三毛田
2025-09-19 22:21:03
1079文字
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20 020. その背中が遠くて

20日目
結局いつまでも遠い

 走って、走って、走って。
 ようやく追いついたと思ったのに、また遠ざかる。
 彼の背中は、いつも遠い。
 まるで、心の距離がそのまま現れているかのように。
……
 同じ部屋で眠ってくれるようにはなったけれど、同じベッドで。ということは、してくれない。
 まあ、まだまだ謎が多いこんな男と一緒なのはさすがに無理か。
 というよりも、一緒に寝るということが苦手なのかも。
 そう気づいたら、今までの誘いは彼にとって負担だったんじゃと一人青くなる。
「た、丹恒!」
「うるさい。静かに入ってこい」
「ぶっ」
 クッションらしきものが顔に当たって、それから床へ。
「ご、ごめんなさい」
 素直に謝ると、謝罪を受け入れたというように頷く。
 クッションを持っていくと、受け取ってくれ。
「それで、どうした。お前が叫びながら入ってくるとは。何か起きたのか?」
「違う、けどちょっと違うわけじゃなくてさ。その……
 いざ丹恒の顔見たら、問いかけようとした言葉が口から出てこなくて。
「ゆっくりでいい。気持ちが落ち着いたら、話せ」
「う、うん」
 急かすことなく告げ、彼はコンソールに向き直る。
 その心遣いが嬉しいと思うと同時に、己の未熟さを知らしめられたようで。
 そんな彼に追いつきたい。そういう気持ちが次から次へと湧き上がってくる。
「うう……
「どうした」
 唸りながら頭を抱えていると、こちらを振り返り。
 瞳にだけ、疑問を浮かべてこちらを見る。
「丹恒って、俺より大人だなって」
「お前よりは少々年上かもしれないからな」
「えー。俺とそんなに変わらないように見えるけど」
 床に胡坐をかいて、ひじをついて見上げると。
「もし。お前と種族が違うと告げたら信じるか?」
 灰緑の瞳を、悪戯っぽく輝かせてそんな言葉を。
 丹恒が、別の種族? 人間じゃないってこと?
「もし、それが本当なら……異種族交流ってことか!?」
 面白そうじゃん!
 俺の反応が想定外だったのか、パチパチと数回瞬き。
 それから、優しく微笑んで。
「いつか、教えてやる」
「うん、わかった。丹恒が、俺に教えたいって思ってくれるまで待つ」
 この反応も彼の想定外だったのだろう。
 ちょっとだけ驚いた表情。でも、一つ頷いてコンソールに向き直り。
「あ」
 何となくリラックスできたところで、彼に問いかけたいことがあったことを思い出す。
「どうした」
 本来の目的をすっかり忘れていたのは間抜けすぎる。
「丹恒。もしかしてお前って、誰かと一緒に過ごすのって苦手か?」
「そうだな」