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癒羽琉(ユウル)/由羽(ユウ)
2017-10-22 21:49:06
5659文字
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RING
3よりあとの時系列のダンレディイメージ。
アニメか4あたりかな?
時系列はお好きにどうぞ!
レディのお母さんがレディに遺した物とは……
「ダンテー?いるー?」
そう言って、ダンテの自宅兼事務所、“Devil May Cry”の扉を乱暴に開けたレディ。
そのせいか、扉を留めている金具がわずかに緩んだ。
「おいおい
……
。扉の開け方、親から習わなかったのか」
「いつも蹴り飛ばしているアンタに言われたくないんだけど」
そう言われたダンテは、痛いところを突かれたなと思い、レディから目を反らすように机の上に置いてある雑誌をパラパラとめくった。
そんなダンテの様子を見たレディはどこか呆れたようにため息をつくと、ダンテと向かい合うように事務所のデスクの正面に立った。
「ところで、用件なんだけど」
「金ならねぇぞ」
「知ってる。というか、借金の話じゃないのよ今日は
……
」
そう言うと、レディは少し顔を俯かせながら目元にかけてあったサングラスを外して胸元に掛けた。
そして、ジャケットのポケットから小さな箱を取り出すと、それをデスクの上にそっと置いた。
「ん?なんだ、これ
……
」
「指輪」
「え?」
「だから、指輪よ。婚約指輪。男女のセットになってるやつ」
「婚約指輪?何でそんな物急に
……
って、まさかお前、俺にプロポーズしに来たのか?」
「
……
!?」
ダンテの言葉にレディは若干頬を赤く染めると、目を見開いて驚いた。そして、軽く息を吸うと少し声を張り上げた。
「違うわよバカ!大体、プロポーズなら普通男からするものでしょ!」
「あ、そうか」
「もう、アンタって奴は。これはその
……
お母さんの遺品整理してたら出てきた物で
……
」
「遺品?」
「うん。命日も近かったから何となく
……
。そしたら、偶然見つけて
……
」
「なるほど
……
」
そう言うと、ダンテは箱を開けて女性物の方の指輪を手に取り、指先で摘まみながらそれをジッと見つめた。
シンプルなシルバーのリングだが、よく見ると細かく宝石が埋め込まれてあり、それが室内の明かりに反射してキラキラと輝いていた。
「なかなか高そうな指輪だな」
「お母さん、アクセサリーは高級なの買う人だったから、多分それも
……
」
「へぇ
……
。で、つけてみたのか?これ」
「ううん。まだ
……
」
「何で?つけてみればいいじゃないか」
「だって
……
」
レディはどこか切ない表情を浮かべると、ジャケットのポケットの中をガサガサと漁り、小さく折り畳んだ紙を取り出した。
それは、レディが母親の遺品を整理しているとき、指輪と共に見つけた母親からレディ宛てへの手紙だった。
レディはその手紙をゆっくりと広げると、ダンテに見せるように事務所のデスクの上にそっと置いた。
「ん?これって
……
」
「読んでみて」
「え?」
「いいから」
「?あぁ」
ダンテは俯いたままのレディを気にかけながら、デスクの上に置かれた手紙へと目を通した。
「えっと、なになに
……
」
手紙には、こう記されていた。
[親愛なるメアリへ
これは、ちょっとした私の好奇心です。
あなたの輝かしい未来を想像しながら選びました。
この指輪を見つけてくれるのがいつになるか分からないけれど、もし見つけてしまったときは、私やお父さんや誰にも言わないで、どうかそのまま静かに受け取って下さい。
というのも、言いふらされると私が恥ずかしいのが理由です。
出来れば、私とあなただけの秘密にしておきたいな
……
なんてね。
見れば分かると思うけど、指輪は女性物と男性物のペアリングです。
もし、既に素敵なお相手がいたら申し訳ないけど、この指輪がピッタリ合う人があなたの運命の人だったらいいな
……
と思いながら選びました。
あなたの指のサイズも想像で選んだので、合うかは分からないけれど、ピッタリだったらいいな
……
。
ウェディングドレスを着ているあなたの姿、楽しみにしているわね。
どうか、素敵な人と出会えますように。
メアリ、あなたはとても可愛いくて素敵な娘です。
どんなことがあっても、私があなたの前からいなくなるようなことがあっても、私はあなたの幸せをいつも願っています。
どうか、いつまでも素敵な“レディ”のままで
……
]
「「
……
お母さんより」だとさ」
ダンテは手紙を読み終えると、デスクの向かいに立っているレディのことをそっと見上げた。
レディは、相変わらず俯いたままだった。むしろ、先ほどよりも顔を俯かせ、込み上げてくる何かを堪えようと唇を噛み締めていた。
