バラ肉
2025-09-11 16:11:19
8599文字
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反省席 砂アシュ

多忙な砂に対し、かまってほしいアシュが我慢の糸が切れて爆発→反省させる話。
アシュのG行為あり。
ラブラブです。

アシュラマンにとって、サンシャインという男は常に傍にいるのが当たり前な存在だ。
それは悪魔騎士として悪魔将軍に忠誠を誓った時から始まり、コンビを組んでからはより一層その意識が強くなった。

(自分の歩む後ろにはいつも彼がいる。)

『仕方ねぇなぁ』──年上ぶった余裕の笑みを浮かべ、その背中を優しく叩く。
魔界に咲く大輪の花が堂々と胸を張れるように。
この俺様がどんな時でも支えてやる!とばかりに。
「フォフォフォッ!」
独特の笑いが聞こえる度にアシュラマンは、誰よりも頼もしい男が自分の側にいることを強く感じた。



だからこそ、悪魔将軍が蘇り、悪魔騎士が再度集結した今。
首領格として忙しくするサンシャインに対し、彼は余り良い気がしなかった。

「おい、サンシャイン。今月の悪魔超人達の訓練メニューだが……
「ん? ああ、もうそんな時期か。うーん、そうだなぁ──」

……サンシャイン。将軍様が言っていた件だが、話は進んでおるか」
「フォフォフォッ!その件に関してはちゃあんとやってるぜ!ええとな──」

戦いの場では、砂の超人らしく掴みどころのない男を気取るサンシャインだが、意外にも他人への面倒見は良い。伊達に悪魔将軍から直々に選ばれた訳ではないのか。
スニゲーターの相談や、ニンジャの進捗確認に対しても、いつでも迷わず答える様からして、常に広く悪魔超人たちを見ているのだろう。
他の悪魔騎士が「勝手にやれよ」と投げる仕事も、なんだかんだ言いつつも真面目にこなし。けんかっ早い仲間たちが乱闘を起こせば、その巨体を使ってなだめ。後先考えない悪魔超人たちが面倒を持ち込めば鉄拳制裁と問題解決に奔走する。
「ったく、お前らは」
肩を竦めて苦笑する顔は、しかし必ず解決できる自負があふれていた。
『これが地上で言うところのシゴデキ男か……』と囁いたのは、一体誰だったか。
どちらにせよ、かくいうアシュラマンも、その点に関しては相方として大変誇らしく感じていた。

しかし、誇らしくはあれど、全てを良しとしていたわけではない。

自分を放って他の悪魔超人達に気を配るサンシャインを見るのは、正直面白くなかった。更に言えば、場合によってはひどく憎らしいときすらあるのだ。

例えば、朝一番に会った時などは
「サンシャイン! 聞いてくれ! 今日の朝飯に私の嫌いな食材が出ていてっ」
「ああ、すまねえな。アシュラマン。今ちっと立て込んでてまた今度聞かせてくれ!」
「なっ……!?」
なんて、すげなく躱す相手にアシュラマンは思わず絶句してしまった。

(折角こちらから話題を振ったのに、あんな簡単に無下にするなんて!この、魔界の王子である俺を!)

これまでなら、ある程度話を聞いた上で、「おお、そいつは災難だったなぁ!」と背中を撫でながらフォローを入れてくれたものだ。また、タッグを組んでいた時などは、どんなにつまらない話を持ち掛けてもいつだって嬉しそうに頷いてくれたのに。
それが、今はどうだ。
将軍様に提出する報告書作成のために……そんな免罪符を掲げては、自分からの雑談を遮るサンシャインにアシュラマンは何度奥歯を噛んだかしれない。
「ぐぬぅ……!」
【笑い面】が【怒り面】のごとく歪んだのは数度では足りない。
とはいえ、いくら屈辱に震えても自分たちの総大将が絡んでくるとなると、流石の彼も強くは言えない。
文句を言ったら最後。王子としての懐の狭さが自分たちの主人に露見されるだけだ。
サンシャインもその点は熟知しているのか。
「将軍様からの」「将軍様が」「将軍様へ」
お決まりのように付けられる枕詞は、しかしそのお手軽さの割に効果は絶大で。
いつしかアシュラマンを流す時は、実際にそうであってもなくても、自分達の上司を口実に使うようになっていた。
しかし、どんなに効果があろうと使いすぎてはいけない。
ましてや、相手は魔界随一のプライドの高さを誇る悪魔である。



