Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ぽふむん
2025-09-20 22:50:00
878文字
Public
ワンドロ
Clear cache
虹の舞踊
#童しの版深夜の真剣物書き60分一本勝負
「鏡台」
氷柱if
本職の一幕です。
しのぶちゃんが化粧のために鏡台を見ているのでは普通だなぁって思いまして
空はどんよりとした薄曇りだ。
今年の豊作を祝う秋祭りは、心地よい秋晴れとは行かなかったらしい。
午後には特設の舞台で、この寺院の主が舞を舞う。
天気はもってくれるのだろうか。
少雨決行だと言う。
雨の中舞ってくれるのも、それはそれで味があって良いとは思う。
水も滴る良い男というではないか。
この程度の雨天なら、それはそれで風情があるというもの。
案の定雨粒が落ちてきた。
関係者の特権で、しのぶは支度の間に入らせてもらった。
そこは白粉の芳香でむせかえるようだった。
「ああ、ごめんねぇ。白粉臭いかな」
鏡台の面を見つめたまま、広い背中の主が朗らかに語り掛けた。
「いいえ、私も女ですよ。嗅ぎなれてます」
そう応えれば、ふふんと笑いが返ってきた。
「舞台用の白粉と普段使いの白粉では別物だと思うんだけどなぁ」
童磨は薄い唇に薬指で紅を差し、懐紙で押さえると振り返った
優しげな顔の作りとは不釣り合いな、男らしい太い眉を指で隠している。
「似合うかい?」
そこには凄絶な色香を放つ、妖艶な美女
……
いや妖艶な魔性の女に扮した男がいた。
「ええ、見事に化けましたね」
しのぶは生唾を飲み込み応えた。
「化けるとは酷いなぁ。結構いい女が出来上がったと思うんだけどな」
童磨は唇を尖らせた。
「眉
……
剃りますか?」
冗談でいえば、童磨は手をヒラヒラ振った。
お断り
……
という意味だ。
「本職ならそこまでするのもありだ。でも衆目に披露するのは年に三回だからね」
分かってはいたが、本当に冗談の通じない男だと、しのぶは苦笑した。
「日常生活に支障が出ますね。それより、もうすぐ出番でしょう。外はあいにくの天気ですが」
「いいや、晴れるさ」
その予言は当たった。
舞台に立つ直前に日がさし始め、虹が架かった。
その下で、童磨は見事に女に扮して舞い踊った。
舞が終わり舞台から下がると、途端に再び大粒の雨が降り始めた。
土砂降りだ。
ああ、こういう現象が起きてしまえば、また童磨は神格化される。
しのぶは、男の心労を思い嘆息した。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内