羅繊(せら)
2025-09-11 20:32:34
1754文字
Public 日本語
 

【よだつか】年下の神様・外伝の後日談の予定

36歳夜鷹×12歳(中1)司
本編完結までpixivに投稿済です。
https://pixiv.net/novel/series/14723218

本伝+外伝+後日談をまとめた本を5/6に発行します。
現在予約受付中です。
https://sela.booth.pm/items/8150390

#章# 外伝・後日談

「最近……司が、触らせてくれないんだ」
 僕は慎一郎くんの家に来て、格好悪くぼやいていた。
「そっ、そう、なんだね……
 司は今日、登校日で家にはいない。世界選手権が終わって春になったのに、未だにベッドルームは二つのままで、僕は司と一緒に寝てもらえていなかった。
 僕が下手だったか、抱き方が気に入らなかったのか? しつこくておっさん臭かったか?
 そうだとしたら改善するから教えてほしい。身だしなみや体臭には気を遣っているつもりだ。でもそういうことが理由ではないような気はしていた。しかし、『何もしないから』と言っても駄目だったし、『したいの?』と訊いても涙目で逃げられた。正直なところ辛いし、一度知ってしまった司を忘れることもできない。日々余裕が削られていく、煙草が欲しい。
 司は現役の選手だし、十六歳だし、身体の関係を無理強いするつもりはないから、そのことは彼にも伝えている。
 でも、せっかく想いが通じ合ったのだから、もっと触れたいしキスもしたい。
 なのに『無理です』『あんまり近付かないでください』と彼に言われるのは非常に堪えた。
 これが、今まで司に辛い思いをさせてきた報いか。
「はぁぁ……
 特大のため息をついていたら、慎一郎くんが僕の前にお茶を置いてくれた。
 エイヴァは気を遣ったのか、理凰をベビーカーに乗せて散歩に行ってくれている。
「司くんと、話はしたのかい?」
…………
 僕が一方的に近付こうとしすぎて、距離を保った上で改まって話というのはしていないかもしれない。
「まずは、そこからだね。司くんはまだ未成年だから、表立って応援というのはしづらいんだけど……、司くんは出会った頃も今も、純くんのことが大好きだよ」
……うん」
「純くんがいなくなることを考えなくなったのは、僕もとても嬉しい」
 慎一郎くんが淹れてくれたお茶は美味しかった。味を楽しむことを知ったのは、司と一緒に暮らすようになってからだ。
「きっと、司くんも嬉しくて、すぐには適応できないんだと思うよ。彼は僕の目から見ても、純くんを引き止めたくて必死だったから」
……そうだね。ちゃんと、話してみる。……先に手紙を書くのもいいかもな」
 口だと上手く僕の想いを伝えることができなさそうだから。
「ああ、それは良さそうだ。純くんは手紙だと饒舌だし……自分のペースで落ち着いて読み返せるからね」
「うん」
 そうして僕は、初めての恋文を書くことにした。

  ◆ ◆ ◆

「ただいま〜」
 マンションのドアを開けて帰宅の声を掛けると、純先生が自分の部屋から出てきた。
「おかえり、司」
 うっ、今日も純先生が格好良い。部屋着でもかっこいいってどうなってるんだ。いや、何も着てなくてもかっこいいんだから当然だった。
……これを、君に」
 ずしりとした封書を手渡される。えっ、何?
 札束だったら遠慮したい。進級祝いとか言って平気で札束を渡してくる人だから。
「恋文だよ」
「ふぁっ!?」
 純先生の口から聞く初めてのワードに、俺は変な声を上げて固まった。
……僕から、君に。……少し長くなってしまった」
 少しという量ではない気がする、純先生からのラブレター。受け取った手が震えるほど感動した。
「あっ……、ありがとうございます」
……読んでくれると、嬉しい」
 普段と様子の違う先生が、ふいと顔を逸らす。
 えっ、もしかして、純先生が緊張してる?
「今すぐ読みます!!」
「うん……、ひとりで、読んで」
 先生は自分の部屋に戻ってしまった。
 分厚い手紙に何が書いてあるのか、気になって仕方がない。

 俺は自分の部屋のデスクで、封筒から分厚い紙の束を取り出して深呼吸で心を落ち着けた後、手紙を開いた。
『拝啓  夜鷹司様』
 純先生が書く字はとても綺麗だ。普段から先生が愛用している万年筆の、夜のような深い紺色のインクで、俺の名前が書かれている。
 どうしよう、一行目を見ただけで既にどきどきしてきた。

(後略)

本伝+外伝+後日談をまとめた本を5/6に発行します。
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