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ジルク
2025-09-13 21:26:51
683文字
Public
JA(山羊歌)
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おかえりなさい
CoC「山羊の歌は謡えない」、CoC「対の棲みか/1話霧謬の見」ネタバレ
ついすみ1話クリア直後のJAの話。
玄関の方から、かたり、と控えめな音がした。
弾かれたように立ち上がりそちらへ向かう。そこには薄手のコートを羽織ったアシュトンが立っていた。
「
……
おかえり」
自然と顔が綻び、柔らかな声色になる。見知った街に着いたとは聞いていたが、無事に帰ってきた姿を見てやっと安心した。
彼は目を伏せると「ああ」と一言だけ返し、家の中へと入ってくる。
「何か温かいものでも飲む?」
疲れたでしょ、という言葉は飲み込んで、それだけ尋ねた。
「
……
いい」
彼はこちらに視線も向けず、そのまま書斎へ入っていく。
(仕方ないひとだなあ)
一つ息を吐き、その背中を見送る。
帰ってきてくれただけで、とても嬉しかった。困ったときに頼ってくれたこと、ここに帰りたいと望んでくれたことが、俺の心を温めている。
彼は今、どう思っているのだろうか。
日常的に交わす言葉が少ないからか、電話越しに彼の見たものや感じたもの、考えたことを聞くのは不思議な感覚だった。彼の視点に寄り添えて良かったと思う。
――
闇雲に知ろうとすることはもう辞めた。
けれど。
(ふとした瞬間でいい。少しだけでもいい。また、アシュトンのことを知れたなら
――
)
リビングへ戻り、置きっ放しにしていた手紙を手に取る。焦ったような字と自分の筆跡で書き足された地図を見つめる。
暫くそうしてから、それらを丁寧に畳み直して封筒へ戻した。彼に見せてはいけないと思うけれど、手元に置いておきたい。そう思い、寝室のベッドサイドテーブルの引き出しへとそれをしまう。彼がここを開けることは滅多にないだろうけど、念のため見ないように伝えておこう。
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