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癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2017-11-10 21:22:27
9246文字
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Heartbreak
レディが依頼中に怪我をしてしまったんだけど、それを何とかバレないようにしてて……。
けど、ダンテにバレてしまって……。
痛々しい表現とかちょっと流血あるから注意。
あと、レディ泣かせてごめん……゜゜(´O`)°゜←
二人の関係性は、皆様にお任せします。
「ダンテー!そっちはどうー?」
「もう少しで終わりそうだけどー?お前はー?」
「私の方も、もう少しで片付くわー!」
「了解ー!」
ここは、とある街外れにある森の中。
ダンテとレディは、二人で悪魔退治の依頼をこなしている最中だった。
どうやら最近、人々が住む街中に悪魔が現れることが多発していたらしく、ある住人からその原因を調べてくれと頼まれたダンテとレディ。
二人は、街中に数体現れていた悪魔を倒しつつその足跡を辿ったところ、悪魔が発生している元となっている森の中へと辿り着いた。
ダンテの推測によると、テメンニグルの事件のあとにまだ残っていた数体の悪魔の手によって、魔界から引き寄せたのだろうとのこと。
二人は早速、その原因となっている悪魔を倒した。
そして今、その悪魔によって発生してしまった多数の悪魔達の群れを、二手に別れて倒している最中だった。
「レディー!少し厄介な奴いるから気を付けろよー!赤いやつー!」
ダンテはレディから少し離れた場所で自身の周りにいる悪魔達の相手をしながら、レディに呼び掛けた。
一方レディも、悪魔達を倒しながらダンテの声に応えた。
「平気よー!全部見たことある悪魔ばっかだし。それより、早く片付けましょう!」
「そうだな!あと十分で終わらせるぞ!」
「了解ー!任せてー!」
そう言うとレディは悪魔達を一気に片付けてしまおうと思い、カリーナ=アンを構えると複数の悪魔達に向かってミサイルを放った。
その威力によって、レディの周りにいた悪魔達はあっという間に脆く散っていった。
「
……
ふぅ、私のところはこれで終了
……
かな」
レディは、依頼をこなしたことにより安堵の息を漏らした。
そして、未だ悪魔達の相手をしているダンテの手伝いをしようと思い、カリーナ=アンを担ぎ直した。
「とりあえず、これでよし
……
と」
その時だった。
背後から急にガサガサと物音が聞こえ、何かと思いレディが振り返った時には、その物音の正体
……
一体の悪魔がレディの直ぐ目の前まで迫っていた。
そして、武器である大きな鎌をレディ目掛けて振り上げていた。
「
……
!」
レディはその攻撃を咄嗟に避けようと、急いでサイドに転がろうとした。
しかし足場が悪かったせいか、レディは右足を地面に引っ掻けてしまい、足首を捻って勢いよく転んでしまった。
「
……
っ!」
微かにだが、足首の骨が折れたような音を感じたレディ。
その痛みに思わず表情を歪ませたが、もちろんそんな事お構いなしに、悪魔は次の攻撃に移ろうと再び鎌を振り上げていた。
レディは痛みを堪えながら、何とか体勢を立て直そうと悪魔の攻撃を避けようとした。
