かん
2025-09-09 19:38:37
15855文字
Public
 

何故か突然、クラスのお嬢様のボディガードに任命された

小田倉麗奈さん



〇〇:お、お邪魔します





招かれたお家は、そこら辺では見たことないものだった。



いかにも頑丈な門に玄関までの長い道。

綺麗にされた絨毯にぴかぴかのシャンデリア。


促されたふかふかのソファは逆に、座りにくい。



「どうぞ


〇〇:あありがとうございます


小田倉:


彼女のお父さんに、すごくいい匂いのするお茶と焼き菓子を出していただいた。


こんな豪華なティーカップ、持つのが怖い。


なんか小田倉さんはこっち睨んでるし。


でも焼き菓子は美味しそう。



「すみませんいきなり連絡して」


〇〇:いえ、全然、大丈夫です




昨日突然、同級生の小田倉さんから連絡が。




"明日お時間ありますか?もしよろしければお伝えしたいことがございます"




固い文章に俺はビビった。


あまりに接点がない小田倉さんからのご招待。

というかただのクラスメイト、喋ったこともほぼない


しかも場所は彼女のご自宅。



昨日は寝られなかった。



〇〇:お家、すごいですね


「いやいや、全然です」


〇〇:


全然なわけない。

彼女のお父さんは謙遜している。


ホンモノだ



「麗奈の同級生なんだって?」


〇〇:あはい


「麗奈と、仲良くしてくれてるそうで」


〇〇:は、はぁ


彼女のお父さんはにっこり笑う。


小田倉:


〇〇:


小田倉さんの方を見るも、全く視線が合わない。




そんなわけはない。


いや、小田倉さんと親しいな、と思ったことは申し訳ないが一度もない。


まじでただのクラスメイト。



嘘、ついてる?



小田倉:


相変わらず、小田倉さんはこっちを睨んでる。


なんかあったかなにか、怒らせるようなこと


〇〇:


小田倉:



思い出せ思い出せどうにか




「●●くん」



〇〇:は、はいっ


「君にひとつ、頼みたいことがある」


〇〇:頼みたいこと


「あぁ」


〇〇:なんでしょう



「あまり大きな声で言えないんだか






「娘の麗奈に、懸賞金がかかった」





〇〇:……は?



「私の娘だからもかわからない、誘拐すればお金が手に入ると思ったんだろう」


〇〇:え、あ、ははい


「●●くん」






「麗奈のボディガード、やってくれないか」






〇〇:はぁ?


「娘を、守ってくれないか」


〇〇:え、え?


「頼むっこの通り


仰々しく頭を下げる彼女のお父さん。


〇〇:や、やめてくださいっ顔を上げてくださいこんな


大人に頭を下げられるとこんな、言い表せない気持ちになるのか


「じゃあ、やってくれるのか?」


〇〇:ちょっと待ってください、ちょっと待ってください!


「なにか、問題が」


〇〇:あのなんで俺なんですか


「ん?」


〇〇:いや、そんなことできませんよ



はっきり言って荷が重い。


自分はただの一般人。

そんなの別にプロのボディガード雇えばいいし。

それに小田倉さんと特に関係もない。


そもそも懸賞金とか意味がわからない。


自分とは生きてる世界が違う。



「あぁそのことなんだが、麗奈から聞いたよ」


〇〇:え?





「●●くん空手やってたらしいじゃないか」


〇〇:へ?


「それも黒帯で、とても強いんだって?」


〇〇:いやっえ?


「ボディガードにぴったりだ笑」








空手は、やったことない。





〇〇:あ、やってないです!空手とかそういうの一回もていうか喧嘩すらまともに


「謙遜しなくていい、正直強いんだろ笑」


〇〇:クソ雑魚です、めっちゃ弱いです、女の子にすら勝てません絶対!!


「いやいや笑、麗奈から聞いてるから」





〇〇:小田倉さんっ!