「
……
レディ?」
そんな様子のレディを疑問に思ったのか、ダンテはレディの表情をうかがうように首を傾げた。
「おい、どうした?」
「
……
」
「レディ?」
いくら呼び掛けても、俯いたままのレディが心配になったのか、ダンテは椅子から立ち上がるとレディの正面へと立ち、彼女の頭を優しく撫でた。
ダンテのその行為に、レディは瞳の奥が熱くなるのを感じた。そして、両手で自身の顔を覆うと肩を震わせて声を押し殺すように泣き出した。
その様子を見たダンテは、レディが少しでも落ち着くようにと彼女を自身の胸へと抱き寄せ、そのまま頭を優しく撫で続けた。
「
……
レディ、お母さんのことでも思い出したのか?」
ダンテがそういうと、レディはダンテの胸に顔を埋めながら静かに頷いた。そして、少しでも気持ちを落ち着かせようと軽く深呼吸をしたあと、重たくなった口をゆっくり開いた。
「私、怖かったの
……
」
「怖かった
……
?」
「手紙を読んで
……
もし、指輪のサイズが合わなかったら
……
とか
……
」
「
……
」
「それに、私
……
お母さんが望んでいたような未来になってなくて
……
。いい歳しといて、このままでいいのかなって
……
」
「
……
」
「今の私なんか見せたら、お母さんに
……
嫌われてしまうんじゃないかなって
……
」
「
……
そっか」
「私、いつまでも駄目な娘だなって
……
」
「
……
レディ、それ以上は無理に言わなくていい」
そう言うと、ダンテは更にレディを自身の胸へと引き寄せて、彼女の頭に自身の顔を埋めるようにギュッと抱き締めた。
父親の件もあったからこそ、レディにとって母親はたった一人の大切な家族。
だからこそ、娘ながらにそんな母親の望みを叶えてあげられなかったことがレディにとっては辛かったんだなと、ダンテは思った。
ダンテ自身も、母親の望みを叶えられず、助けられず、失ってしまった気持ちは痛いほど分かるため、彼女の体を抱き締めながら、自身もその傷心をグッと噛み締めた。
「
……
」
そんな時、ダンテが不意に視線をデスクへと移すと、先ほどレディがデスクの上に置いた指輪が視界に入った。
ダンテはそれを見て、一旦レディの元から離れると指輪をそっと手に持った。
「
……
ダンテ?」
レディは、急に自分から離れて指輪を手に持ったダンテを疑問に思い、涙を拭いながら首を軽く傾げた。
「なぁ、レディ」
「
……
ん?」
「ここはさ、一か八かで試してみたらどうだ?
……
指輪」
「
……
え」
レディはダンテの言ったことが一瞬理解出来ず、固まってしまった。その合間にダンテはレディの左手のグローブを器用に脱がすと、薬指をそっと掴んだ。
「
……
え?ちょっと、ダンテ
……
!」
「いいから、ジッとしてろ」
「ゃ、待ってよ
……
!だって、もし
……
」
「「サイズが合わなかったら
……
」ってか?」
「
……
ぅ」
ダンテにそう言われたレディは、不安から再び瞳の奥が熱くなるのを感じた。しかし、そんなレディとは逆にダンテはどこか明るい様子だった。
「ほら、ここは潔く、サイズが合わなかったら合わなかったで諦める。チェーンに通してネックレスにでもすればいいじゃないか」
「まぁ、それもいいけど
……
」
「はい、決まりだな」
そう言うと、ダンテはレディの左の薬指の先に指輪を着け始めた。
「ゃ、ダンテ
……
!待って
……
!」
しかし、その行為から逃げようと、レディは強引に左手を引っ込ませた。
やはり、サイズが合わなかったらという不安からなのか、部屋中に響き渡っているのではないかというくらいに、レディの鼓動は強く脈打った。
「
……
あのさレディ、ここは一つけじめをつけるのも手だぞ。
……
辛い結果だとしても」
「分かってるけど、やっぱり
……
」
「
……
」
なかなか決断が出来ないレディを見て、ダンテはフッと一息つくと、彼女が引っ込めた左手を再び手にとった。
そして、少し涙で潤んでいる彼女の瞳を見つめながら優しく微笑みかけた。
「大丈夫。俺もサイズに関しては確信は出来ないが、この指輪はお前によく似合うぜ。結果がどうであれ、せっかくお前の母さんがお前のために遺してくれた物だろ?母さんの、その想いに応えるためだと思ってさ
……
つけてみないか?」
「ダンテ
……
」
ダンテのその言葉に、レディは不安な気持ちが身体中からスーッと抜けていった。
確かに、せっかく母親が自分の未来を思って遺してくれた物。
結果がどうであれ、着けないまま指輪をしまいこんだりするのは勿体無いというか、自分のために選んでくれた母親の気持ちを踏みにじってしまうような気分だった。
レディは、覚悟を決めようと軽く深呼吸をしたあと、ダンテに指輪をつけてくれと訴えるように、ダンテの瞳をジッと見つめた。
