ぐるさん
2025-09-19 16:40:57
2470文字
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RBB 🩶小話

🏠ステRBB🩶さんのサングラスの色が思いの外濃くて滾った&RBB世界線での🩶さんの仕事って何だろうな、の産物

「ここで終わりだ」

俺はある組織に雇われた殺し屋。今回のミッションは雇い主の敵対組織のボス、伊藤ふみやの殺害。最近頭角を現したと言うその男は、まだ十代とも噂される若きカリスマだ。

どのように始末するか考えた結果、偽の取引を持ちかけ指定の場所におびき寄せ誘拐、そのまま人気の無い場所で殺害……計画は順調に進んだ。

まんまと罠に乗せられ、一人で現れた男を連れ去るのは簡単だった。後はこのまま始末するだけーー

「俺をどうするつもりだ」

床に転がしておいた男が、顔を上げた。

「このまま始末する。仕事だからな」

黙って話を聞く男の表情は、色の濃い、丸いサングラスに隠されこちらからは窺う事が出来ない。

……お洒落のつもりだろうか?重厚なコートといいジャラジャラとしたアクセサリーといい、若者のセンスはよく分からない。

俺からすれば、存外細かった身体を誤魔化す哀れな飾りにしか見えない。

「最後に、言い残した事は?」
「は?」
「しがない殺し屋の趣味だ。死ぬ間際の人間が何を思い何を話すのか、それを聞く事をささやかな楽しみにしている」
「「……悪趣味だな」」

目の前の、一人しか居ない男と被せるように、もう一人の声が聞こえた。

「ッ!?、ぐはッ……!」

それに気がついた瞬間、後ろのドアが開き己の身体に強い衝撃が加わる。どうやら入ってきた人物に吹っ飛ばされ、こちらが床に転がされたようだ。起き上がろうとすると、額に銃口が突きつけられる。

「お前が向こうに雇われた殺し屋?」

床の上から俺に銃を向ける声の主の方を見上げる。

黒い革靴、白いズボン、炎のような模様が入ったシャツ、俺を見つめる紫色の瞳。

「お前、まさか、伊藤ふみや……!?」
「正解」

……俺は確かに『伊藤ふみや』をここに運んだ筈だ。しかしながら目の前に、恐らく本物の『伊藤ふみや』が居る。だとすると、先程俺がここに運んだのはーー

「ちょっと何してるんですかボス!?」
「えっ?」
「組織のトップがこんな所に一人で!他の人は!?」
「あー……置いてきちゃった」
「ハァッ!?」
「それより早く帰ろ、理解」

理解……!その単語には覚えがあった。

「お前、草薙理解か……ッ!」

今回のターゲットである伊藤ふみやの情報を集める最中、計画の邪魔になるであろう奴の下に付く幹部の情報も当然調べた。

その内の一人、草薙理解ーー俺は、奴の事を真っ先に警戒リストから外した。

何故なら、奴にはこれと言って特筆すべき点が無かったからだ。

猿川慧や天堂天彦のように戦闘に長けている訳でも無ければ、本橋依央利のように諜報活動に長けている訳でも無い。湊大瀬のように何か道具を作成している訳でも無いし、テラのように大抵の仕事をこなせるオールラウンダーという訳でも無い。

むしろ一日の大半をアジトの中で書類仕事に費やし、時折外出するとしても秘書のような役割でボスに付いて回るだけ。正直に言って、何故あの男を傍に置いているのか不思議な位だった。

「不思議だよなぁ」

俺の頭上で、伊藤ふみやがボソリと漏らす。

「俺と理解で服を交換してさ、理解に外に出てもらうと皆理解を連れて行くんだ。俺だと勘違いして」
「!」
「不思議だよなぁ。俺はあんなサングラス持ってないのに、それでも皆俺だと勘違いするんだよ」
「!!」

伊藤ふみやがフラリと腰を上げて、草薙理解へと近づく。そのまま奴がかけていたサングラスを抜き取り、浮かれた観光客のように額にかけると、隠されていた紅のツリ目が現れる。

「俺としては、理解が早くカラコン入れられるようになってくれた方が安心なんだけどね」
「なっ、いや、それは……!」
「髪は染めるのに、カラコンだけ嫌がるから正直毎回ヒヤヒヤする」
「ぐっ……!」

友人同士の戯れのような会話する二人を目の前に、愕然とする。

ターゲットの地位を鑑みて、替え玉や影武者のような存在は常に警戒していた。だと言うのに、俺はあの時指定の場所に現れた草薙理解を、本物の伊藤ふみやだと誤認した。あの独特なオーラは、人を畏怖させるようなあの雰囲気は、間違いなく本物の伊藤ふみやだとーーそう思った事が過ちだった。

しかし今、チャンスが巡ってきた。確かに自分は間違えた。だが、目の前には本物の伊藤ふみやが居る。しかもあろう事か、俺に背を向け草薙理解と談笑している。この機会を逃す訳にはいかない。

背後から、死角から、その心臓に向かって銃を構えてーー

バンッ!!

……は?」

気づけば、銃を持つ右手が、弾丸で撃ち抜かれた。

……ッ!このッ、ぐはぁッ!」

二発目を構える間も無く続けざまに右足を撃たれて、為す術なくその場に崩れ落ちる。

「流石理解」
「呑気な事言ってないでちゃんと前向いて下さい!仮にも敵地で油断しないで!」

何とか顔を上げて二人を確認すると、草薙理解が銃を手にしている。ここに連れて来る前に武器の類は回収したから、恐らくは伊藤ふみやが渡したのだろう。

だが、恐るべきはその速さだった。この仕事を初めてそれなりに経つが、自分が貫かれている事を認識して初めて、相手に撃たれた事に気がつくなんて、経験した事が無かった。

「めっちゃ驚いてんね」

呑気な様子で、伊藤ふみやがこちらに声をかける。

「理解はさ、早撃ちの名人なんだよね」
……は?」
「DTってすごいよな。この辺りはステゴロで集団戦がメインだからあんま出番無いんだけど、一対一ならほぼ負け無しだよ」

……そういう事だったのか。どうりで草薙理解に関する情報が集まらない訳だ。まるで家族を自慢するように話す伊藤ふみやの隣で、草薙理解が「だからDTって何!?」と騒いでいる。

だが、この賑やな会話はすぐに打ち切られる事だろう。遠くから聞こえる、多数の足音によって。

「これで俺も終わり、か……

ーーその後、俺を雇った組織がどうなったのか、俺には、知る由もない。