小田倉:


小田倉さんは慌てて目を逸らす。


またとんでもない嘘



〇〇:無理です、そんな重大なこと


「頼むよ、君しかいないんだ」


〇〇:いや、小田倉さんを守れるわけ


「そこをなんとか、頼むよ」


〇〇:プロの人雇えばいいじゃないですか!?なんで僕なのか理由が




「大丈夫、明日一日だけだから」


〇〇:一日?


「あぁ、そのボディガードが雇えるまであとちょっとなんだ」


〇〇:


「一日、それなら大丈夫だろ?」


〇〇:いや、でも




「それに、麗奈が、●●くんがいいって聞かないんだ」


〇〇:え?


小田倉:///


伏目がちにこっちを見ている。


〇〇:な、なんですか


小田倉:い、いえっ///



そう言ってまた目を逸らされた。


なんで



「頼む、●●くん」



「麗奈のこと、守ってくれないか?」



〇〇:


小田倉:お願いしますっ


〇〇:


小田倉:一日だけ、明日だけなのでっそれで終わりでいいので




今日初めて会った彼女の目に、嘘はない。





小田倉:


〇〇:


●●くん?」


〇〇:はっすみません


小田倉:やっぱり





〇〇:わかりました


小田倉:



〇〇:ボディガード、俺でよかったらやらせてください



「ありがとう笑、よかったな麗奈」


小田倉:///


〇〇:



小田倉さんは何故か顔を赤くして、お父さんはまた、にっこりしてる。




「●●くん、よろしく頼むよ」


〇〇:はい


お父さんとがっちり握手した。




〇〇:小田倉さん、よろしくお願いします


小田倉:はっひ、ひゃいっ


〇〇:


小田倉:よろしく、おお願いしますっ


〇〇:


「まぁリラックスして、ボディガードとか建前


小田倉:お父さんっ


「あぁすまんすまん笑」


〇〇:


「まぁ、追って連絡するよ」


〇〇:あはい


「今日は時間取ってくれてありがとう」


〇〇:いえいえ、こちらこそっお招きいただきありがとうございました


「玄関まで案内しよう」


〇〇:ありがとうございます




また、長い廊下を進んで行く。






そういえば



〇〇:ああのっ


「ん?どうかしたのか?」


〇〇:ちなみにその、お金って


「あ、給料、そりゃもちろん


〇〇:そんな、いりません!大丈夫です


「はははっ優しいな笑」


小田倉:///


〇〇:そのあれですあのー懸賞金?みたいな


「あぁあー


〇〇:小田倉さんに掛かった懸賞金って


それは


小田倉:


なんか、バツが悪そうな顔をする2人。




〇〇:おいくらくらい







10億」





〇〇:ん?


「頼むよ、しっかり」


〇〇:10万、です、よね?ははですよね?ね?





「10億」












〇〇:やっぱり無理です!!!





_____________________________________________





〇〇:


「〇〇、お箸止まってるよ」


〇〇:あごめん


「ご飯、美味しくなかった?」


心配そうに顔を覗かせる母。


〇〇:そんなわけないよ、今日もめっちゃ美味しい


うふふっ


〇〇:なに




〇〇、好きな子でもできた?」


〇〇:は?


「ふふふ隠さなくてもいいよ別に邪魔しないから」


〇〇:全然違う


「えぇ?ほんとに〜?」


〇〇:全然違う!


「へぇ〜」


〇〇:恋愛なんかよりもっとやばい


「なに?お母さんに教えて?」


〇〇:言っていいのかもわからない


「えぇ笑、やっぱり好きな子できたんでしょ〜」


〇〇:だから違うって全然、そういうんじゃないから


「そういうんじゃない笑?」


〇〇:その、結局小田倉さんは


「小田倉さん笑、その子なの?」


〇〇:とにかく、なんでもないからっ!


「ふふふ明日は?晩ご飯食べるの?」


〇〇:なくて大丈夫


「わかった」


母はそう言って台所へ向かった。




〇〇:



もし彼女になにかあったらどうする?