しかし、あと少しというところで悪魔の攻撃が避けきれず、悪魔が振り上げた鎌の刃先がレディの右脚のブーツの上から深く突き刺さった。
「っ!」
先程足首を捻った痛みもあるせいか、レディはかなりの激痛に更に表情を歪ませた。
そんなレディの様子を楽しんでいるかのように、悪魔はニタニタと笑うような表情を浮かべながら、レディの脚に突き刺さっている鎌をグイグイと動かした。
「!ぁああ
……
っ!」
次々と襲いかかる激痛に、レディは思わず声をあげてしまった。
このままでは悪魔にされるがままになってしまう。
最悪の自体を考えたレディは、一刻も早くこの状況を逃れようと鎌が刺さっていない方の足で、何とか悪魔を蹴り飛ばした。
悪魔は、レディに蹴り飛ばされた勢いで手に持っていた鎌を遠くへと放り投げてしまい、自身も体勢を崩して地面に倒れこんだ。
その隙に、レディは脚の痛みに耐えながらも何とか立ち上がって体勢を立て直し、悪魔目掛けてハンドガンで弾丸を一発撃ち込んだ。
「
……
さっきの、仕返しよ!」
そう言うと、レディは言葉通りかというくらいに、悪魔に弾丸が尽きるまで撃ち込んだ。
そして、悪魔が完全に怯みきったのを確認しカリーナ=アンを構えると、トドメにミサイルをその悪魔に撃ち込んだ。
その攻撃によって、悪魔は砂のように崩れ落ちていった。
「
……
っ」
同時に、レディも身体中の力が一気に抜け落ちたのか、地面にストンと座り込んだ。
そして、悪魔に刺された傷口と捻った足首からジクジクとした痛みが脚全体に広がり始めた。
丁度その時、悪魔退治を終えたダンテがレディの背後へと現れ、地面に座り込んでいる彼女へと声をかけた。
どうやら、レディの怪我には気付いていない様子だった。
「お疲れ様。
……
大丈夫か?」
そう言うと、ダンテはレディの正面へとまわり、彼女の両脇を抱えながら地面に立たせてあげた。
その時、レディの右脚にズキンと鋭い痛みが走ったが、それを悟られないようにレディはダンテから顔を背けた。
「
……
数が多くてちょっと大変だったけど、私は平気よ」
「ならよかった。
……
怪我とかしてないか?」
ダンテにそう聞かれたレディは一瞬驚いて目を見開いたが、直ぐに普段の表情に戻すと、ダンテの方へと顔を向けた。
「してないわよ、怪我なんて。そんなに手強い悪魔いなかったし。それより、早く帰りましょ?日が暮れないうちに森を抜けないと
……
」
「あー
……
そうだな。腹も減ったし、街に戻ったら飯でも食おうぜ。どうせ今日は泊まりだし」
「そうね。今日は大変だったから、依頼料もたっぷり貰わなきゃ」
「ハハ
……
。そうだな」
二人は少しばかり他愛ない話をしたあと、森を抜ける道を歩こうと進み始めた。
「あー!今日はピザを食うぞー!」
ダンテはレディの数歩前を歩きながら、森全体に響き渡る声でそう叫んだ。
「
……
っ
……
相変わらず、ピザばっかなんだから
……
。っぅ
……
!」
一方レディは、ダンテが話す事に応えながら怪我をした脚の痛みを必死で堪えていた。
そして、どんどん先を歩くダンテとの距離が離れないように、平静を装いながらいつも通りのペースで歩き続けた。
「そう言えば、今日泊まるところってどこなんだ?」
「
……
っ!
……
ぇ?あ
……
えっと、依頼人が空いてる部屋があるから、そこ使ってくれって
……
」
「それならホテル代とかいらねぇな!金欠だから助かったぜ」
「全く
……
。っ
……
!