*****



「なあ、サンシャイン。今度の旅行の場所だが……

「ああっ、わりぃアシュラマン! ちょっと将軍様に頼まれた伝言があって、今から他の悪魔騎士の連中のところに行かないといけねえんだ!」

相変わらずアポ無しで突撃したアシュラマンに対し、サンシャインは慌てた口調で馴染みの言い訳を口にした。
実際はそこまで急ぎではないが、ここで話を聞いていたら予定の時間を過ぎてしまうのは明白だ。ましてやマイペースな同僚たちのこと。遅くなれば、居場所を探すところから始めなければならない。流石に、この広い魔界でそれは御免だ。
普段は面倒ごとを押し付けるアシュラマンが、わざわざ自分から旅行地のパンフレットを持ってきてくれたのは有り難い。ましてや、酒の席で勢いで決めた約束を覚えていた。それだけでも奇跡に近い。
しかし、互いのスケジュールをざっと見積もっても、決行日はまだまだ先になる。敢えて今日この時に決める必要はない。

「わりぃが、それはまた今度な! 次の時にちゃんと決めようぜ。アシュラマン」

勝手に優先順位を低く見積もったサンシャインは、その瞬間―――場の空気が凍ったことに気付かなかった。

…………ほーう?」

美しいテノールがいやらしく語尾を上げる。

「っ!?」

まるで肝が冷えるような返事に、サンシャインはギクっと体を硬直させた。
大抵の場合、居丈高に構えるアシュラマンの口調が静かになる時。それは大抵、彼の逆鱗に触れたことを意味する。
実際、慌てて見返した顔には、はっきりと怒りの色が浮かんでいた。

(これはヤバい)

危機察知能力に長けている男は、瞬時に今の状況の不味さを察した。

「あっ、いや、ま、待ってくれ! アシュラマン! ちゃんと話し合う時間は作るから! なっ! なっ?」

しかし、取り繕うにはもう遅い。

「サンシャイン。貴様……流石に私を蔑ろにし過ぎだぞ?」

一番上の腕を組んで踏ん反り返るアシュラマンの面が、笑いから怒りに変わる。
そして、歪んだ口元からは低いがなり声が断罪を告げる。

「お仕置きが必要だな……

ゴゴゴゴゴ……漏れる殺気を隠そうともせず、魔界の王子は冷や汗をかいて後ずさる相棒を睨むのだった。



***


それから一刻足らず。

「なあ……いい加減、機嫌を直してくれねぇか?」

サンシャインは、己の上で座るアシュラマンに何度目になるだろうご機嫌取りの声をかけた。

あの後、無理矢理胸のキーパーツを奪われた彼は『……反省の証として、とりあえず椅子になれ』という命令に従わざるを得なかった。
仕方なしに悪魔将軍が座る玉座を真似た椅子へと形を変えれば、途端に巨体がドンと腰掛ける。

……硬いな」

座って早々、顔をひそめて文句を言う姿は不快さに満ちていた。確かに、硬い上に真っ平らな座面の座り心地は良いとは言えない。いくら超人レスラーとはいえ、それは同じだ。ただでさえ悪い機嫌を下降させないよう、サンシャインは急いで彼の臀部の形に座席を変えれば、「フンッ」と満足げな鼻息が聞こえた。

「やれば出来るじゃないか」

背もたれの上部に乗った頭部に向けて、嫌味っぽい笑みが向く。
これで満足とはいかないまでも、すぐに対処したのは評価してやる――傲慢な考えは、その眼差し一つで十分伝わった。だが、ここでそれを指摘したら最後。もっと酷い目に合うかもしれない。

……フォフォッ。そりゃどーも」

できるだけ余裕を見せつけようと笑う声は、体同様乾いたものだった。

「で、このまま座ってどうするんだよ?」

椅子として座られるのは別にいい。いくらアシュラマンが大柄な部類に入るとはいえ、サンシャインはその上を行く。言うほど負担はない。
ただ、時間は有限だ。
今日のスケジュールを鑑みるに、このまま用もなく鎮座されるのは余りよろしくない。
『各騎士たちの訓練結果を〇日までまとめておけ』
そう告げられたのは昨夜の話で、〇日は今日。なんというハードな課題であろう。
だが、文句を言っても厳しい上司の締め切りは延びない。守れなければ、どんな雷が落ちるやら……想像するのも恐ろしい。
(できればさっさと機嫌を直してほしい)
大げさでなく、切実な願いだった。