10億だ10億。


自分が一生働いても稼ぐことのできない大金。


それを自分が守るってあまりに



そもそもなんで、小田倉さんは自分に



頭がぐるぐる回って、回る。



とにかく、明日何も起きませんように。



そう願って、布団に入った。







_____________________________________________




〇〇:


翌日早朝。小田倉家玄関。


結局あの後一睡もできず。


寝不足で頭がぼーっとしてる。


何も考えたくない



気づいときにはお金が10億がちらつく。




〇〇:無理無理無理無理


やっぱり断ろう。


「●●様」


〇〇:うわっ!


気づいたら後ろに人が立ってた。


朝からピシッとした髪型に服装。


長身で薄いメガネ。


「おはようございます」


〇〇:お、おはようございます


「執事のものです」


〇〇:あ、執事さんどうも



本当にいるんだまんまの人



「朝早くから、気合が違いますね」


〇〇:あーいやこれ………あはははい


緊張で寝られませんでした、なんて言えない。


「お嬢様は、まだ眠られております」


〇〇:ですよね、まだここで


「●●様には、お嬢様を起こしてきてください」


〇〇:なんで?


「ボディガードですので」


〇〇:いやそれ執事さんの仕事じゃ


「お嬢様に何かあっても、いいんですか?」


〇〇:


執事さんは左手で1を、右手に0をつくった。


〇〇:くっ


「それに、起きたとき●●様がいらっしゃると、お嬢様も喜びます」


〇〇:嬉しくないでしょいきなり男が女性の部屋とかよくないです


「お嬢様に何かあっても、よろしいんですか?」


〇〇:ずるいっ!そのやり口、ずるい!


「ご案内します、こちらへ」


〇〇:あああああああ!!!


「お静かにお願いします」


〇〇:すみませんっ









「こちらです」


〇〇:おぉ


思わず圧倒された。


彼女の部屋のドア、あまりに豪華だったから。


そこら辺の玄関よりずっと大きくてすごい。



「もう間もなく、お嬢様が起きられる時間です」


〇〇:早いですね


「まぁいろいろ」


〇〇:そうですか、じゃあノックして


「おひとつ、注意を」




「お嬢様はなかなか起きられません」


〇〇:はぁ


「しっかり、気を確かに、お願いします」


〇〇:俺そんなやばい奴じゃないで


「もしお嬢様に何かあったら、わかってますね」


〇〇:うす


「では、よろしくお願いします」


執事さんは、下へ降りて行った。



〇〇:はぁ


コンコンコン


〇〇:お、おはようございます朝、ですよー








〇〇:おーい、小田倉さーん


〇〇:起きてー、朝ですー





〇〇:大丈夫ですか?


〇〇:小田倉さん?いますよね?小田倉さーん!


〇〇:大丈夫ですかー!?





〇〇:開けますよ?


〇〇:いいんですね、開けますよ


〇〇:言いましたからね、開けます!




ガチャッ





〇〇:うわ


中は美しい部屋だった。


異性の部屋に入ったことない自分でもわかる。


他とは違う。


机も椅子も、電気もカーテンも。



真ん中にある大きな望遠鏡。

なんか全部見えそう。




そして何より、大きなベッド。


心地のいい、柔らかい笑顔で眠る小田倉さん。



〇〇:よかった……小田倉さん、起きて


小田倉:


〇〇:小田倉さん、小田倉さん


小田倉:


〇〇:


近くで見たら、すごく綺麗な顔。


とんでもなく美人。



〇〇:お小田倉さん


小田倉:


全然起きない。


〇〇:死んだ?





〇〇:小田倉さんっ!小田倉さん!?


小田倉:ふふ


〇〇:あ、よかった


小田倉:〇……〇〇……


〇〇:へ?


小田倉:ふふ……


名前呼ばれた


〇〇:小田倉さん?


小田倉:



寝言


〇〇:おだ



ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ



〇〇:うわっ!!!



