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望月 鏡翠
2025-09-17 22:30:20
893文字
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日課
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#1848 とある廃村
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とある廃村の噂である。
その場所を見出したのは、木こりたちだった。山中、川から遠い場所に水辺に多く生える木を見つけた。サワグルミやハンノキの果てる斜面を歩き回り、やがて清き水の湧く池を見つけた。
周辺の土地は平らで柔らかく、少し手を加えれば、田畑を拓くことは容易である。そうして木こりから話を聞きつけた最初の開墾者たちがやってきて村を興した。地中から染み出してくる水は、夏は冷たく冬は温かく、村の住人を助けた。
妖怪の領分に近い場所は実りが豊かだ。村は富み、すぐに大きくなった。街から道が敷かれるほどになったという。
しかし、村は一夜にして滅びた。
届くはずの荷が届かない。戻るはずの者が戻らない。
何かがおかしいと様子を見に行った商人は命辛々逃げ帰ってきた。
曰く、道中に村人旅人問わず人という人が積み上げてあった。生死はわからぬ。近づいて確かめる勇気はなかった。だが少なくとも動くものはなかった、と。
すぐに狩人が呼ばれた。
ただの野党なら、わざわざ手間をかけてそんな残虐なことをする必要がない。
妖の仕業だろうというのは、半ば話を聞いたものたちの確信であった。
それも一人たりとも逃さなかった、強い妖だ。
強敵を覚悟して旅だった狩人たちは、一人も戻らなかった。
次の隊もその次の隊も、誰一人として戻らなかった。
やがてその地は禁足地となり道は塞がれ、誰も口にしなくなったのだという。
もう五十年近く前のことである。
「いいネタ持ってるじゃねぇか」
「お前が好みそうな強者がいるのなら、そういうところなんだろうさ」
「で、その村ってのはどこにあんだ。五十年の間に誰かに討伐されちゃいないだろうな」
萬木は前のめりに話の続きを促した。
「待て待て。俺が知っているのは噂までだ。流石に五十年も前のことだ。噂しか聞いちゃいないさ」
「なんでぇ。つまらねぇやつ」
唇を尖らせる。
「俺を何歳だと思ってんだ。しかも誰一人戻ってきてないんだぜ」
「使える情報くれたら奢るぜ」
「あぁ、そういや今ふと思い出したな」
わざとらしく顎に手を当てて考え込む。
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