それに対し、肘を付いて座っていたアシュラマンは、ふむと宙を見た。
正直、『何をしてやろう』なんて具体的な考えはなかった。
とりあえず、早急にどうにかして忙しいこの男を足止めしてやろう、お灸を据えてやろう。そんな思いでこの状況に持ち込んだだけなのだ。

ちゃんと反省し、泣いて縋って謝れば許してやらないこともない。

何といっても、彼はキン肉アタルの下につき、多少なりとも慈悲の心を覚えた男である。チラリと背後を見上げれば、こちらの様子を伺うような困り顔があった。
(まあ、これで悪いという自覚はしただろう)
こちらの不快感は伝わったはず。そう澄ました顔で頷くと、もうこれで許してやるか……救いの声をかけようとした。
――そこで、走馬灯のようにここ最近のサンシャインの対応を思い出した。
『将軍様から話が来てて』『すまんが今はそれどころじゃなくてな』『悪い悪い。また今度な』
心を抉った言い訳の数々に、なけなしの優しさが砕け散る。

……いやいや! それじゃあこれまでの腹の虫がおさまらん……

こんな軽い罰で許しては自分の面目が立たない。アシュラマンは綻びかけた顔をぎゅっと顰めた。

「調子に乗るな! これまで散々、私をぞんざいに扱ったんだ。それなりの我慢は味わってもらうぞ」
「うおっ」

カッと目を見開いた背後のサンシャインに宣告する姿は、阿修羅そのもの。咄嗟に野太い悲鳴が上がったのも仕方ない。
腕を組み、不動の姿勢を取る相方に対し、さしもの彼も掛ける言葉が見当たらないのか。いつもはペラペラと動く舌が、今はすっかり口の中で大人しくしている。
一体どうやってこの場を乗り切ろう。下手なことを言えば更なる悪循環になるのは目に見えている。かと言ってそのまま放置しても文句を言われかねない。考えれば考えるほど、思考が泥沼に沈んでいく。
背もたれから飛び出た顔には、しっかりと苦渋の色が滲んでいた。

一方で、ふんぞり返って座るアシュラマンも、相手に見えないことを良いことに、視線をフラフラと泳がしていた。

(ああは言ったが、どう懲らしめてやろうか)

持ってきたパンフレットを眺めるのも手だが、それでは単に楽しい時間を共有するに過ぎない。
出来れば、これまでのことを大いに反省する仕打ちをしてやりたい。しかし、この状況で何が出来て、かつ効くのだろうか。
アシュラマンは頭を傾げながら顎を撫でた。
――そして、しばし思案した後。ようやく何かひらめいたのか。彼はポンっと手を打った。

「おい、サンシャイン」
「ん? なんだ……って、うおっ!?」

ゆっくり名前を呼ばれたかと思えば、サンシャインはグイッと頭を相手の上腕にぎゅうぎゅうにロックされていた。

まさかこの状況で技をかける気か!

突拍子もない行動に目が白黒する。よもやそんなマネはしないとは分かっていても、相手はあの突飛のない男だ。何をしでかすか分かったものでない。こめかみに見えない汗がにじむ。
だが、当のアシュラマンはそれすらも面白いのか。無理やり顔の近くに寄せたサンシャインの、戸惑いに満ちた表情に向けて、してやったりの笑みを浮かべてやる。

「カカカッ! 首領格を気取っている割に、なんだその反応は! 情けない声を出しおって」
「い、いやっ、これとそれとは……
「フンッ。そうやって言い訳ばかりしやがって。良いか、サンシャイン。この私を雑に扱うとどんな目に合うか、しっかり目をかっぴらいて見ていろ!」

そう宣言するなり、彼は首を絞めらる感覚に呻く相方を無視して、ゆっくりと一番下の手を己の股間へ持っていく。豪奢な前立てを避け、たくましい内ももを広げ、黒のリングパンツに指を這わせた。

「ンッ……
「ちょっ、アシュラマン!」
「ハッ、ぅん……うるさいぞ。サンシャイン……興が削がれる」
「興ってそんな……!」

スリスリと薄い布の上で擦る指の動きは怪しく、すぐ近くでトロンと目を細める姿は余りにも淫蕩だ。前振りもなしに始まった自慰行為はサンシャインの動揺を引き出すには十分すぎた。