「
……
レディ」
ダンテはレディが覚悟を決めたのを悟ると、彼女の左手の薬指を優しく掴み、再び指輪を指先へと当てがった。
「
……
つけるぞ」
「
……
うん」
レディが頷いたと同時に、部屋には沈黙が訪れた。
「
……
っ」
緊張感が漂う空間を堪えようと、レディはギュッと目を瞑ると顔を俯かせた。
一方ダンテも、余裕は見せてはいるが指輪を持つ手が若干震えているのを感じた。ダンテ自身も、レディの母親の想いが叶って欲しいという気持ちがあったからこそだった。
レディの指に指輪がピッタリであってほしい。
ダンテは、その想いがどうか叶ってくれと頭の片隅で囁いたあと、指輪をレディの左手の薬指にゆっくりとつけていった。
「
……
」
「
……
っ」
指輪は、指先から第一関節にかけて一気にスルリとハマった。
問題は、次の第二関節。
指輪は大抵ここで引っ掛かり、つけられないことが多い。
しかし今更引き返す訳にもいかず、ダンテとレディ、共に緊張感を漂わせながらも、ダンテは指輪を奥へと押し込み、レディは指輪が薬指につけられている感触をジッと堪えていた。
「
……
」
「
……
」
……
そして、長いようで短かったような、緊張感が漂う時間が終わった。
「
……
レディ」
「
……
ん?」
「目、開けてみろよ」
ダンテにそう言われたレディは、ゆっくりと瞼を開くと、恐る恐る自身の左手の薬指へと視線を向けた。
「
……
ぁ」
「よかったな、ピッタリじゃないか」
「ぇ
……
うん」
先ほどのレディの不安が嘘だったかのように、レディ左手の薬指には母親の遺品の指輪がピッタリとつけられていた。
しかも、大きくも小さくもなく、丁度いいくらいのサイズだった。
まさか、こんなにも自身の指にピッタリと指輪がハマるだなんて思ってなかったレディは、喜ぶ気持ちよりも驚きの方が勝ってしまい、思わず目を見開いて固まってしまった。
そんなレディの様子を見たダンテは、安心したかのようにレディに微笑みかけると、彼女の左手を再び手に取り、そのまま手の甲に唇を落とした。
「よく似合ってるぜ、レディ
……
」
そう呟いたあと、ダンテは椅子へと腰をかけ、デスクに置いてあった雑誌を再びパラパラとめくり始めた。
「
……
」
一方レディは、ダンテの唇が落とされた手の甲を右手でギュッと掴むと、恥ずかしさや驚きからなのか、ダンテから顔を背けるように事務所の扉へと視線を向けた。
「
……
」
こんなこと、ダンテのノリや性格からして珍しいことではない。
それなら何故、こんなにも胸や息が苦しくなるのか。
顔が熱い。ダンテの唇が触れた手の甲も熱い。
指も
……
。
「ダンテ、私
……
」
レディは、ダンテの方を振り返らないまま、話かけた。
「
……
ん?どうした、レディ」
ダンテも、雑誌をパラパラとめくったまま、レディの問いに応えた。
「あの
……
」
「ん
……
?」
「
……
」
「
……
」
「私
……
」
「
……
」
(運命の人、見つかるかしら
……
)
「
……
」
「
……
」
「ダンテ、私
……
今日はもう、帰るわね
……
」
「
……
分かった」
「
……
いろいろ、ありがとう」
「いや、別に
……
」
ダンテは相変わらず、雑誌をパラパラとめくったまま、レディの話を聞いていた。
しかし、目線は彼女
……
レディの背中をずっと見つめていた。そのことをレディは知る術も無く、ダンテに背を向けたまま「じゃあね」と片手を上げて手を振ると、“Devil May Cry”を後にした。
***
「
……
」
レディが去ったあと、ダンテはパラパラとめくっていた雑誌をパタンと閉じ、デスクの上に置き戻した。
「それにしても、婚約指輪
……
か。まあ、俺には縁のない話だろうがな」
そう言うと、ダンテはデスクの上に置いてある小さな箱へと目を向けた。
「
……
」
それは、レディが持ってきた婚約指輪が入っていた箱だった。
しかも、男性物の指輪は入っているままだった。
「そういえばアイツ、指輪つけたまま帰ったのか」
ダンテは、そんなレディの様子を思い浮かべながら、箱に入っている男性物の指輪をそっと手に取った。
それは女性物と同様、シンプルなシルバーの指輪だったが、やはり同じように宝石が埋め込んであり、キラキラと輝いていた。
「「この指輪がピッタリ合う人があなたの運命の人だったらいいな
……
」か
……
」
レディの母親がレディに送った手紙の内容の一部分。
それを呟くと、ダンテは自身の左手につけてあるグローブを外し、手に持っていた指輪を左手の薬指にゆっくりと当てがった。
……
「
……
」
運命とは、何て残酷なのだろう
……
「ハハ、困ったな
……
」
(ピッタリだ)
END
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