……
アンタって奴は
……
」
レディはダンテの話に応えつつ、脚の怪我がバレていないことにホッと胸を撫で下ろした。
そして、このまま自身の方に振り返らないで真っ直ぐ歩いてくれる事を祈りながら、ダンテの後ろを着いていくように歩き続けた。
もし怪我をしてしまったことがバレてしまったら、ダンテに心配をかけてしまうし、ちょっとした油断によって悪魔に怪我を負わされたなんて話が広まってしまえば、今後の悪魔退治の依頼にも響いてしまう。
そう思ったレディは、先程の出来事をこのままダンテや誰にも言わずに過ごすことを決めた。
「(正直かなり痛いけど、何とか大丈夫
……
そうね
……
)」
しかし、そう思ったのも束の間だった。
レディは段々と気分が悪くなるのを感じてきた。
それもそのはずだった。
無理して歩き続けたせいで傷口が開いてしまい、血がドクドクと流れ始めてしまったのだ。
おまけに、捻った足首の痛みもズキンズキンと脈打つように全身に響き渡っていた。
「(堪えろ
……
私
……
)」
そう心の中で呟いて気を保とうとするも、レディの視界はグラグラと揺れてくる一方だった。
「
……
っ」
このままでは倒れてしまう。
レディはそう思うと、側に転がっていた丸太に静かに腰をかけた。
そして、瞼を閉じると深呼吸を数回繰り返し、少しでも気分を落ち着かせようとした。
「
……
レディ?」
一方ダンテは、自身の後方から急に足音が止んだ事に疑問を持ち、ゆっくりと振り返った。
少し距離が開いたその先には、レディがどこか辛そうにしながら丸太に座り込んでいる姿が伺えた。
「おーい!どうした?」
ダンテは、レディの元に歩み寄りながら声をかけたが、レディはまるで聞こえていないかのように膝を抱えて蹲っていた。
「(
……
具合でも悪いのか?)」
ダンテは急いでレディの元へと近付き、彼女の事を見上げるように正面へと座りこんだ。
「レディ、どうした
……
?」
「
……
っ、ごめん。ちょっと
……
貧血
……
」
「貧血?」
「
……
うん。疲れが溜まってるだけ
……
だから
……
」
「大丈夫か?少しここで休んでから行くか
……
?」
「
……
ううん、落ち着いてきたし
……
もう歩ける
……
わ
……
」
レディはそう言うと、腰をゆっくりと持ち上げていった。
「おいおい、顔色良くねぇし
……
無理すんなよ」
「大丈夫だって
……
。ほら、早く行かないと日が暮れちゃう
……
」
そしてレディは、歩き出そうと思い足を一歩進めようとした。
「
……
っ!」
その瞬間、レディの右脚全体に今まで以上に鋭い痛みがズキンと走った。
そのあまりの痛さに、レディは再び丸太に腰をかけると、右脚を抱えるように蹲った。
「
……
」
そんなレディの様子を見たダンテは、流石に何かおかしいと思い、レディが抱えている右脚へと目を向けた。
その瞬間、ダンテは息が止まったような感覚に陥った。
レディが履いているブーツが染まってしまうのではないかというくらいに血が滲んでおり、地面にも血が滴り落ちていた。
それを見たダンテは、先程悪魔にやられた傷だと直ぐに悟った。
「
……
レディ、脚見せてみろ」
ダンテは、急に声のトーンを落とすとレディに話し掛けた。
「っ
……
!
……
大丈夫よ、これくらい
……
」
そうは言うものの、レディは痛さのあまりに脚を抱えて蹲ったままだった。
「大丈夫じゃねえだろ。
……
見せてみろ」
ダンテは先程よりも声のトーンを落として、再びレディに話し掛けた。
しかし、レディは首を横に振るだけで、蹲ったままだった。
「
……
レディ、見せるんだ」
ダンテは更に、声のトーンを落としてレディに話し掛けた。
それでもレディは、首を横に振るだけだった。
時既に遅しだが、怪我してることをバレたくないという気持ちの表れだった。
そんなレディの様子に痺れを切らしたのか、ダンテは脚を抱えている彼女の腕を半ば強引に引き離すと、ブーツを脱がそうとした。
その事に驚いたレディは慌ててダンテの手を掴もうとし、その行為を止めようとした。
「ちょっとダンテ
……
!大丈夫だから
