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アルマジロ
2025-09-22 00:50:23
2112文字
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友達以上昼ドラ未満
付き合ってないし彼女もいるのに致しているレザヘクです。微すけべ。そんな男やめなよって話。
「
……
ひでぇ男に惚れちまったなぁ
……
」と、ベッドに身を横たえながら呟いた。
起き上がってシャワーを浴びようとしていたレザラが、きょとんとした顔で振り返る。
「
……
え、もしかしてヘクトールってボクに惚れてんの?」
ほら見ろ、そういうところだ。
「こんだけヤってて何で気付かねぇんだよ」
「いやいや! だってキミ全然それっぽいこと言わないじゃないか! 言ってくれればよかったのに!」
「言う前に彼女こさえたのは何処の誰だよ。そのくせヤることヤるのは続けるしよ」
ベッドに腰掛けたレザラを爪先で蹴ってやる。
彼女持ちと知ってて抱かれてやる俺も大概だが、彼女作ってからも平気な顔して俺を抱きに来るこいつはそれ以上だと思う。
俺だって一度はこんな関係止めようとしたんだ。
昔からの習慣でダラダラと続いた身体だけの行為も、レザラが彼女を作ったから終わりだと思っていた。
ところがどうだ。こいつときたら未だに俺の家に入り浸って、しょっちゅう俺を抱きやがる。
前に「お前彼女いるんじゃねーのかよ」と聞いたら、「今はヘクトールとしたい気分なんだよ」とか平然と抜かしやがった。
どうかしている。こいつも、こんな奴に絆されてる俺も。
「だってさぁ、ヘクトールってもう前でイクより後ろでイク方が好きになってるだろ?」
「
…………
」
「ボクが彼女作ったせいでキミが満足できなくなっちゃったら可哀想じゃないか」
「
………………
」
あんまりな言い分に思わず閉口させられる。
理解できない思考回路にこっちが考えてたこと全てが馬鹿らしくなって、レザラを蹴りつける足から力が抜けた。
「お前その内刺されて死ぬんじゃねーの
……
」
「えっ、何急に。ボクそんな殺されそうに見える?」
「すげー見える。てか今俺に刺されてないことに感謝しろよお前は」
爪先でぐりぐりとレザラの脇腹を抉る。俺が激情家な女だったらここに刃物を突き立ててやるんだろうなぁ、と無意味な想像をしていると、くすぐったかったのかレザラが俺の足を手に取る。
そのまま持ち上げてふくらはぎにキスをした。それだけで嬉しくなっちまう単純な自分を、今だけは引っ込んでろと殴りつける。
「刺したいなら刺してもいいけど、せめて闘士を引退するまで待ってはくれないかな?」
俺の足をベッドに下ろして、何食わぬ顔でレザラが言う。
怒りとか悲しみよりも、そういう男だよな、という納得が先に来てしまった。
言ってやりたいことは山ほどあったけれど、何を言っても無駄だということも分かっていた。今日のところは、刺す許可を頂いたってことで勘弁してやる。
「分かった分かった
……
刺すのは待っててやるからさっさと風呂行ってこい。試合中継まであんま時間ねーぞ」
「えっ
……
あっ! 本当だ! すぐ出てくる!」
時計を確認したレザラが、慌てた顔で風呂場へ駆けていく。バタバタと騒がしい足音を聞きながら、俺はようやく身体を起こした。
寝室を見渡せば、レザラが脱ぎ捨てた服が床のあちこちに転がっている。この光景も見慣れたものだ。俺は溜息を吐いてベッドから立ち上がり、脱ぎっぱなしの服を拾い上げていく。
青と白を基調にスタッズで飾り付けたこの服は、ベビーフェイスらしい爽やかな印象を出しつつ動きやすい良い服だった。何よりあいつによく似合っている。彼女に選んでもらった、と嬉々として語ってたくせに、こうして脱ぎ散らかす癖はちっとも治りやしない。
結局レザラが何を一番大切にしているかなんて、分かりきったことだった。試合中継という一言であんなにも必死になるんだから。
脱ぎ捨てっぱなしの服に勝手に共感を覚えて、ふっと小さく自嘲する。くしゃくしゃになったそれを畳んで、椅子の上に置いてやった。
不毛な恋をしているとは分かっていた。でも、どうせ元より空っぽの人生だ。ずっとレザラと馬鹿なことしかしてこなかったんだから、馬鹿な恋だってしてもいいだろ。
実際、あいつの言う通り、俺の身体はとっくにレザラに作り変えられているんだ。彼女ができたからもうヤらない、と言われて困るのは俺の方だ。忌々しいことに。
あーあ、軽い気持ちで一線なんて越えるんじゃなかった。
そうすりゃレザラに惚れちまうこともなくて、無様を晒すことだってなかったのに。
闘士になって、金も名声も生き甲斐も手に入れて、満たされているはずなのに何故かこんなにもままならない。
いや、思えばガキの頃からレザラには振り回されっぱなしだった気がする。じゃあ何だ、あいつの幼馴染として生まれちまった時点で、俺はあいつに翻弄される運命だったってのかよ。ムカつくな。
運命なんてこれっぽっちも信じちゃいない。むしろそんなもんあったらブチ壊してやるとすら思ってた。なのに相手がレザラになった途端、そんな運命も悪くないかもなとか思っちまうのが一番腹が立つ。
あぁ、畜生。
お前のせいで俺の人生めちゃくちゃだけど、お前のいない人生なんて想像すらしたくないんだよ。
そんなこと、絶対言ってやらねぇけど。
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