春野ツバサ
2025-09-23 21:37:01
6527文字
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やってきたのはポケットでモンスターな世界です【ポケモン小話】

ZAに滾った結果です。
本当に。年単位ぶりにホームの畑で筆をとりました。果たしてこれを純粋にポケモン小説と呼んでいいのかはわかりませんがねw(蹴
完全思いつきで書き殴ったのでおそらく続きません。おそらくじゃないです続かないです。まぁ、続き見たいと思う方いないでしょうがねw
1人称誰やねんっと思われましたら支部にて投下中の自作をよろしくねっと宣伝しておきますっ(撲殺
無断転載及びAI学習はご遠慮くださいませっ。

……どうしてこうなった」
 思わず顔を覆って天を仰ぐ。でも、置かれた状況を考えるとそれも許されると思うんですよ。
 旅にトラブルは付きものとはよくいったものだけれども。こうも頻度が高いとぼやきたくもなるというものっ。眼の前に立つ人でないもの達が殺意を込めてこちらを威嚇してくるのも起因しているのだけれども、それはいい。襲われるのには慣れてるし。

 ――ぐるるるる――

 低い唸り声を上げるのは人でないもの。とはいえ、それが怪人とか怪物とかの類であるならば問答無用でしばき倒してる。だって話が通用する相手じゃないし。そも、会話が成立するんだったら最初から侵攻なんぞしてこないだろうし。や、成立する輩も何パーかはいたけど、結局最終的には肉体言語でのオハナシアイだし。ヤることは変わりないのですよワトソンくん。
 喧嘩勃発に発展しないのはそれがぶっとばす対象になり得ないから。
 顔を覆った手の合間からチラリと目の前の存在を盗み見る。
 見た目は確かに人とは異なる風貌をしている。知らない人間が見れば怪物、モンスターと比喩されてもおかしくはない存在。実際モンスターという分類ではあるし。
 だがしかし、こちら側の対応次第では友となり得る存在である。現に。この生き物達が人と友になり、相棒となって世界を救ったりする場面を知っているからだ。

 ポケットモンスター。
 またの名を――ポケモンという。
 今、眼前に立つ存在はそう呼ばれる存在だった。うん意味がわからない。

「だっから。私の専門は特撮なんだってばよっ」
 いきなり唐突に叫ぶなとお思いでしょうけどもこちらの心情も理解していただきたい。
 私が巡るのは世界を守る英雄(ヒーロー)達の世界。それ以外にないっ。や、まぁ妖怪やら他の世界にちょくちょく紛れ込んだりもしたけどさぁ、あくまで本業は特撮だからっ。あらゆる世界を飛んで回るジャンパーじゃないのよ私っ。
 予期せぬ世界に紛れ込む。
 それが一度や二度ならばまぁ目をつむりますよ。旅してりゃトラブルのひとつやふたつあるよねーあははーで笑えば済むもの。一度や二度で済んでないからこうしてぷんすこぷんしてるわけですっ。
 果たしてこれで何度目になるのか。数えるのも馬鹿らしいんでカウントはしませんが。
 けどねぇ。なんだってこうも高頻度で全く関係のない世界に飛ばされるわけ!? 呪い!? 私が一体何をしたっごめんっ色々やらかした自覚あるっだけども罰ゲームならば本来行くべき世界でお願いしたいっ。
 改めて言おう。
……どうしてこうなった」
 再び頭を抱える。いやだって、抱えたくもなるでしょうこれ!? 私、悪くないっ。断じてっっ。
「まぁた士くんにイヤミ言われるやつぅ……
 もはや慣例になりつつあるであろうジト目のイケメンの面が浮かぶ浮かぶ。
 ぼやぼやぼやいてみるものの。それで現実が変わるのならば苦労しない。現に、遭遇してから数分、威嚇を続けるあちらさんの様子は変わる気配がない。わぁいヤル気だぁ。
……えーっとぉ。とりあえず落ち着きませんか? 危害は加えませんので」
 暗に敵じゃないよ怖くないよと伝えてみる。ポケモンとは人の言葉を理解できる高い知能を持つ生き物だ。宥めれば警戒を解いてくれる、はず。タブンネ。
 ――ぐるるるる――
 そう淡い期待を込めてみたのだけれども。威嚇を解く気ゼロですなずぇ。
 まぁ、威嚇し続けるポケモンさん達の目が赤く血走っててなーんか普通じゃないなーと思ってましたけども。しかもなんだか全身から謎のオーラ漂わせてますしねっ。明らか普通じゃないですねっ。
 加えて。私がこのポケモンさん達とエンカウントしたの、ふっつーに街のど真ん中なんですよねー。
 遠くに電波塔のような高層建築が見えるし、左右には煉瓦造の建物が立ち並びこの場所を覆っている。
 ポケモンと出逢うのは街の外の草むらが基本。だったはず。ゲームの進歩共に最新のものはシンボルエンカになってたような気がしたけども。ともあれ、こんな街の真っ只中で遭遇するのはないはずですよ。つまりはこれ、異常事態。
「えぇー……どないせぇっちゅうん」
 がるがる唸るポケモンさん達を前に途方に暮れる。未だに威嚇が収まる様子はゼロです。
「困った」

