三毛田
2025-09-12 20:26:18
1072文字
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13 013. 静謐の中で

13日目
君のことを思う

 ここは、滅多に他の人が来ないから静かだ。
 たまーにモンスターが徘徊してるけど、全て倒してしまえば問題ない。
 壁画を見つめ、水壁に映る龍を追いかけ。
 一つの卵の前で、膝をつく。特に知り合いではないけど。
 白露から渡された巻物を広げ、読み上げる。
 どうやら、生前脱鱗する前に時々この物語を読み聞かせてほしいと頼まれていたそうだ。頼まれた本人がやるべきでは? と思ったけれど、龍女様は毎日毎日忙しく。
 ここ数年、来ることが出来ていないそうだ。
「読み聞かせが、銀河打者で悪いな。龍女様は忙しくて、来れないって。会いに来られないと、残念がってたよ」
 卵の表面を撫でると、わずかに振動。言っていることがわかったのだろうか。
 本当に不思議な場所だ。
 ここで彼は産まれ、眠り、また産まれてきたのだろう。
 完全な静謐とは言えないのかもしれないけれど、心地よい場所だ。彼の生まれ故郷だと思えば、わずかばかり好奇心が刺激される。
 読み聞かせも終えたので、巻物をしまって散歩を開始。
 肝心の愛しい人は、将軍のところ。もしかしたら、もう既に話を終えて白露を手伝っているかも。
 霊砂もいるし、放っておいても大丈夫。なんだけど、一人だとつまらない。
「よし、戻ろう」
 鱗淵境を後にし、丹鼎司へ向かう。
「丹恒〜!」
 広場の真ん中のベンチに腰を掛けている姿を見つけ、走り寄る。
「冒険は終わりか?」
「ちゃんと依頼も終えてきたから!」
 からかうような声色に、思わず頬をふくらませる。
「そうか。おかえり」
「うん! ただいま」
 柔らかな笑みを浮かべる丹恒へ言葉を返し、隣に腰掛け。
「ちゅーしていいか?」
「ここは外だから遠慮して欲しい」
 グイっと頬を押される。
 いつもなら、容赦なく首が痛むほど強く押されるのだが、今日は優しい。
「ふへへへ」
「気持ち悪い笑いをするな」
「穹。戻ってきたのか」
「うん。白露、これ返すよ」
「ふむ。助かった。丹恒に頼んだ仕事はもう少しかかるから、これでも食べて待っておれ」
 と、玉実鳥串、獏巻き、熱浮羊乳を渡される。
 金人港セットかよ。というツッコミはしないでおく。
「そうだ。今度列車に遊びに来るか?」
「丹鼎司を空けるわけにはいかん」
 誘ってみるけれど、彼女は寂しそうに首を横に振る。
「じゃあ、今度来た時にモクテル持ってくるから飲んでくれるか?」
「モクテル?」
「ノンアルコールカクテル。丹恒も、俺が作る物好きだよな?」
 首を傾げながら、彼女は丹恒を見上げ。
「ああ、好きだ」