目覚まし時計が鳴り響く。



小田倉:……んんっーっ


〇〇:あ、小田倉さん


小田倉:〇〇くん


〇〇:おはよう


小田倉:なんで


ベッドから体を起こす。


〇〇:一応その、ボディガードとして


〇〇:あ、嫌ですよねごめんなさいすぐ





小田倉:嬉しいです///


〇〇:へ?


小田倉:〇〇さんっ


〇〇:は、はい




小田倉:今日一日よろしくお願いします


〇〇:よろしく、お願いします




ベッドの上で、握手を交わした。



小田倉:ふふ///




寝起きでふわふわしてる、無防備な小田倉さん。


心拍数が上がってる。



〇〇:執事さんが、朝ごはんできてるって


小田倉:〇〇くん、朝食べられました?


〇〇:まだです


小田倉:もし、よかったらなんだけど一緒にどうですか?


〇〇:多分俺の分ないでしょ大丈夫ですお気になさらず


小田倉:今日は〇〇くんが来てくれるから、豪華なんです!


〇〇:


小田倉さんが言う豪華ってどれくらいのレベル?


朝からとんでもなく食べることになるの?



小田倉:一緒に、食べませんか


〇〇:いやーそんな勿体ない


小田倉:とても美味しいので、〇〇さんにも食べて欲しくて


〇〇:あーうーん


小田倉:〇〇さんと一緒に食べたいです!


〇〇:


小田倉:一緒に食べたいです


〇〇:じゃあいただきます


小田倉:はいっ!じゃあ、行きましょう!


テンション高い


〇〇:



小田倉さんは自分が思うより明るいし嫌われてはなさそう











〇〇:


小田倉:では、行ってまいります


「いってらっしゃいませ」


〇〇:うっい、行ってきます


胃から戻りそうなのを必死に下へ下へ


朝からとんでもなく食わされた。


まじで豪華すぎる、食べきれない。


でも隣でにこにこ美味しいかどうか確認する小田倉さんが


これボディガード関係ないし



「●●様、よろしくお願いします」


朝からびしっとしてる執事さん。


〇〇:学校行かない選択肢はないんですか?


「ありません、いってらっしゃいませ」


〇〇:一日くらい休んでも大丈夫


「勉学をサボるわけにはいきませんので」


〇〇:命より大事なのか


小田倉:〇〇さん、いきましょう


〇〇:はいっておぉ!


玄関の目の前に、真っ黒のリムジン。


いっつも乗ってるやつ


〇〇:うわぁこれすご


「お嬢様、ではリムジンへ




小田倉:今日は歩いて行きます


〇〇:は?


小田倉:〇〇さんと、歩いて向かいます


〇〇:お、小田倉さん俺ちょっとリムジン


小田倉:〇〇さん、いきましょう


〇〇:いやいやっ安全上!車で行った方が


「かしこまりました」


〇〇:ちょっと!執事さん止めないと!


小田倉:〇〇さん!いきましょう笑


〇〇:リムジンリムジーン!!


リムジンは走り去ってしまった。



〇〇:


「いってらっしゃいませ」


小田倉:行ってきます


〇〇:


ご機嫌に歩く小田倉さんの後をついて行く。



〇〇:小田倉さん!あんまり離れたら


小田倉:大丈夫です笑、早くいきましょう


〇〇:いやいやじゅっ


小田倉:じゅ?