 ――がぁぁぁぁぁぁっ――

 膠着状態に先に痺れを切らしたのは相手の方だった。
 殺気を撒き散らしてこちらへと駆け寄ってくるライオンのようなたてがみをしたポケモンさん(名前はなんだったかは思い出せない)が鋭い爪を携えた前足を勢いよく振り下ろしてきた。

「おっと」

 降ってきたタイミングでとん、と地を蹴って後ろへと下がる。人間を遥かに超越した力を持つ存在である。当たったら大怪我間違いなしなんで喰らいたくない。
 たてがみさんの一撃を皮切りに。一緒に威嚇していたライオンの子どものようなポケモン(名前は以下略)さん達も一斉にこちらに向かってきた。
「がうっ」
「がるっ」
 一対多数。
 正しく戦いは数だよを絵にした状況であります。まぁ、英雄(ヒーロー)の世界でもそれはざらにあることなんでそこは別にいいです。
 とんでくる爪の一撃やら時には全身使って特攻してくる攻撃をのらりくらりとかわしていきます。
 にしてもこのポケモンさん達、ちょっと殺伐としすぎではありませんかね!? こちとら丸腰のトレーナーでもないただの通りすがりですよっ!?
「まぁ、火とか電気が飛んでこないだけマシなんでしょうけともっ」
 確かそんな特殊技ありましたよね? アニメで有名な某うん十万ボルトとか。使用できないのか使用する気がないのかはわかりませんが。
頭でそんなことを考えられる程にはまだ余裕はあります。この事態を収束させる策は浮かんできませんがねっ。
「そーいえば。たてがみさんはどこに?」
 この騒動を始めた最初の張本人(いや、張本ポケか?)が初撃以降しかけてきていないのが気になった。脆弱な人間など相手にする気も起きなくて高みの見物を決め込んでいるのかそれとも何か別の思惑があるのか。
 ちっさいライオンベビーさん達をいなしつつ周囲に視線を巡らせれば。たてがみさんの姿が見えないことに気付く。
 ……もしかして逃げた?
 そう考えていた矢先のこと。
 突如として日が陰った。
「あ。」
 見上げればそこには巨大な獣。炎をまといなんだかどっかの神聖なイキモノのようにも見えた。
 至近距離。目と鼻の先に「それ」はいた。
 炎の向こうに見える紅い瞳に。純粋に宿る殺気に。一瞬だけ。生命の危機を感じ取って体が硬直した。