「ァッ……ハアッ……
甘い吐息に、絞められた咽喉が大げさに上下する。
自分の上に座った美しい相方が、見せつけるように己のペニスを慰める。なんて浅ましく、悩ましいのだろう。しかも向こうも向こうで、サンシャインが戸惑っていることを喜んでいる。
ゆっくりとパンツを下ろし、容姿同様に整ったモノを取り出せば、ことさら丁寧に竿を擦る。すると、グンと角度が反り返ると同時に艶やかな鈴口から我慢汁が溢れた。

……しばらく、していなかったからな」

やや上擦った声で声は、誰に聞かせるでもない呟きだ。しかし、その気取らない幼い物言いがサンシャインの心をぐっと締め付けた。

……確かに、最近はめっきり向き合う時間が減ってたな)

会話の時間も、訓練の時間も、そして大切にしてきた"相棒"兼"恋人"としてのプライベートの時間も。

「アシュラマン……

今更ながら、おざなりにしてきた事実が重くのしかかる。叶うのであれば、この目の前で熱く火照る体を共に慰めてやりたい。

「んぁっ……サンシャイン……ッ」

そんな声で呼ぶのなら、早くこの味気ない形を解いてくれ!心が叫ぶのに合わせて、小刻みに巨体が振動する。

だが、今日のアシュラマンは決めていた。

「カカカッ……だめだぞ。これは、お前への罰だからな」

指をくわえて待っていろ。
さながら蜂蜜のようにドロリと蕩けた眼差しで、物欲しそうなサンシャインの欲を制止した。
言葉通り、これは互いに楽しむための行為ではない。飽くまでも断罪だ。

予想通りの焦った様子に、アシュラマンはにやりと口元を歪めた。また、明らかに欲望を灯した表情が下半身を擽る。本人の欲すら煽り、手の動きが速くなる。

ぐちゅぐちゅぐちゅっ

知らずに垂れた先走りがはしたない音を立てて、真っ赤に腫れた陰茎を汚していく。

「ッハ、ァッ……んッ……!」

掌で亀頭部をこねるように包み込んで刺激するやり方は、サンシャインが教えた技だ。手が大きくて扱きにくいからな。だらしない顔で体に覚えさせたのは、やった本人は元より、やられた方も忘れたことはない。
トプトプと溢れる先走りが摩擦を助け、ますます快楽を高めていく。

「いいッ……はあッ、……ぅんん、くっ……

仰け反る喉のラインすら絵になる。

「アンタってやつはなんて様だ……!」

感嘆した呟きは、ことさらアシュラマンの心をくすぐった。

「だま、れ!」

見られている。
台詞からありありと感じる現状に、いつもより早く限界が来たのか。ぐっと歯を嚙み締める姿の艶やかさときたらなかった。

「じゃあ、良い加減機嫌を直せよ……

そして、少しでもいいから触れさせてくれ。
切実に乞う声は、最早懇願に似ていた。

「おい、そんなに見せつけたら……!」

アシュラマン同様、サンシャインとて近頃は性的な行為とはすっかりご無沙汰なのだ。
なのに、こんな格好で、こんな近くで、文字通り手も足も出ないなんて。生殺しとはまさにこのことだ。

だからこそ、アシュラマンは彼をさらに煽るようにわざと足を座面に乗り上げ、見えやすいように股を開いた。

常々ベッドで、「愛しい」「綺麗だ」と褒め称えるこの痴態を見ろとばかりに。

「アッ、アッ……!」

手の動きが興奮に比例して激しくなっていく。
真ん中の手があられもない様を演出するように両の胸を揉み、乳首を指先でつまむ。

「んんぅッ! ハッ、……サンシャインッ。見ているなオレの、この、乱れた姿をッ!」
「ッアシュラ……ああ、クソ! たまんねえぜ……ッ」
「ッ! ………ふふっ」

切羽詰まった声が名前を呼ぶ。その何とも言えぬ満足感に、アシュラマンは笑った。全身に悦びが走る。
刹那、精巣に溜まっていた昂ぶりが一気に駆け上がった。

「ハッ、くぅ―――ッ!!」

ピュルルッ、ピュッ、ピュッ!