……
」
「いいから」
「やめて
……
!本当に大丈夫だっ
……
」
「いいから見せろ!」
「
……
!」
レディは急に声を張り上げたダンテに驚き、思わず固まってしまった。
その隙にダンテは器用にレディのブーツと、そのままソックスを全て脱がした。
「
……
ひでぇな」
レディの怪我を見たダンテはどこかやるせない気持ちになり、そう呟くので精一杯だった。
レディが捻った足首は酷く腫れ上がっており、悪魔の鎌にさされた傷口からは血がどくどくと流れ続けており、微かに化膿し始めていた。
レディの怪我だからか、血や傷口を見慣れているダンテでも、痛々しいその光景に思わず目を背けたくなる衝動に駈られてしまった。
だが、怪我をしてから大分時間が経ってしまった事を考えると、一刻も早く手当てをしなければならない。
そう思ったダンテは、手当てをするためにレディの脚を軽く掴んだ。
しかし、そんなダンテの行為を拒否するかのように、レディは自身の脚を掴んでいるダンテの手を引き剥がそうとした。
「
……
平気よ、これくらい
……
」
「駄目だ。手当てするから、手を離せ」
「アンタに、迷惑かけるわけにいかないから
……
」
「そんな事言ってる場合か。ほら、早く手を離せ」
「
……
っ!いいから!」
そう言うとレディは、自身が今持っている力を全て振り絞るかのように、ダンテの手を引き剥がしながら叩くように強く振り払った。
辺りには、痛々しい音が鳴り響く。
「
……
」
ダンテは、レディのその行動に無心のような感覚になってしまい、蹲ったままのレディに鋭い眼差しを向けた。
「もう
……
いいから
……
!」
しかし、そんなダンテの眼差しに気付いていないレディは、深い怪我をしてしまった自身の情けなさを八つ当たりするかのように、声を張り上げ始めた。
「本当に平気だから
……
!っ
……
早く行ってよ!」
「
……
」
「一人で
……
帰れるから
……
!」
「
……
」
「私に構わないで!っ
……
ほっといて!」
「
……
」
「手当てなんて
……
っぅ
……
!余計なお世話よ
……
!」
「
……
」
レディはダンテが何も言い返してこないのをいいことに、やるせない思いを言いたい放題に言ってしまっていた。
しかし、それと同時に、ダンテの中でも怒りのような何とも言えない感情が湧き上がっていた。
そんなダンテの心情をもちろん知らないレディは、先程の勢いのままダンテに声を張り上げ続けてた。
「これくらい
……
大したことないわ
……
!」
「
……
」
「
……
だから、さっさと行きなさいよ!」
「
……
」
「っ
……
!」
「
……
」
「本当に、平気だっ
……
」
「ふざけんな!」
「
……
!」
「これのどこが平気なんだよ!何でもっと早く言わなかったんだ!こんな怪我で一人で帰れる訳ねぇだろ!バカかお前は!」
「ぁ
……
私
……
」
「俺が気付かなかったらこのままでいるつもりだったのか?!本当に歩けなくなったらどうするつもりだったんだよ!意地張るのもいい加減にしろ!」
「
……
」
レディの話を黙って聞き続けていたダンテだったが、遂に己の中で抑えていた理性の糸が切れてしまい、驚いて目を見開いているレディの様子を余所に今度は自身が声を張り上げてしまった。
ダンテにこんな風に怒鳴られた事がないレディは、驚きと恐怖の余りに怒りで満ち溢れているダンテの瞳をジッと見つめたまま固まってしまった。
そして、身体の奥から様々な感情が込み上げてきてしまい、涙となってレディの視界を揺らがせた。
「大体、お前は!
……
って、おい、レディ
……
?」
そんなレディの様子に気付いたダンテは、再び声を張り上げてしまいそうな自身を何とか抑えると、今度は落ち着いた口調で彼女に話し掛けた。
「
……
」
「っ
……
」
レディは今にも泣きそうな表情を浮かべながら、唇を震わせていた。
「っぅ
……
」
「
……
ごめん、言い過ぎた
……
」
そう言うと、ダンテはレディの頭をポンッと一撫でした。
その事によって、レディは我慢していた苦しみや悲しみや傷みから解放されたような気分になり、フッと全身の力が抜けた。