 ――BUBBLE――

 ばいんっ。
「きゃいんっ!?」
 メモリを起動して即ガードしました。
 うん。当然使用するよね。だって不可抗力だもの。
 作り出したシャボン玉に炎ごと突っ込んできたたてがみさんは犬のような悲鳴を上げて弾き飛ばされた。一応ポケモンさんの技にも効力はあるようで安堵する。
「にしてもどうするか」
 泡の記憶で作り出したシャボンの膜を展開したことによって不用意に傷をつけられる可能性はなくなった。現に。今もライオンベビー達はシャボンを無視してこっちに突っ込んできたり引っ掻いたりして膜を破ろうとしているけどびくともしてないし。
 ガードする必要がなくなったんで思考の方へと回す余裕ができたんで頭をひねらせる。
 流石にこの生き物達に対していつもの武器を使用するのはオーバーキルだろう。てか、この世界、殺生は普通に御法度だろうし。かといって私はトレーナーではないんで当然相棒なんぞはいないわけで。
……ケミーの力ってポケモンに通用するんだろうか?」
 浮かんだのはポケモンと似たような感じの不思議生物をぶつける案。それでもオーバーキルな気がしないでもないけど。でもいつもの武器で無双するより遥かにマシな気がしないでもない。
 というか、そろそろ腰に付けたホルダーがガタガタと音を立てて暴れまくってていまにも飛び出してきそうなんですよねぇ……それならこっちから呼び出した方がまだ穏便に済みそうだ。
 結論が出てやむを得ずホルダーにしまったホッパー1のカードを取り出そうとしたところで――
 背後からの気配に気付いて思わず振り向く。
「新手!?」
 そこにいたのは巨大なイカを模したモノ。怪奇っイカデビゲフンゲフン。ライオンさんの群れが仕掛けてきたときには確かにいなかったはずのものがいた。
 怪しげな光を放っている触手になんかヤバそうだと本能が警鐘を告げている。
 見るのはまずいと判断して目を閉じようとしたけど、
…………。」
 どうやら遅かったようだ。
 頭が霞がかかったように重くなって思考が回らなくなる。体から力が抜けて倒れそうになった。
 薄れゆく視界の先で。イカデビルがにやりと笑ったように見えた。
 マヅイ。これは……本格的に、ヤバいやつで…………
 意識を手放しかけた時だった。

「ピッカァァァァァァァァァ!!!!」

「へぶっ!?」
 鳴き声と共に。顔面が黄色いもふもふで覆われた。
 ……何事!?
 もふもふで包まれた瞬間、頭がクリアになって意識が戻ってくる。何がなんだかわからなくてもふもふを引き剥がそうと試みるもなんか知らんけどめっさ強い力でひしっとしがみつかれて難儀する。
「っ!?ーーーーっ!?」
 息っ。息ができないっ。
 もふもふで窒息死っていうのも悪くない最期だと思うけどもっ。だけどそれは今ぢゃないっ。

「チコリータっマジカルリーフ!!」

「ポカブっニトロチャージ!!」

 悪戦苦闘してなんとかべりっと引き剥がしたタイミングで。なにやら懐かしいフレーズを聞いた。
「チコーーっ!!」
「ポカポカポカっ!!」
 鋭い声が響いてすぐに。頭に葉を生やしたかわいらしいポケモンと。小豚を彷彿とさせるポケモンが自身の力を解放してイカデビルに向けて勢いよく放った。
「ローー!?」
 光る葉っぱと炎をまとった体当たりがクリーンヒットしてイカデビルは仰向けにひっくり返った。
「お、おぉ……
 思わず感嘆の声がでる。呆気に取られていると。遠くの方から1組の男女が駆けてくるのが見えた。
「チコリータ、あまいかおりっ」
「ポカブ、体当たりっ」
 イカデビルが倒れたと思ったら今度はたてがみさん達の群れの掃討を始める2体のポケモン達。数は相手の方が多いはずなのに。やはり、信頼できる相棒がいるおかげなのか苦も無く群れを蹴散らしていた。
 ……わー懐かしい。まさしくポケットモンスターの世界だぁー。
 好きだったなぁアニメ。故郷にサヨナラバイバイして相棒と旅に出るやつ。特撮も好きだったけど、あれは別で好きだったなぁ……
 懐かしさにちょっとだけ意識を別の方向に飛ばしていると。掃討が完了したのかたてがみさんの群れは全てが地に伏していた。イカデビルは、なにやら慌てた様子で逃げていく。おそらくあれもポケモンなんだろうけどなんて名前だったかはやっぱり思い出せない。当方記憶の引き出しは9割が特撮で占められているゆえ。
「大丈夫ですかっ!?」
 声をかけてきたのは現れた男女のうち女の子のほう。白地がベースの帽子は私が持っているものと似通っているけども、赤いラインの入った模様は少し違うかと苦笑いがでそうになる。
「あー大丈夫。大丈夫。どこも怪我とかはしてませんのでー」
「良かった。後少し遅かったからメガカラマネロに操られていたでしょうから」
 女の子に続いて言葉を発する男の子。こちらは黒地がベースのややシックな色合いの帽子をかぶっていた。男の子の言葉にうん?と首を傾げる。
 メガカラマネロ? なんぞ。そんなポケモンいたっけか?
「ピカチュウが貴女の顔ふさいでカラマネロの触手を見ないようにしてくれたんだね」
……ピィカ」
 かがんで微笑む男の子の言葉を肯定するかのように鳴き声が腕の中から聞こえた。
 おそるおそる視線を落としてみれば――
……ピカチュウ……?」
 引き剥がした黄色いもふもふはポケットでモンスターな世界を世界的に有名にした立役者。某夢の国のねずみと同じくらいネズミキャラといえばと聞かれて多くの人が答えるであろう人気キャラがそこにいた。
「ピィカ?」
……おぉ。もふもふ……
 なんじゃと言わんばかりに首を傾げるその姿も愛らしい。おまけにもふもふだし。頬ずりしてもバチは当たるまい。柔らかいからだをぎゅっと抱きしめてスリスリしました。至福。
……ピィカァ……
 不服そうな鳴き声であるけども嫌がってる素振りは見せないピカチュウさん。えーんかわいいー。どうしようお持ち帰りしたい。
「珍しい。ピカチュウが人に懐いてる」
 もふもふを堪能していたところに聞こえてきたのは男の子の意外そうな声。
 はて。どういう意味だろう。
「この子、君達のパートナーじゃないの?」
 ポケモンはトレーナー1人につき6体まで持てる(だったはず)。てっきり今いる2人のうちどちらかの手持ちだと思っていたのですが、違うのだろうか。
……いえ。そのピカチュウは、トレーナーがいないんです」
「え。」
 頭を振る女の子にフリーズする。
「理由はわからないんですけど、あまり人間が好きじゃないみたいで」
 なんと。
 どっかで聞いたことのあるフレーズで呆気にとられる。
「キミ、どこのサトピカなの?」
「ピカァ?」
 なんじゃそれはと言われた気がした。

