以下の曲を聞きながら書きました!
Motoki Ohmori – 「絵画」Official MV
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「あーあ、ほーんとに置いてっちゃった。いけずー」
唇を尖らせ、砂を巻き上げ制服をはためかせる風を残して去った先輩の背中を見送る。
ぽつん、と。私はまた独りになった。なれてしまった。不完全で可愛げのない私と向き合わされてしまう。
「
……。」
まだ残る風に誘われて、彼が撫でた頭をくしゃりと自分で撫でてみる。小さい手。自由を取るには小さくて、弱すぎる。
先輩の言葉は、いつもまっすぐ私の胸の淀みを流すように風が吹く。それでもまだ、私は動けない。いっそ胸ごと体ごと、吹き飛ばす風ならばいいのに。
「無理よ」
零す。何年も自分で縛り付けた鎖から、覚醒しても私は抜け出せていない。先輩だけの風じゃ、私は帆を張って自由な海を走りだせそうにない。
その帆を畳んでいるのは、私自身で。舵はずっと他人に任せてばかりで。何処にでも行けるはずなのに、私はどこにも行けてない。
そんなことを考えているからか、足は重たくて帰路にはつけなかった。帰ればまた、あの人と電話をしなくちゃいけない。
でも電話をしなきゃいけない。
したくない。
しなきゃいけない。
しなきゃいけないから、この重い足の代わりに連れて行ってほしかった。
今なら、そう自分の意図を理解できる。
私は、無意識に自分で自分を縛ることを止められない。
「ヒーロー部、ね」
遊びじゃないのはわかっている。古々路英雄は、まっすぐに本気でやっている。それが私は、眩しくて羨ましくて妬ましくて憧れて──応援したくなった。
私とは違う不自由の中で、それでも自由に生きるあの人が、善いと思えた。
■■■なんて思わない。私は私の脚で、自分の運命を受け入れている。壊れたりはしない。■■■なんて思いもしない。
扇子をぱっと広げて、頭上に浮かび始めた月を扇子越しに見つめた。ここは日本の都心よりも自然が多くて、よく月が映える。
「私を見ないでほしいなぁ
……」
子供がぽつりと零すように、願いをこぼす。誰にも、私の弱さを見つけられたくない。掘り起こされたくもない。
■■■と口にできる者だけをどうか救ってほしい。
それでも
もしも、歪んだ私を見つめて受け入れてくれる人がいるのなら善いと願う心は捨てられない。
だから、先輩の言葉は私の胸に風を吹かせてしまう。
どうか、これ以上。私の心を見透かす人が現れませんように。
「私は、私のやるべきことをやるだけよ」
伝統を守る。それが私のやるべきこと。私の生まれた意味。
なのに。そのきつく締めた帆の縄をほどくみたいに、先輩の言葉が頭上を撫でるから。だから、少しだけ。
──それでも。少しだけなら誘い風に乗っても、いいかもしれない。
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