同時に、レディの瞳からは涙がボロボロとこぼれ落ち、顔を両手で覆うと声を押し殺すように泣き始めてしまった。
そんなレディの様子を心配するように横目に見つつ、ダンテはレディが側に置いていた手荷物をガサゴソと漁り始めた。
「
……
とりあえず、手当てするから
……
。悪いけど、この洋服とかハンカチとか借りるぞ。あと、水も
……
」
ダンテは、レディがその事を了承する前に手荷物からレディが上着に持ってきていた白地のカーディガン、ハンカチ、水が入っているペットボトルを取り出した。
「大分沁みると思うけど
……
」
そう言うと、ダンテはペットボトルの蓋を開けて、レディの脚の傷口を洗うように水をかけた。
「っ
……
!」
その痛さに、再び表情を歪ませるレディ。
そんな彼女の様子を見て、どこか申し訳ないと思いつつも、ダンテはレディの怪我の手当てをし続けた。
「よし、傷口はある程度洗ったし、止血とかしねぇと
……
」
続いてダンテは、レディのカーディガンを包帯くらいの幅に何個か引き裂くと、それを上手く繋げて傷口の上から巻き始めた。
「ちょっとキツく巻くけど、血が止まるまで我慢しろよ」
「
……
っぅ」
「さてと、次は足首だな
……
」
切り傷の手当てをある程度終えたダンテは、ペットボトルに入ってる残りの水でハンカチを塗らし、それをレディの足首へと巻き始めた。
「折れてはないだろうけど、少しでも冷やしとかねぇとな
……
。大分腫れてるし」
「
……
ぅん」
「
……
悪いな。俺、ハンカチとか持ってなくて、お前の服
……
」
「
……
」
「あと、右脚のブーツはこの場に捨てとくな。街に着いたら、新しいの買おうぜ」
「
……
ぅん」
「よし、とりあえず終了」
簡単にだが、レディの怪我の手当てを終えたダンテはホッと胸を撫で下ろすと、未だに顔を両手で覆っている彼女の頭を優しく撫でながら微笑みかけた。
「お待たせ。さて、そろそろ街に
向かおうぜ
……
とは言っても、
……
歩けるか?」
ダンテのその問いに、レディは静かに首を横に振った。
「
……
だよな。そしたらおぶってやるよ、ほら
……
」
そう言うと、ダンテはレディに背中を向けた。
「
……
ありがと」
レディは一言ダンテに礼を言うと、ダンテの背中に身体をドサッと預けた。
いつもならダンテの行為を頑なに拒否する彼女だが、先程泣き疲れたせいもあるのか、もう恥ずかしさやプライド等は今の彼女にとってどうでもよくなっていた。
「
……
じゃ、行くか」
そんなレディの様子や心情を感じつつ、ダンテは彼女が自身の背中にきちんとおぶさったのを感じると、ゆっくりと立ち上がって森を抜ける道を歩き始めた。
ーーーーーーーーーー
「
……
」
「
……
」
それから二人は暫く黙り続けたまま、森を抜ける道をゆっくりと進んでいた。
というのも、レディは未だにダンテに怒鳴られた事に傷心しているせいか、話しかけようにも話しかけられないでいた。
しかし、それとは逆にダンテは時間が経つに連れて気持ちが落ち着いたのか、背中越しにレディの温もりを感じながら彼女に話しかけた。
「なぁ、レディ
……
」
「
……
ん?」
「何で、怪我のこと早く言ってくれなかったんだ
……
?」
ダンテは、ずっと疑問に思っていた事をレディに問いかけた。
「
……
その」
「
……
」
「ダンテに、余計な心配かけたくなくて
……
」
「
……
」
「あと、デビルハンターがこんな怪我してしまうなんて
……
何だか情けなくて
……
。こんなんじゃ、仕事が務まらないなって
……
思って
……
それで
……
」
レディのその言葉を聞いたダンテは、聞こえるか聞こえないかくらいの大きさで深く溜め息をつくと、再び彼女に話しかけた。
「あのなぁ、いくらデビルハンターとはいえ、お前だって普通の女の子なんだから、そうやって無茶はするなよ
……
」
「
……
何よそれ。私がいると邪魔だって言いたいの
……
?」
ダンテの言葉を変に誤解したレディは、不機嫌そうに返答をした。
「
……
?!バ
……
、ちげぇよ!
