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たくとろ
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ワンライ「遠距離」
遠距離恋愛に対するスタンス、ロイは寂しがりやだけどポジティブだろうなって思います。
「メルト、私たち
…
別れましょう」
「そんな
…
どうして
…
」
「あなたも知ってるでしょう?私はこれから留学でガラルに行くの。あなたはこのシンオウに残る。会えない時間が続いてしまう
…
」
「
…
前にも言ったじゃないか。手紙を書く。電話だってできるし、いつか会いに行く。君もたまに戻ってきてくれれば
…
」
「ダメなの
…
」
舞台に立つ女性は俯いて震える。体も、声も。息を吸う音が響いた。
「私が
…
耐えられないの
…
私、欲張りだから
…
あなたとずっと一緒でいたい
…
電話越しなんて
…
たまに会うだけなんて
…
だからきちんと
…
終わりにしたいの
…
」
「ノンノ
…
分かったよ
…
それが君のためなら
……
でも、最後に一度だけ
…
キスをさせてくれないか?」
「ええ
…
メルト、愛しているわ」
「ノンノ
…
俺も愛してる」
少ない照明が照らすステージの中央で、二人は互いの頬に手を置いて、そっと顔を近づけた。そうして幕が下り、盛大な拍手が会場を包んだ。両手を何度も叩きながら涙を流す観客たち。その中に、リコもいた。
会場から少しずつ人が出ていく中、リコはまだ椅子に座ったまま、涙を残していた。ハンカチで目を拭っていると、隣のロイがそっと顔を覗き込む。
「リコ、大丈夫?」
「うん
…
ごめん
…
色々
…
共感しちゃって
…
」
「悲しいお話だったね。せっかく二人とも、想いを告白して結ばれたのに
…
」
リコとロイが観ていたのは、大学生二人のラブロマンスを描いたお芝居だ。同じ大学に通う二年の女子大生ノンノは、サークルの勧誘で一年生のメルトと出会い、徐々に距離を近づけていき、ついに交際に至る。しかしノンノに前々から行きたいと願っていたガラルの有名大学へ留学するチャンスが訪れた。メルトに相談すると、彼はノンノの背中を押した。しかし、彼と一緒にいられないことに耐えられなくなったノンノは別れを切り出すのだ。
人が少なくなってきたところで、リコとロイも劇場の外に出た。近くのカフェに入ることを決めた二人は早速お店に入り、向かい合って座った。ドリンクの注文を終えたところで、リコはお芝居の話に戻った。
「私も
…
みんなと会えなくなって、ずっと辛かったから
…
ノンノにすっごく共感しちゃって
…
」
「そっか
…
リコ、学校にいる間も辛そうだったってアンから聞いたよ。あの日のリコ見てても、なんとなく感じたけど」
「ごめんね、心配かけて
…
」
「気にしないで。
…
あの劇観た後で言うことじゃないかもしれないけど、リコが楽しそうにしてるところを、またたくさん見れて僕嬉しいから」
ロイは屈託のない笑顔でそう言った。その表情に、リコも自然とつられて笑顔になってしまう。あの日、ロイが来た時のときめきを、また感じた。正体が分かるような分からないような不思議な感覚を、リコは優しく撫でるように微笑む。そしてリコは「そうだ」と切り出した。
「ロイはこのお芝居
…
楽しめた?」
「うん。大事な人と離れるのはみんなともそうだけど
…
母ちゃんと父ちゃんの時も思い出してさ」
「
…
そっか。ロイ、二回も
…
」
「でも
…
寂しいからメルトと別れるっていうのはちょっと分かんないって思っちゃったな
…
」
その言葉と共に、ロイは目を細めた。あまり知らない顔だなとリコは思って聞く。
「なんで?」
「うーん
…
会えないのは寂しいよ?でも僕は、またいつか会えるから、その時まで頑張ろうって思うんだ」
ロイの表情は、少し真剣なものになった。一年前よりも見ることが多くなったような気がする顔。そっか
…
ロイはみんなとまた会えるって信じて旅を続けてきたんだ
…
しばらくリコが何も言わずに見つめていると、ロイはいつもの笑顔になった。
「
…
でも、僕は恋とかまだよく分かんないからこんなこと言ってるのかも」
「ううん
…
ロイの言ってることも分かるよ。人それぞれなんだと思う」
「そうかな。ありがとう、リコ」
「うん
…
それで、ロイは
…
私ともまた会えるって
…
思ってくれてた
…
?」
なんて返事が来るかなんて大体分かってる。でも、なんだか頭に浮かんで、ぽろっと口に出てしまっていた。ロイは、きょとんとした顔になった。そして、また笑顔になる。
「うん。ずっと信じてたよ」
離れ離れになっても、いつかまた絶対会える。ロイの考え方は、あたたかくて好きだ。リコはそんな言葉を浮かべながら、今日一番の笑顔を見せて一言口にした。
「ありがとう」
眩しい。舞台の人たちより輝いてる。リコの笑顔に、ロイはそんなことを感じた。しばらくして注文したエネココアが届いた。なんだか今までで一番、甘い味がした。
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