めめた
2025-09-15 00:28:20
1243文字
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シルセベ:20250914

短文のリハビリ
乾燥肌のセベクくん、かわい〜

 ヒリヒリと頬のあたりが痛む。鏡を見れば、周辺が赤くなっていた。
 またか、とセベクはため息をひとつ。
 嘆いても仕方がないので軟膏を塗って触れないようにした。
 最近は冷えて空気も乾燥気味だ。セベクにとって、少しばかり好ましくない環境だった。しかしそれを口に出すことはあらゆることへの言い訳になってしまう。どんな環境でも変わらぬ精神で居なければ、と己を律した。

 律していても、相手は構わずやってくる。
「手が冷えている……
 手袋に侵入してきた指先は随分と暖かい。今すぐ手袋を外して、その手で包みこんで欲しいとすら思う。
「だからなんだというのだ。離れろ」
 強く理性を保って突っぱねれば、シルバーの目が上を向いた。キラキラと澄んだ輝きは理性の糸を弛ませようとしてくる。
 サラリと揺れる銀糸が近づくのに身体を揺らして、咄嗟に鼻の辺りを手のひらで押さえた。
「いたっ」
 怯みもせず、大して痛くもなさそうな声が漏れる。
「やめろ!」
 手首を掴まれながら言えば、シルバーの目は不満を訴える。そんな視線が動いた。
……赤くなっているな」
「乾燥で肌が荒れたのだ! だから触るな!」
 再び交差した視線がなにを思うのか、肌荒れなど知らない者の憐れみなのか、自己管理への窘めなのか。
「口なら良いか?」
 頭を傾けて、銀糸が揺れる。手袋の中で指先から熱が伝わる。
「よ、良くない!」
 荒れてしまったのは頬の一部だけで、唇に触れられるのを断る要因は無い。けれど、既に心地よい温もりがセベクを誘惑している。
 じぃ、と強請るように見上げるその瞳に、セベクはめっぽう弱いのだ。自尊心を撫でられて挑発されているような心地になり、思考が飲み込まれてしまう。
 それがわかっているから、セベクは目を逸らした。
「ではセベクからしてくれ」
 シルバーはセベクと同じように顔を逸らし、頬をセベクの前に差し出した。
「頑固な奴め……しないという選択肢は無いのか?」
「俺はしたいと思っている。セベクも、そうだろう?」
 一言もそんなことは言っていないのに、当然そうだと疑わない口振りに腹が立つ。
 それでも、掴んだ温もりを振り払えないのだから、それが答えだと告げてしまっている。
 腕を掴む力が強くなる。触れ合った場所は既に体温が混ざり合って境界が分からなくなっていた。
 頬に接吻するだけ。そう意志を強く持ってそこに目を向けた。つるりとした白い頬がそこにある。
 一度、強く歯を食いしばってから口を開けた。
「ッ、!」
 二度目の痛みは、しっかりと痛みとして残ったのだろう。僅かに赤くなったそこへ、今度こそ唇を押し付けた。
「ふん! これで良いだろう。離れろ!」
……すまない、離したくない」
「んな………っ!」
 とうとう全身を抱きすくめられて、セベクは逃げ出すことが出来なくなってしまった。
 もう赤みの薄れた頬を、今度は指で抓る。何も触れていないはずの自身の頬がチリチリと痛んだ。