……
っ
……
そうじゃなくて
……
」
もちろんダンテはレディを心配して言ったのだが、逆に変な誤解をされてしまったため、慌てて彼女が言った事を否定した。
「レディ、あのさ
……
」
「
……
何よ」
「俺、お前の事邪魔だって思ったことないぜ
……
本当」
「
……
」
「お前とはこうやって何回か依頼とかこなしてるけど
……
正直、お前のおかげで助かってるところとかあるし、頼りにしてるというか、信じてるというか
……
」
「
……
」
「まぁ、流石に手強すぎる悪魔相手にしてるの見ると心配になるけどな
……
」
ダンテはそう言うと、力なく笑った。
「お前、生身の人間であることには変わりないから、たたでさえ色々と傷付きやすいのに
……
。それ以上身体に傷は増やして欲しくねぇな
……
ってのが本音」
「
……
ごめん」
「別に、謝ることはないさ。職業柄、しょうがねぇとは思ってるし。でもな、それでも心配になるんだよ
……
俺は」
ダンテのその言葉を聞いたレディは、目頭が熱くなるのを感じた。
そんなレディの様子を知らないダンテは、そのまま話し続けた。
「あの時、「お前じゃ無理だ」って言ったのも、そういうことなんだよ。
……
今更だけど」
「
……
」
「お前の事だろうから、プライド高いのとか責任感の強さとか悔しさとか、そういうのがあるのは分かる。だけどな
……
」
「
……
っ」
「それでもやっぱり、無理はしないでほしい。一人で突っ走ったり抱え込んだりしないで、俺に全て託すくらいの勢いで、もっと俺を頼って欲しい
……
なんてな」
ダンテは優しい声色で力なくそう言うと、歩いていた足をピタリとその場に止めた。
そして、身体の奥から込み上げて来るものをグッと堪えるように木々の隙間から微かに見える夕暮れの空を見上げた。
「
……
?」
一方レディは、急に立ち止まったダンテの様子が気になったのか、表情を伺おうと身を乗り出そうとした。
しかし、微かに彼の瞳に光るものが視界に入ったレディは、身を乗り出すのをやめて彼の背中に口付けを落とすかのように自身の顔を埋めた。
それは、彼女なりの慰めのような行為だった。
そんな彼女の心情や行為に気付いているのか気付いていないのかは定かではないが、ダンテは優しく口元を緩ませ、再び話し始めた。
「こんなこと、お前の顔を見て言えたらいいんだけどな。情けないことに、俺も傷心気味なんだ。
……
今のお前みたいに」
「
……
」
「怒鳴って
……
ごめんな」
「
……
ううん」
「お前、すげぇ泣いてた
……
」
「
……
大丈夫よ」
「
……
」
「
……
」
「怪我、早く治るといいな
……
」
「
……
うん」
「
……
今夜は、ゆっくり休もうぜ」
そう言うと、ダンテは再び歩き始め、森を抜ける道を進んだ。
「
……
」
「
……
」
そして二人の間には再び、沈黙が訪れた。
ーーーーーーーーーー
それから数分後、ダンテとレディはようやく、森を抜ける出口へと辿り着いた。
「レディ、街が見えてきたぜ」
ダンテはその事を伝えようと思い、レディに話し掛けた。
しかし、レディは応える様子はなかった。
「
……
レディ? 」
「
……
」
「
……
」
「
……
」
「
……
寝ちまったか」
そう。レディは肉体的にも精神的にもかなり疲れが溜まってしまったせいか、いつの間にかダンテの背中でぐっすりと眠っていた。
その証拠に、ダンテの耳元には彼女の規則正しい寝息が聞こえてきた。
「
……
ハハ。この体制だと、可愛い寝顔が見れないのが残念だな
……
何て言ったら、お前は怒るのかな
……
」
「
……
」
「
……
怪我が治ったら、また二人で仕事しような」
「
……
」
「むしろ、デートでもいいぜ」
「
……
」
「お前がいないと、寂しいし
……
」
「
……
」
「でも、本当に無理はするなよ」
「
……
」
「好きな子が傷付くのは
……
かなり辛いんだぜ
……
」
「
……
」
「なんて
……
」
(こんなこと、お前の顔見て言えたらいいんだけどな
……
)
「とりあえず、まずは依頼人のところ行って、怪我の手当てし直したら飯たくさん食って、今夜はぐっすり眠ろうぜ。
……
な、レディ?」
ダンテは自身の背中でぐっすりと眠っている彼女に優しく話し掛けたあと、森を抜けて夜の闇に静まる街中へと向かって行った。
END
(寝たふりなんて、しなきゃよかった
……
なんて)
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