 それから。2人の案内で私は街――ミアレシティの中心へとやってきた。
 2人はそれぞれキョウヤくんとセイカちゃんというらしい。なんでも旅行でこの街を訪れたのがだ、うんぬんかんぬんあって今はMZ団の一員として街の調査等をしているらしい。
 ミアレシティ。という街は聞き覚えがあるけれどもMZ団というものに聞き覚えはない。単純に忘れてるだけかもしれないが。
 んでもって。2人が拠点としているのが今目の前に立つホテルZなんだとか。
「おぉー……
 中に案内されて紹介されたのはホテルのオーナーだというAZさんだった。そのAZさん、とにかく身長が高い。2メートルは余裕で越えてそうで見上げて話さないといけなくてちょい大変である。
「2人から話は聞いている。
 このホテルのオーナーとして。きみを歓迎しよう」
「ありがとうございます」
「フウリさんもミアレには観光に来たんですか?」
 キョウヤくんの言葉に困った表情を浮かべる。偶然迷い込んだだけで観光ではないから。
「それともZAロワイヤルに挑戦に?」
「ZAロワイヤル?」
 首を傾げる私にセイカちゃんがうきうきとした様子で教えてくれた。
 曰く。ZAロワイヤルとは。夜のミアレシティを舞台に行われるバトル大会のことで。最高ランクのランクAに到達すれば、好きな願いを叶えてもらえるんだとか。腕自慢のトレーナー達がこぞって夜毎自身の願いを叶えるためにバトル三昧の日々を繰り広げているのだそうだ。
 ……なんだそれは。一体どこのナンバーワンバトルなんですか。
……あー。えーっと。トレーナーじゃないんですよ私」
 湧いた疑問に蓋をしつつこれだけは正しておかねばならないと思い口を開く。
『えっ!?』
 驚きで目を見開くキョウヤくんとセイカちゃん。後ろではAZさんもなんかめっさ目をかっぴらいておいででした。まぁ。無理もない。この世界。トレーナーとして生きる人口の方が圧倒的に多いから。唯一3人の側に控えている相棒のポケモン達だけが不思議そうに首を傾げておりました。余談ですがサトピカもといピカチュウさんは何故か私の頭の上に鎮座しておられます。やっぱりサトピじゃないかなこの子。
 それは置いておいて。
くすり、と苦笑を零して恭しく一礼する。
「はじめまして。通りすがりの探偵。
 憶えておいてもいいし。憶えておかなくてもオッケーですよ?」