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はなおぼろ
2025-09-23 18:00:19
1342文字
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【Redroom縁巌】「あなたの血が、一等美味しい」番外編
あぺ様主催のニッチ縁巌企画ことRedroom縁巌参加作品です。
以前eh様主催の縁巌覆面作家企画4にて提出させていただいていた、
「あなたの血が、一等美味しい」
の番外小話になります。なんちゃって吸血モノパロなので、設定等はこちらの冒頭を読んで頂ければ幸いです。
初めて兄の血を口にしたのは、小学校に入学する前だった。
縁壱たちの実家は庭付きの戸建てである。庭自体は小ぢんまりとしていたが、小さな子供が動き回るには十分な広さだ。幼い頃の縁壱は兄と二人でそこでよく遊んでいた。そして父や母がリビングに面した窓から、その様子を見守ってくれていた。
ボール投げにシャボン玉、けんけんぱや水鉄砲。色々な遊びをしていたが、中でもよく遊んでいたのは追いかけっこだ。特に兄に追いかけてもらうのが好きだった。あちらこちらと走り回る縁壱に、兄は器用に回り込んで近づくのだ。そして「つかまえた!」と抱きしめてくれる。その瞬間が大好きだった。
あの日も兄と庭で追いかけっこをしていた。
「つぎは、にいさんがオニだぞ」
縁壱はいつもの様に、兄に捕まえてもらうために逃げていた。そして父が買い物に出かけており、母が届いた配達物を受け取るために玄関へと一時的に席を外していたときであった。
「あっ」
庭木を軸に回り込もうとした兄が、足を引っ掛けて転んでしまったのだ。なかなか立ち上がらない兄に、縁壱はおろおろしながら近づいた。
「うぅ
……
」
兄は両膝と両掌を擦りむいていた。弟である縁壱がいる手前か、泣かないようにと堪えた涙が目尻にたまっていた。転んだ拍子に顔を地面に打ちつけたのか、兄の鼻から血がたらりと垂れていた。
甘い匂いがした。
兄の掌から、膝から、鼻から、甘い甘い匂いがした。
縁壱は吸血種である。血液を栄養として口にすることができる存在であり、他の吸血鬼の例に漏れず一般的な食事の他に血液が配合されたゼリー飲料を飲んで生活している。決して不味くはないがどこか味気なく感じるゼリー飲料に、血液とはこういう味のものなのだと思い過ごしてきた。
しかしどういうことだろう。兄の血は今まで感じたことのない〝甘さ〟を内包していた。この様な魅力的な香りを、縁壱は今まで一度も嗅いだことが無かった。
こきゅり、と生唾を呑み込む。目の前の〝甘さ〟に誘わるまま、縁壱は巌勝の鼻血を舐めとった。
今まで感じたことのない味が、舌に広がる。母が作るどの料理よりも、おやつの時間に出されるクッキーやジュースよりも、父が毎年買ってくれる誕生日ケーキよりも、縁壱が生まれてからこれまで口にしたことのある全てのものより〝美味しい〟と脳が訴えてくる。
もっと欲しい、もっと、もっと。
突然弟に鼻血を舐められたことに驚いて涙すら止まってしまった巌勝を余所に、縁壱は兄の鼻を舐め続けた。どれくらい舐め続けていたかというと、リビングに戻ってきた母が双子の様子がおかしいと気付いて庭に下り、縁壱を固まってしまっていた兄から引き剥がすまで舐め続けていた。
後に芳醇という言葉の意味を知ったとき、縁壱は兄の血のことだと瞬時に理解する。
そしてこれが吸血種における〝愛〟の味であるのだと悟るのだ。
【補足】
ニッチポイントは『鼻血を舐めとる』です。
今回の様に直接舐めとるのは勿論、怪我をした当人が親指で拭った血を舐めとるのも好きです。
(※あくまで二次元のお話です。現実世界では衛生や感染対策の観点から血を舐めるのは止めましょう)
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