〇〇:十分、気をつけましょう


小田倉:ふふっ大丈夫ですよ





小田倉:〇〇さんが守ってくれます


〇〇:





小田倉:ゆっくりしてたら、置いていきますよ〜


〇〇:ちょっ小田倉さん











「お、〇〇おはよ」


〇〇:はぁはぁはぁおはよぉ


「なんでそんな走ってんの?」


〇〇:いやはぁあのっ


小田倉:はぁふふふふっ


「おぉ小田倉さんおはようございます」


小田倉:おはようございます


「え、2人一緒に来たの?」


〇〇:まぁ、うん


「珍しいね、なんで?」


〇〇:


小田倉さんのボディガードをすることは、周りには秘密にしなければならない。


本当はベラベラ喋りたいんだけど


〇〇:たまたま、道で会って


「えぇ?小田倉さんいっつも車じゃん」


〇〇:


「小田倉さん歩いて来たの?」


小田倉:あ、えっと、ははい


挙動不審が過ぎる。


「へぇ〜、2人って仲良かったんだ」


〇〇:あははまぁ


「ちょっと意外」


小田倉:なんでですか?


「しゃべってるイメージなかったから」


〇〇:なんでだろうね


「は?」


〇〇:なんで、俺なんかと


「だってさ、小田倉さん」


小田倉:///


「は?」


〇〇:


小田倉:///


惚気か」


〇〇:え?なに?


「いやいや、うん、小田倉さん頑張って」


小田倉:あ、ありがとうございます!





「●●さんちょっと」


〇〇:


突然担任に呼び出される。


〇〇:はい


「今日は小田倉さんの隣に座ってください」


〇〇:え?


「それだけです、よろしくお願いします」


〇〇:


小田倉:ふふ




権力











それからはもう散々だった。


いきなり小田倉さんの隣にいる、移動教室も体育も。



みんなに色々聞かれた。


色々って言ってもほぼ恋愛どうこう。


決まって否定するけどじゃあなんで隣にいるんだ、2人で行動してるんだと詰められる。


説明できないからどうしようもないし。


俺が否定しても小田倉さんはニコニコしてるだけだし。


なんで?


小田倉さん男子に人気だから色々厄介なんだよ


いつ彼女に何があるかわからないからずっと見てるし。


それでまた勘違いされる。


ちょっと勘違いじゃなくなってきてる!


気を引き締めろ、10億、10億だ。





小田倉:〇〇さん


〇〇:はいっ!?


小田倉:ふふお昼、一緒に食べましょう


〇〇:あーはい


小田倉:では行きましょうか


〇〇:えっ、別にここで


小田倉:中庭へ行きます


〇〇:なんで?


小田倉:ひ、人目につかないほうがっ///


〇〇:いやいやっ!できるだけ周りに人がいる方が安全かも


小田倉:〇〇さんが止めても私は行きます


〇〇:そんな


小田倉:別によろしいですよ?〇〇さんだけここにいても


〇〇:ぐっ


小田倉:ふふでは


今度は意地悪な笑顔だった


〇〇:


可愛い


違う違う違う違う!!!


10億、10億だ!そんなことよりこっち!




大丈夫、中庭にもある程度人がいる。


別に2人きりではないから







小田倉:誰もいませんね笑


〇〇:なんで嬉しそうなんですか!?2人きりはまずいですよっ


小田倉:まぁまぁ笑、座りましょう


お淑やかに腰掛けて美しいお弁当箱を机に広げる。


小田倉:〇〇さんもこちらへどうぞ


〇〇:


促されるまま、隣へ。


小田倉:ふふふでは、いただきます


〇〇:……うわっ



パカっと開いた弁当箱の中身は、まるで宝石箱のよう。


米粒ひとつから自分の苦手な野菜まで、どれも美しく輝いている。



〇〇:これ、いつもこんな感じですか?


小田倉:こんな感じ?


〇〇:こんなに豪華ですか?


小田倉:今日はむしろ、少なめですね


〇〇:


小田倉家、恐ろしい。




小田倉:


〇〇:


小田倉:


しかし何故か手をつけようとしない小田倉さん。



〇〇:食べないんですか?


小田倉:


〇〇:小田倉さん?



小田倉:た、食べられませんっ


〇〇:へ?


小田倉:これ……毒が入ってるかもしれません


〇〇:えぇっ!?


小田倉:だから食べられません!


