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ジルク
2025-09-13 21:55:46
976文字
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白鳥自カプ
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朝日は差す
CoC「白鳥の歌を謡うとき」3話までネタバレ
『ギル!』
幼い子どもの声で名を呼ばれた。
膝を抱えて俯いていた顔を上げる。いつの間にか、目の前に少年が立っていた。懐かしい、在りし日のローレンス。
遊びに来たよ、と笑う彼は、目が合った途端に驚いた顔をして、首を傾げた。
『泣いてるの?』
そんなはずはないと、親指の腹で目元を拭う。濡れた感覚はない。
どうしてそう思ったのか尋ねようと思い、もう一度顔を上げた。
――
そこに少年の姿はない。
あれ、と思った次の瞬間、後ろから声を掛けられる。
『ギル』
先ほど見た姿より少し背の伸びた彼が、こちらを見て悪戯っぽく微笑んでいる。
『折角会いに来たのに僕のこと忘れちゃった? 寂しいなあ』
そんなことない、と言おうとして喉が詰まる。不思議と声が出ない。そんなこちらに気付いているのかいないのか、彼は表情を変えずに立っている。
戸惑っているうちに、彼の姿がかき消えていく。慌てて立ち上がり駆け寄るが、間に合わない。
彼の消えた場所で一人、呆然と立ち尽くしていると、再び背後から声が聞こえる。
『ギル』
穏やかな低い声に振り返れば、自分より少し背の低い彼が見慣れた制服姿で立っている。
『お前が僕に会いたいかと思ってさ』
よく聞いたような気がするフレーズだ。そういえば、そんなことを言いながらよくキュクノスへ遊びに来ていたっけ。
泣きそうになりながら、ふらふらと彼の方へ歩み寄る。彼はにっこりと屈託のない笑みを浮かべ、手を差し伸べてきた。
その手を取ろうと手を伸ばして、
――
目が覚めた。
ピピピ、ピピピ、と繰り返す携帯のアラームを止める。本を読んでいるうちに、机へ突っ伏して眠ってしまったらしい。手元の本をぱらぱらとめくる。
……
どこまで読んだのかわからなくなってしまった。まあいい、次読むときには適当に開こう、と本を放った。
『 』
はっと振り返る。声が聞こえた気がしたが、そこには誰もいない。当たり前だ。もう夢は覚めたのだから。この部屋には自分しかいない。この世界に、ローレンスはいない。
吐きそうになった溜息を飲み込み、深呼吸をする。
視線をあげ、窓に近づく。カーテンを開ければ、柔らかな朝日が差し込んできた。この世界で何度も迎えた朝が、今日もやってくる。
眩さに目がくらみながらも、真っ直ぐに外を見る。
今日も、俺は生きている。
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