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syanpon
2025-09-10 23:04:39
1580文字
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「じゃあ改めて好きって言って」
ししょすば
現パロ
「何が目的ですか?」
ぽん、と投げかけられた言葉をうまくキャッチしてやることができず、スバルは目をキュッと開いたあと首を傾げて男の言葉の続きを待った。赤いシャツに黒いジャケットを羽織った男は感情の読みにくい瞳をゆらめかせ、その平坦な声にほんの少しの困惑を乗せる。
「僕に差し出せるものが何かありますか?」
「いや、いきなり何を言い出してるわけ?」
疑問に疑問で返すのはマナー違反かもしれないがそもそも話の土台にすら立てていない。ビッ、と指を指して待ったをかければ男はスバルを見てため息をつく。聞き分けの悪い子供を見るような顔はやめてほしい。
「あなたが僕と一緒にいてくれる対価を払わないとでしょう? 貰いっぱなしは信条に反します。だから、あなたがこれから先、僕と一生一緒にいてくれるために必要なものを聞いておこうと思ったんです」
「つまりお前は俺とずっと一緒にいるためには何か対価が必要だと思ったわけだ?」
「はい。
……
とはいってもあなたクレジットカードも受け取ってくれないし小切手もだめだし通帳ももらってくれないじゃないですか。困ってるんです」
「金のゴリ押しで解決するのをやめろ」
この男はとにかく一般常識からずれているところがある。ただまぁ、スバルとずっと一緒にいたいとストレートに伝えてくれたことに関してはちょっと、だいぶ、かなり嬉しかった。
無償のものなんてない、永遠の約束なんて難しいから自分にとって価値のあるものをなんとかして差し出してスバルを繋ぎ止めようとしているのだ。それはほんの少し悲しいことなのかもしれないけれどその全てを否定することは愛に臆病な似た者同士には難しい。
唇を引き結んで、ほんのちょっと空を見上げて考える。
「じゃあ等価交換だ」
「
……
はい」
「俺をあげるからお前の全部を俺にちょうだい」
「それは等価とは言いませんよ」
「その話をすると押し問答になるからまぁ聞け。そして俺をやる代わりに3つ俺から条件がある」
「はい」
「まず飯を3食きちんと食べること。朝ごはんは毎日俺と一緒に食卓を囲むの」
「はぁ」
「そんでもって毎日俺に好きっていうこと」
「
………………
善処します」
「善処じゃなくていうの!!! じゃないと俺もやらないしお前もクーリングオフしてやる」
「む」
やや納得していない表情をしているが飲んでもらわないと困る。
そして最後の条件を言うためにはほんの少しだけ勇気がいる。大きく息を吸い込んで一息に言ってしまおうと口を開いたものの、出てきた声は情けないくらい小さなものだった。
「毎日、俺と一緒に寝て」
広くて物の少ない部屋、一人で寝るには大きすぎるベッド。朝起きて温もりを探してもとっくに消えてしまっていて、シーツの皺と掛け直された毛布だけで彼の存在を確認する毎日。
「ちゃんと家に帰ってきておかえりって言わせて。俺のことを毎日抱きしめて寝て。一緒に起きておはようって言ってキスをして。朝ごはんを一緒に食べて出かける前にハグをしてから送り出させて」
「
……
それは」
「なに」
「それは、いいんですか」
「なんだよ、お前俺がほしいんだろ。じゃあ根こそぎよこせって言ってんの」
言ってやっぱり後悔が押し寄せる。なんだかむかついてそのアイロンのかかった綺麗なシャツに皺をつけてやろうとにじり寄れば腕を引かれて抱きとめられた。大きな犬が甘えてくるように首筋に頭をぐりぐりと押し付けられるのがひどくくすぐったくて身を捩れば心底困ったと言いたげな囁き声が鼓膜を揺らす。
「それは、その。僕にとても都合がよく聞こえるんですが」
あまりにもおかしくて可愛くて愛しくなってしまったからスバルはすぐそばにあった髪の毛にキスを落とす。
「じゃあ、win-winだな」
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