たくとろ
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ワンライ「果物」


「ロイ、入っていい?」
「どーぞー」

了承を得てドアを開けると、ロイは地面に座り込むアチゲータ、ルカリオ、タイカンデンと円を作るように椅子に座っていた。彼は入ってきたリコの方をじっと見つめて言った。

「どうしたの?」
「ロイの洗濯物乾いたから持ってきたんだ」
「ありがとう。わ、畳んでくれたの?」
「ついでだし気にしなくていいよ」

リコが微笑みかけると、ロイはまたお礼を言って受け取った洗濯物を一旦ベッドに置いた。戻ってくるロイに今度はリコが聞く。

「ロイたちはなにしてたの?」
「これ食べてたんだ」
「お菓子?」
「うん。この間発売したやつなんだ」

ロイがそう言うと、アチゲータが両手を上げて「アゲー!」と乗っかった。ロイが持つスナック菓子の袋を見ると、パッケージにはトゲトゲした細長い赤い木の実と一緒にポテトチップスが載っている。

「この木の実ってなに?」
「ノワキのみだよ。すっごい辛いやつ。これ、パルデアのチリソースも使われてる激辛チップスなんだけど、リコも食べる?」

そう聞きながら、ロイは既に一枚取り出している。ロイの顔をよく見ると、少し汗が流れている。それに口を開けていることが多い。アチゲータやタイカイデンも同じくだ。ルカリオはクールに澄ましているが、時々そっぽを向いて舌を出しているようだ。
これ大丈夫かなと不安になるリコの頬には冷や汗が流れる。

「あ、無理して食べなくていいよ。ほんとにすっごい辛いし」
ちなみにどれくらい?」
「んーとね

ロイは机の上に置かれた飲みかけのペットボトルを指差した。隣には紙コップが一つ置かれている。二リットルサイズだが、中の水の量はその半分以下だ。

「まだ僕らそれぞれ三枚くらいしか食べてないんだけど、もうこんなに減っちゃったよ」
「えっ!?これ、元々満タンだったの?」
「うん。みんなで飲みながら食べてたらこんなに減っちゃった」

ポケモンたちの方に改めて目をやると、水滴がついた紙コップが一つずつ置かれている。これは相当辛い。リコは息を呑んだ。

「どうする?リコ」
じゃあ一枚だけ」
「ほんとに大丈夫?」
「う、うん。ちょっと気になるから」

リコはロイからチップスを受け取った。おそるおそる口に運んでリコは目を瞑って含んだ。すると、舌に乗った途端、全身に痺れるような感覚が迸る。噛むとすぐに顔全体が熱くなっていき、汗がだばだばと流れる。リコは声も出さずバクバクと噛み切って飲み込んだ。すると喉にもチップスの粉がかかり、思わず咳き込んでしまう。

「リコ大丈夫!?」
「ロ、ロひみ、みず
「あ、うんはい」

ロイは机の上の紙コップに水を満杯入れてリコに手渡した。リコはお礼を言って水をごくごくと飲み、「はぁー」と息を吐いた。ロイはそんな彼女の紅く染まった表情を見て、少し固まった。心臓の鼓動が僅かに高まり、ロイは首を傾げながら胸を押さえた。

「ロイほんとに辛いねこれ」
「あーうんでしょ?大丈夫?」
「うん水飲んだからでもさすがにこれ以上はダメかも」
「あはは。ほんと辛いもんね」

ロイはそう言いながらまたチップスを口に入れた。すぐに汗がだらだらと流れる。ポケモンたちにも渡そうとすると、アチゲータは喜んでいるがタイカイデンとルカリオは冷や汗をかいて首を振った。仕方ないなあとロイはさらに食べる。辛さで顔面がすっかり赤くなった。

「あーやばいリコ、コップちょうだい」
「うん。ん?」

コップを受け取ったロイは水を入れてごくごくと飲んでいる。リコは机に目をやる。コップは無い。ロイが持っているから。つまり、さっきリコが使ったコップがロイが使っていたコップでそれをまたロイが考える間にリコは今度は違う理由で顔を赤くした。
するとロイのポケットから振動が鳴り、ロイはスマホを取り出した。

「あ、グループトークにマードックからメッセージ来てる。甘い木の実いっぱい使ったケーキだって!」
「お口直しにちょうどいいね。行こっか」

ロイはアチゲータと一緒にチップスを食べきり、みんなでミーティングルームに向かった。