白い迸りが床に飛び散る。最初に言っていた通り散々溜めていたせいか、その量は通常よりも多い。つまり、全てを出し切った後の射精感も激しく。
クタリと背もたれに体を預けたアシュラマンは、ハアハアと荒い息を整えていた。余裕ぶっていた笑みも今はなく、独特の余韻に長いまつげが震える。
サンシャインの頭を硬く固定していた腕は、もう絡む程度の力しかなかった。

……アシュラマン」

低く、湿った声が耳朶を震わす。それに、彼はチラリと目線だけで相手を見やった。いつでも抜け出せるはずなのに、黄砂で作られた顔は変わらぬ距離を保ったままだ。

「もう、良いだろう」

怖いくらいの優しい囁きを合図に、肘置きからサラサラと大きな手が浮かび上がる。ぐーぱーと開閉されるそれは、相手の手を誘っていた。否、手ではなく、欲しいのは彼からの許し。

「ふむ……これで懲りたか? サンシャイン」
「ああ。アンタにはかなわねえよ……こんな色っぽい姿、指を咥えて見てるだけなんて……まったく、生殺しも良いところだぜ」

吐き捨てる言葉はきっと心からの言葉に違いない。あんなみだらな姿を背後から見るだけだなんて。男にとってこれほどの屈辱はない。しかし、それも全て自分が蒔いた種。悲壮感すら感じる告白に、美しい相貌がにやりと歪む。

「フッ。お前が私を放っておいたからだぞ。……どうだ? 自分の立場がわかったか?」

……ああ。どうやったって、俺の負けだよ。アシュラマン」

降参だ、と敗北宣言を告げるサンシャインに思わず「カカカカカッ!!」と高笑いが上がった。バンバン!と待機中の掌をひとしきり叩くと、今度はぎゅうと一回りは大きいそれに指を絡める。

「ほう。じゃあ、どう負けたのかじっくり聞いてやろうではないか?」

楽しげにニギニギと手に力を入れる姿は、すっかり調子が戻ったらしい。見慣れた悪戯っ子の瞳は、目の前の男がどう答えるのか興味津々である。

「もう、時間がないとは言わせんぞ」

ひと際強く握りしめる手の強さに、老獪な悪魔騎士はやれやれと苦笑するほかなかった。

その後、サンシャインは散々自分の非を認めさせられ、アシュラマンのいいところを延々と上げさせられることになった。
「私の美貌について、どう感じてんだ?」
「あんたほど艶やかな奴はいねえよ。まさに地獄に咲く大輪の花……俺の自慢の相方だ」

「ほう。では、私の実力については?」
「そりゃあ勿論、悪魔超人、悪魔騎士の中でもピカイチの強さだよ」

「そうかそうか。じゃあ次は……私の好きなところについても語ってもらうか」
「な! おいおい、流石にそれはっ。こんな素面の状態で言えってか」
「ああ?」
「グッ……わかったよ、言えばいいんだろっ……

赤面しながらも問答を返す姿に、魔界の王子はニヤニヤと笑いが止まらなかった。



そうこうして、たっぷりと自尊心を満たした後。

「よし、今日はこれぐらいにしてやろう」

腕を組んだ状態で腰を上げたアシュラマンは、それはそれは晴れやかな顔をしていた。反対に、やっと解放されたサンシャインはやれやれとボヤキながら、いつもの姿へと戻る。

(ひどい目にあったぜ)

椅子になるのは良いが、まさか自慰行為を見せられた挙句、本音まで吐露させられることになるとは。
思いもよらなかった展開にどっと疲れが沸く。
(悪魔らしく、仕返ししてやろうか)
ここまでされて、「はいそうですか」と納得がいくほど、お人よしではない。内心、一矢報いる代わりにこのまま押し倒してやろうか……などと鬼畜な想いも無いとは言い切れない。
―――だが、アシュラマンの嬉しそうな顔を久々に見たことも実感していた。

「フォフォフォッ。俺の王子様は随分と寂しがりやだったって訳か」

照れ隠しに頭を掻く。勿論、その表情は穏やかだ。

「おい、サンシャイン! 向こうで旅行の日程を決めるぞ!」
スッキリした顔で腕を引っ張るアシュラマンに、サンシャインはたたらを踏みながらも抵抗しなかった。

(まったく……誰よりもアンタに手を焼いてるよ)

悪魔超人たちのどんなゴタゴタした問題も、悪魔騎士からの面倒極まりない案件も、悪魔将軍からの厳しい書類地獄も、最終的にはこの男の比ではない。

(美しく強い、気高いこの魔界の王子の相手ができるのは古今東西自分だけなのだ)

今更な事実に、笑うしかない。

「ああ! とびっきり楽しい旅にしねえとな!」



後日。
悪魔将軍の仕事がほかの悪魔騎士の面々へ山のように割り振られたのは、当然の結末だった。