【能楽鑑賞】#225 観世九皐会 9月定例会

能「班女」「阿漕」 狂言「長光」

観世九皐会 9月定例会

矢来能楽堂
2025年9月14日(日)

【第一部】12:30開演

仕舞「鐘之段」観世喜之→観世喜正(代役)
仕舞「楊貴妃」弘田裕一
仕舞「天鼓」 坂真太郎

能「班女」
   花子:遠藤喜久
 吉田少将:舘田善博
野上宿の長:石田幸雄

  笛:松田弘之
 小鼓:飯田清一
 大鼓:柿原弘和

【第二部】15:30開演

狂言「長光」
  すっぱ:野村萬斎
坂東方の者:金澤桂舟
   目代:高野和憲
   後見:岡聡史

能「阿漕」
老翁/阿漕の霊:桑田貴志
     旅僧:野口能弘
     里人:深田博治

  笛:藤田貴寛
 小鼓:幸正昭
 大鼓:柿原孝則
 太鼓:林雄一郎

*・*・*

最近は観世九皐会の定例会にも、ちょいちょい通うようになりましたが、今月は推しである萬斎さんが出るということで、速攻🎫購入しました。

が、第一部は結構ギリギリになってから、観たことない演目だし観ておこうかなーと思って観能することにしました。何より脇正面の最前列が一席だけポツンと空いていたので、これは呼ばれてると思いました(笑)

結果的に能「班女」が個人的に一番気に入ったので、観に行って良かったと思いました。


仕舞では観世喜之師がまだ脚の不調から復帰されていないようで、喜正さんに変更になっていました。年齢的にそう簡単にとはいかないのでしょうが、早く良くなるよう祈っております。

仕舞は御三方とも地謡も含めて、大変素晴らしいものでした。



能「班女」

美濃国野上の宿の遊女・花子は吉田少将に恋慕するあまり、宿の長に追い出されてしまう。吉田少将と取り交わした扇を肌身離さず持って彷徨し、やがて下賀茂神社に辿り着く。扇に思いを募らせて狂い舞うが、参拝に来ていた吉田少将と扇を目印に再会を果たす。(公演チラシより)


初見。チラシにはシテ・ワキ・アイの表記しかなかったので、幸雄さんが何の役を演るのか分かっていなかったのですが、蓋を開けてみたらアイの芝居から始まる口開間の形で、シテを宿から追い出してしまう宿の女主人役で意外でした😳(つまり、意地悪な女🤣)

宿の長に呼ばれて出てきたシテ・花子の姿を観た時、なんて可愛らしい女性なんだろう🥹✨と思いました。何となく心ここにあらずな雰囲気で、その様子からは、脳内は吉田少将への想いでいっぱいのご様子なのが伺えて、遊女ではなく恋する乙女そのもの。

その為、花子の何もかもが気に食わない宿の長は、彼女を追い出してしまうのですが、幸雄さんがキツく当たれば当たるほど、花子がヒロインらしく可愛く見えてくるからフシギ。

また、その際に花子が手に持っていたキーアイテムでもある扇を長が「まだそんなもの持っていたのか!(意訳)」と取り上げて床に叩きつけて去っていくのですが、残された花子が何とも言えない表情(に見えた)で、扇に目線を落とし、また大事そうに拾う姿には、何か惹き込まれるものがありました🥹✨

その後、シテは中入りし、ワキ方による吉田少将サイドのターンがあって、後シテの出番へとなるのですが、姿の変化は唐織の右肩だけを外した状態で至ってシンプル。だけど、右肩を出しただけで、行き場を失い物狂いとなってしまった様子が一瞬にして伝わってきたので、多くを表現しなくても伝わる引き算の芸能って凄い。

しかもその唐織の装束をよくよく観てみると、扇柄になっていて、凄い!細かい!と感動しました。そうなると花子が益々、恋する乙女に見えてくるからフシギ。形から入るの大事(笑)

最後は吉田少将と再会してハッピーエンドとなるわけですが、終始、扇を大事に大事に扱っていたシテが印象に残りました。

とっても素敵な能でした😊✨

ちなみに狂言の「花子」は、この「班女」を下敷きに作られたものだそうです。そういう意味でも観れて良かった😊✨



狂言「長光」

名刀・長光を持った田舎者にすっぱ(詐欺師)が近付き、刀を自分の物だと言い張る。目代が仲裁に入り、持ち主を判じるため刀にまつわる問答が始まる。(公演チラシより)


過去にも萬斎さんで観たし、野村狂言座では大髭が似合う飯田さんが演ってたし、大蔵流でも観たことあれば、更には歌舞伎(太刀盗人)でも観たことある。刀剣乱舞の人気効果もあるのか、結構メジャーらしい。

改めて萬斎さんで拝見して、あの怪しげな風貌に対して、口調や目線の動かし方はとってもチャーミングなので、変な人感増々で、怪しさマンサイ、野村萬斎!でございました🤣

こんな人に絡まれたら、そりゃ災難だわ🤣

てか、萬斎さんが喋る度に見所がクスクスと笑ってるのが印象的でした。流石です👏

以前、同じ萬斎さんと弟子の桂舟くんの組み合わせで、類似狂言の「茶壺」も観たけど、この2人のニンが合っているようで、なかなか良い配役。桂舟くんも表情の作り方が益々ナチュラルになってきて、今後が楽しみになりました。



能「阿漕」

「伊勢の海阿漕が浦に引く網も度重なれば顕れにけり」――昔、阿漕という漁師が伊勢神宮御調進の海で密漁をしていたが、度重ねるうちに見つかって海に沈められたという。旅僧の前に阿漕の亡霊が現れ、手に持った網で生前の漁を再現し、地獄を目前に見せる。(公演チラシより)


初見。現代では“あこぎな商売”などと言ったりしますが、その語源となった話だそうです。その“あこぎ”という言葉も、元々は今ほどネガティブな意味合いはなかったそうですが(そういう意味では“狂言”という言葉も一緒かな)。

前シテは老人の姿で、後シテは阿漕の霊として出てくるわけですが、本来の姿の方が若い筈なのに、何となく老人以上に老け込んで見えて、その地獄の責め苦の恐ろしさにゾゾゾッとしました😨

ちなみに、漁師(猟師)は殺生を生業としているので、当時は死したら地獄に落ちると言われていて、しかも、職業の自由のない時代なので、そうなると色々と積んでるなと思うわけですけど、現代でも裏では誰かがやらなければならない“嫌なこと”を誰かがやってくれてるわけで、今でも通ずる話かも、とも。

人間の業(ごう)について、色々と考えさせられる能でした。



観世九皐会 7月定例会 感想⬇️
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