたのか、ダンテはストロベリーサンデーをすくっているスプーンをテーブルにそっと置くと、俺に話し掛けた。
「どうしたネロ?俺の顔に何か付いているのか?」
「いや、付いてはいないけど、ストロベリーサンデーのクリームがいつ付くんだろうとハラハラはしていた」
「ハハ、何だそれ」
そう言うとダンテは、自身のドリンクを一気に飲み干した。
「いやぁ……それにしても、最近はお前と依頼をこなす事が多いな」
「そうだな。別に、特別手強い悪魔がいる訳じゃねぇし、報酬の事を考えたら一人でやる方が断然いいし。それなのに、お前と一緒に依頼をこなす方が楽しくてさ。だからダンテの事誘うんだ。まぁ、その時の気分にも寄るけど」
「成る程な。それは嬉しいな」
ダンテはどこか照れ臭くなったのか、頼んだドリンクとは別にテーブルに置いてあった水を一気に飲み干した。
そして、ダンテはバーのスタッフに再びドリンクを注文した。
頼んだのは、真っ赤なサングリア。
いかにもダンテが好きそうなお酒だった。
続いて俺も、二杯目のドリンクを頼んだ。
俺はまだ酒が飲める年齢ではないので、水色の炭酸飲料。俗にジュースだが。

暫くすると、俺たちが頼んだドリンクが同時に運ばれ、テーブルに置かれていった。
俺たちは二杯目のドリンクのグラスを互いに合わせると、再び飲み始めた。
それにしても、ダンテは相変わらず赤が似合う男だ。
真っ赤なサングリアを飲んでいる姿は、とても色気が漂っていた。
(俺もいつかダンテみたいな大人になった時、こういう風に色気が増すのだろうか)
しかし、そんな俺の姿はどう考えても思い浮かばなかった。
俺はずっと、このまま?
生意気なガキのままなのだろうか。
俺も、ダンテみたいになりたい。
いつでも余裕な心の持ち主である、ダンテみたいに。
いや、今は単純に赤が似合うようになってみたい。
そんな事を思いついたせいか、俺はダンテに着ているコートを貸してくれと、声をかけた。
ダンテは一瞬不思議そうな顔を見せたが、直ぐに着ているコートを脱ぐと、俺に手渡してくれた。
……サンキュ」
俺は、自身が着ているデニムコートを脱ぐと、ダンテのコートに袖を通した。
気のせいかもしれないが、俺のコートより大分重みがある。
よくこんなの着てあんな風に戦えるよな……と思った。
「うーん……やっぱりしっくり来ねぇな」
俺はバーのガラスに映る自身の姿を見て、そう呟いた。
「そうだな。似合わない……って訳じゃないけど、お前のイメージとはどこか違うかもしれないな」
……だよな」
「ん?」
「いや、俺もお前みたいに赤が似合うようになりたいなって、ちょっと思っただけさ。……というより、自分自身の色が何か知りたかったのかもしれない」
俺は、着ていたダンテのコートをそっと脱ぐと、それを持ち主の元へと返した。
(やっぱり俺は、ダンテのようになれないのかもしれない)
俺の中で、ダンテに対する憧れの気持ちが苦しくなった。
そんな俺の様子をどこか悟ったのか、ダンテは俺と正面から向かい合って、話始めた。
……ネロ、何をどう考えているか詳しくは分からないが、個性というものがあるだろ?」
……個性」
「あぁ。似合う色、似合う服、似合う髪型、女だとメイクとか。それを、ゆっくり見つけて行くしかないと思うんだ」
……
「俺は逆に、お前のデニムコートとか羨ましいぜ。小物使いも上手くて、お洒落だなと思う」
……
「憧れの人やなりたい自分がいて、それに届かない自分にもがいてしまう。だけど、それでいいと思うんだ。色々試していって、一番自分に似合う何かに辿り着けたら、それでいい」
……
「だからネロ、お前がやりたい事をたくさんやれ。そして、どんな事も後悔をしないように。挫けそうになったら、周りを頼れ。そうやって、自分を探していけばいい」
……
「さてと、まだまだ話したい事は山程あるが、俺も中々不器用な男だからな。上手く言葉が出て来ねぇ。店を出て、夜道を歩きながらまた語り合おうぜ?」
ダンテはそういうと席を立ち上がり、俺の分のドリンクの会計も払って店の外に出た。
続いて俺も、ダンテを追いかけるように店の外を飛び出して行った。

「夜風が気持ちいいな……
そう言いながら俺の数歩先を歩くダンテの背中は、とても広かった。
……そうだな」
いつもなら慌ててダンテの隣へと駆けていく俺だったが、どうもそんな気分ではなかった。
今はきっと、その背中を追いかける存在でいいんだ俺は。
時間は掛かるかもしれないけど、いつかお前の隣を堂々と歩けるように、必ず成長するから。

(ダンテ……ありがとう)

俺の中で何かが変わろうとする。
変えていく。
必ずな。



END