Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
花月ゆき
Public
赤安かけた
Clear cache
さよならのあと(降谷Side)
何でも許せる方向け
潜ることになった。
新しい名前をもうひとつ。電話番号もメールアドレスも何もかも変えて。違う世界へ旅立たなくてはいけなくなった。
赤井には何も言わずに。たったひとりで。
素直になれず。一度も愛してると言えないまま。さよならが先に訪れた。
赤井と一緒に住んでいたアパート。自分が住んでいた痕跡をすべて消した。最後に残ったのは、赤井と一緒に使っていたプライベート用のノートパソコン。自分の使っていた跡をすべて消去したあと、ふと未練が溢れ出す。
降谷は静かにキーを叩き続け、朝陽が部屋を照らす前に、静かに家を出た。
あれから一年。
降谷は潜入先にいた。古びた倉庫。もうすぐ裏取引の相手が現れる。
あの日から季節は一巡りして、再び冬が訪れた。あの日のことを、降谷は一度も忘れたことがない。
ノートパソコンに残した最後の“愛している”。
今日の零時。赤井があのパソコンを開いていれば、自分の想いは届くだろう。メッセージが現れるのは、たった三分。時間が過ぎれば、跡形もなく消え去ってしまう。自分の想いも。赤井との思い出も。
零時五分。取引相手が訪れる時間。考えるのは、赤井のことばかり。
赤井は見ただろうか。いや、きっと見ていないだろう。知るすべのない答えを交互に思い浮かべては、降谷は胸を高鳴らせる。自分をこんな気持ちにさせるのは、これまでもこれからも赤井だけ。
ふとスマホが鳴った。予定が変わっただろうか。画面を覗き込むと、見知らぬアドレスから、“もうすぐ逢いに行く”とメッセージ。
倉庫の扉が開く。降谷は目を見開いた。
赤井に残した最後の“愛している”。
――
あなたを愛しています。今すぐあなたに逢いたい。
「俺もだよ、降谷君」
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color