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望月 鏡翠
2025-09-12 23:42:10
911文字
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日課
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#1842 出立
#毎日最低800文字のSSを書く
長い回り道をした私の旅は、ようやく落ち着くべきところに落ち着こうとしていた。道中色々なことがあり、財産は大幅に減った。しかしそれを使って望みを叶えることができるのだから、いうことはない。
捧げ物と旅に必要なものをわけ、私は半分以下になった荷物を片付けた。
「それで一体どうやって世界を渡らせてくれるのですか?」
「そこの入り口から出ていけばいい。それであんたはこの世界とお別れだ」
北の賢女はまっすぐに入り口を指差した。
ここを出たら、もう別の世界。そんなことがあり得るのだろうか。しかし、後で別世界に送ってやるから、全てを置いていけと言われるよりも、すぐに結果が出る方が安心できた。
別の世界にいなければ、戻ればいい。
「今ですか?」
すぐに出発というのは、随分と唐突だ。
「当たり前だ。いつだと思ってたんだ。アタシは忙しい。あんたが家に帰って、ワクワクしながら旅行の準備を整えて、またここに戻ってくるまで待ってろっていうのかい? しがらみが多いなら、旅なんてやめちまいな」
私はすぐに出発できますと返事をした。
この機会を逃すわけにはいかなかった。
「私は、どうすればいいのですか?」
そう口に出したのは案内人だった。外に出たら別世界。そうしたら、元の世界で暮らしたいだけの彼は確かに困ってしまうだろう。賢女はこの家から早く出ていけと言わんばかりに、ひらひらと手を振っている。
出ていかなければならないらしい。
「一度外に出て、君だけ戻ればいい。私が世界を渡った後に扉を潜れば、きっと元の世界なんじゃないか?」
「本当ですか?」
「どちらにしろ、出ないといけないらしいし、君は私から報酬を受け取らないといけない」
報酬だけを持ち逃げされることを警戒して、報酬は後払いだ。無事に戻ってくることができたら、という条件になっていた。しかしここで別れるというのなら、依頼は完了したということで、お金を払う必要がある。
賢女の家でのんびりと金銭の受け渡しをするのは、賢い選択とは言えなかった。何をきっかけに彼女の機嫌を損なうのか分かったものではない。
私たちは、賢女の家から退散することにした。
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