紬実
2025-09-13 16:55:53
1202文字
Public グラアレ
 

鼓動を感じて

付き合ってるのか付き合ってないのか微妙なグラアレが好きです

「プレゼントは君がいい」
目が合った、そう認識するよりも早く彼の口が動いた。いつものように聞き流せばよかったのに思わず笑ってしまったのがよくなかったと思う。
「まだおめでとうも言ってないのに」
グラハムは金色の瞳を細め、僕の腰へと手を添える。
「聞きたいな、君の口から祝福の言葉を」
「誕生日、おめでとうございます。……いったい何歳になったんですか」
――さあ、三十を過ぎてからは数えることをやめたからな」
彼は口角を上げ、笑う。きっと覚えているだろうけれど年をとらなくなった彼なりの気づかいなのかもしれない。僕が彼の年齢を追い越す日もそう遠くないのがなんだが少し不思議だ。
「ちゃんとプレゼントは用意してますよ」
……そうか、それは嬉しい」
歯切れ悪く、言葉を選んでそう言うグラハムに苦笑する。きっと僕がプレゼントを用意していないと思い、「プレゼントは僕」なんてめちゃくちゃなことを思いついたんだろう。彼がどうしてそこまで僕に関心を寄せてくれているのかは未だによくわからないが、彼の嘘のない実直なところはこちらとしても好意的に受けとめていた。
「ちなみに、僕がプレゼントだった場合はどうなるんですか」
「そうだな、まずはハグをして、展望デッキで語り合った後は君の機体で訓練をしてみたいな。可変機の扱いには慣れているつもりだが、先日新しくなった装備を試してみたいんだ。やはりパートナーとして相手の機体の構造を知らないというのはいかがなものかと……——
「グラハム」
止めなければいつまでも動いていたであろう唇はしまったという風に引き結ばれている。
「言ってくれたら別に誕生日じゃなくても乗っていいですよ。もちろんスメラギさんの許可が下りればですけど」
「すまない。ただ私が言いたかったのは、君といたいということなんだ」
目に見えて反省しているグラハムが僕を伺い見る。「許してくれるなら――
――君が眠るのを隣で見ていたい」
腰に添えられた手が制服越しにも熱く感じられる。髪と同じ金色の眼差しが僕を見据え、なんと答えるかを待っている。
そんなことがプレゼントになるなんて、僕には理解しがたい。しかし、いつもせわしなく動き回っている彼の寝ている姿を見たいという気持ちはわかるような気がする。
……じゃあ、ハグからしますか」
――アレルヤくん?」
彼へと向き直り、そう言えば、グラハムは驚きながらも喜びの光を全身から発していた。
背中へ回された腕がギュッと僕を抱きしめる。少し痛くて苦しいが、悪くないと思ってしまう。
「しばらくこのままでいてもいいかな」
耳元で囁かれコクリと頷く。抱き返す腕に力を込め、彼の息づかいと温もりを感じる。毎日が誕生日なら、こうしてハグできるだろうかと考えてしまった自分がおかしい。
ただしばらくは僕もこのまま目を瞑り、生まれてきたことに喜びを感じたいと思った。