三毛田
2025-09-15 21:47:20
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16 016. 見つめるだけなら自由なのに

16日目
自由だよな?

 ふとした瞬間に、姿を探してしまう。
 彼がこちらの視線に気づかなければ、いくらでも眺めていられる。
「用があるなら、声をかけろ」
 今は、資料室でアーカイブの整理をしている丹恒を見ていた。
 不快だったのか、それともちょっと気になったのか。彼はそう口にして。
「用ってほどじゃないけどさ。丹恒が作業している姿を見るのが好きだから、見てるだけ」
「わかった。邪魔をしないければそれで構わない。お前の好きにしろ」
「はーい」
 許可をもらえたので、スマホでゲームをしつつ時々視線を向け。
「穹。面白いのか」
「面白いとかそういうわけじゃなくて、丹恒のことが好きだから見つめていたいんだ」
「好き? 俺が?」
 心底理解できない。そんな表情。
 彼はすーぐそんな表情を浮かべて、他者からの好意を拒む。
「何故?」
「理由、必要?」
「合った方が、納得は……出来る」
「でも、口先だけだろ?」
……
 図星だったのか、ぐっと押し黙る。
 今までだって、そうだったのだ。
 すぐに意識が変わるわけがない。
「好きだよ、丹恒。いつまでも、見つめていたい」
 じっと目を見つめながら告げれば、居心地悪そうに視線をそらして。
 これ以上いじめてしまったら、見つめることすら許してもらえなくなりそうだ。
 ここまでにしよう。
 引き際を見極めるのも、大事だから。
「露骨にほっとされると、こっちとしては不満なんですけど~!」
 俺が視線を逸らすと、ほっと息を吐き出すのでそう告げれば。
「お前の視線は、煩い」
「そんなに?」
「最初はそうでもなかったが、今日の視線は煩い。その上」
「その上?」
「全てを、見透かされそうで、少々恐ろしい」
 腕を掴み、ふいと俺から視線を逸らす。
 そんなすべてを暴こうだなんて、思っていないのに。失礼だな。
 とは思ってしまうけれど、丹恒からしたら脅威でしかないのだろう。
 彼の生活を脅かしたいわけじゃないから、これからは控えめにしようか。
 なんて思うけれど、無理だろう。
 自由な行動を奪われたくない。
「じゃあ、控えめにする」
「そうしてくれ」
 頷いて、アーカイブの端末へと向き直る。
 約束したわけじゃないからと、視線を向けるのはやめない。でも、熱量は控えめに。
 スマホへ視線を落とし、ゲームの続き。
 丹恒のうなじが、ほんのちょっとだけ赤くなっていたことには俺は気づかなった。
「今日も熱烈ね」
「丹恒が嫌がることはするんじゃないぞ、穹」
「一応本人に許可は得ています」
 丹恒を見ていたら姫子たちに冷やかされた。