あいづき
2025-09-20 19:56:27
Public 晴檀
 

何度でも

鴨居檀さんのお誕生日記念SS


 地球上に愛の歌は数あれど、どれを選んでも氷面を滑る様に軽く吹き飛んでしまう物に感じてしまうのはきっと、それが僕自身の言葉ではないからなのだと気付くのに然程時間は掛からなかった。
 それに、今更他人の言葉を借りても致し方ないという気持ちもある。最初こそ、色んな偉人の言葉や論説を元に会話をしていたけれど。それは互いに境界線を作る性質だったからこそ上手く機能をしていたものだ。故に、拗れた時期があった自覚もあるけれど。思い出す度に己の子供じみた行動に対して反省はするが、結果オーライなのだから後悔はしてない。
 最近、案外子供っぽい部分があるのは僕だけではないらしいという事にも実は気付いている。
 甘い物が好きで、身体を動かす事が好きで、親友を大切にし、同級生や後輩の前では明らかに幼い顔で笑うから。
 周囲から愛されている自覚はあるのだと思うけれど。それはきっと、絶対的に崩れない何かがあるからなのだろうと、今なら自惚れたって構わないだろう。
 僕を映す甘やかなサファイアを見る度に、薄いベールが僕自身の大事な核を緩やかに覆う。
「今年で何回目でしょうか、こうして祝えるのは」
「まさか、毎回数えてるの?」
「さあ、どうでしょう? でも、この先何度だって、当たり前にこの日が来たら僕は伝えますよ」

──誕生日おめでとうございます、檀。

 何度だって、貴方の生に感謝を。