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喩鶴結雨
2025-09-20 19:59:59
1646文字
Public
四季送り1陣ラ9まゆ
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9月20日
微奴木蓮の日記
…と?
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2
「
…
よし」
書き終わった日記を閉じて、本棚にしまう。
アガチだった頃に比べれば、書く回数が減ったとはいえ、今も尚、緩やかに増え続けている。
閻魔さんに「あっちで見てて」と別れを告げて以降、時々考える。
今、僕が書いている日記は、全て、閻魔さんに向けた物で、日記の形をした手紙とも言える。
___閻魔さんは、この手紙を読むのだろうか。
わからない。
だからこそ、これは僕の自己満足だ。
それでも、閻魔さんを想って筆を進める時間が、どうしても暖かく、愛おしいのだから止めようと思うことはなかった。
「?
今、何か動いた?」
音はしないのに、気配だけがした気がして後ろを振り向いた。
『木蓮』
「
…
え?」
知っているその顔に、知っているその声に、無くなったはずの目が色を魅せた気がした。
(
…
ああ、そうか)
「閻魔さん、皆を連れてきちゃったの
…
?」
声が震える。
目から涙が溢れた。
かつて、"僕だった者たち"が、閻魔さんと一緒にそこに居た。
『木蓮、私は何色に見える?』
「きいろ
…
。黄色い、華に、閻魔さんが包まれて、天使みたいだ」
『そうか』
閻魔さんが笑う。
その笑顔と一緒に、閻魔さんの周りの華が、ふわりと花弁を散らす。
『もくれん、ありがとう』
『いきてくれて、ありがとう』
『ぼくたちから、すこしだけ、おくりもの』
『でも、もうかえらないといけないの』
『わたしたちも、もくれんがかえってくるの、まってるね』
『でも、すぐはだめだよ』
『おじいさんになってから、かえってきてね』
「うん
…
っ、うん
…
っ。
皆の分も、いきるから
…
っ。
だから、閻魔さんのこと、よろしくね」
『わかってる』
『わたしたちのおかあさんだもん』
『ねえ、もくれん、ぼくたちもみてるから』
『だから、たまにはおもいだしてね』
「うん
…
。
みんな、大好きだよ
…
」
"僕だった者たち"が消えていく。
閻魔さんも消えかかっていた。
「閻魔さん
…
会いにきてくれて、ありがとう。
大好きだよ
…
。
我儘言ったらさ、今、手を取りたいけど
…
それは、もっと後の楽しみにするね」
もう、閻魔さんや、皆の感情の色は見えない。
『嗚呼、木蓮。
待っているから』
閻魔さんが僕の背後を指さした。
きっと、見ているということなのだろう。
「また、書くよ。
閻魔さんに、僕が見たこと、感じたこと、いっぱい伝える」
瞬きをすれば、もうそこには誰も居なかった。
後ろを振り返るとそこには、机の上に華が置かれていた。
「これ
…
」
名前は知らない華だったけれど、後で知ったのはその花が
藤袴
フジバカマ
という名前で、花言葉が「やさしい思い出」だったということだった。
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