〇〇:執事さんが作ってます絶対大丈夫ですよ


小田倉:も、もしかしたらその犯人かも


〇〇:そんなわけ





小田倉:せ、せめて誰かが先に食べてくれたら


〇〇:


チラチラとこちらを見ている。


小田倉:///


やられた


〇〇:俺お腹空いてない


小田倉:〇〇さんが食べないなら残念です、捨てるしかないですね


〇〇:小田倉さんっ


小田倉:ふふふ


わざとらしい


〇〇:あー!!食べます!食べますから小田倉さんもちゃんと食べてくださいよ!


小田倉:ありがとうございます笑


〇〇:


笑顔が可愛いから、そんなに嫌な気がしない



〇〇:いただきます


苦手な野菜を、パクッと食べる。


小田倉:どうですか?


〇〇:美味しい


〇〇:めちゃくちゃ美味しいですこれ


すごい、いつもより全然食べやすい


食べられる


小田倉:よかったです笑、ご満足いただけて


〇〇:これは食べて大丈夫ですよ絶対


小田倉:


〇〇:毒入ってませんよ


小田倉:〇〇さんがっ食べさせてください///


〇〇:はぁ?


小田倉:し、信用できませんっ


〇〇:話が違いますよ


小田倉:これじゃあ食べれません///


〇〇:そんなわけないでしょ


小田倉:お父様に


〇〇:あーはい!小田倉さんもっとこっちよってください!冷めちゃいます!!


小田倉:ふふふ///


〇〇:口開けて


小田倉:あ〜んむっ


〇〇:


小田倉:おぃひぃえへへ///


〇〇:


小田倉:〇〇さん次です次!どんどんいきましょう!


〇〇:



彼女を助けないとダメな立場だけど。



こっちが小田倉さんの笑顔に何度も救われてる。



そう気づいた時にはもう



小田倉:〇〇さんと食べたらいつもよりずっと美味しいです///







_____________________________________________







結局、学校では何も起こらず。


ほっとしてるし、まだざわざわもしてる。


ただただ距離が縮まった一日。


これで関係は元に戻るし、何も変わらない。




小田倉:〇〇さん、帰りましょう


〇〇:はい


小田倉:私、寄りたいところがあります


〇〇:


本当は、きっぱり言わないと。


ダメって、危ないって、家に帰ろうって。



小田倉:一緒に、来ていただけますか?




〇〇:もちろんです



せめてもう少し、あとちょっとだけ許して。










小田倉:うわぁ!!〇〇さんやばいですこれ!!


〇〇:でっか


お嬢様らしくないカラフルなお店。


彼女はおっきなパフェに目を輝かせている。



小田倉:〇〇さん!写真お願いします


〇〇:はいはいもちろんです


小田倉さんのテンションは上がってる。


こういう一面は、新鮮で魅力的。


〇〇:こんな感じどうですか?


小田倉:いい感じです笑


〇〇:よかったですじゃあ


小田倉:あのっ




小田倉:せっかくですし2人でも、撮りませんか


〇〇:


小田倉:あっ〇〇さんが嫌なら無理には


〇〇:撮りましょう、俺小田倉さんと撮りたいです


小田倉:///



曖昧な距離感、でも確かに近づいた距離。


ゆっくりシャッターを切る。



〇〇:撮れました


小田倉:


〇〇:小田倉さん


小田倉:これ宝物にしますっ///



〇〇:


小田倉:た、食べましょう!こんな量は2人じゃないとですよっ







〇〇:なんでですか?







〇〇:なんで、俺なんかをボディガードにしよって、思ったんですか?


小田倉:


〇〇:小田倉さんと仲良かったわけでもないし、別に喧嘩も強くない


小田倉:


〇〇:小田倉さんを守ることなんて、できないと思う



〇〇:なのになんで俺にしたの





小田倉:それは






「小田倉、麗奈さんですか?」


小田倉:えっ


突然、背後から声をかけられる。


〇〇:


「小田倉さんですよね?」


小田倉:そうですけど


「あぁ〜あなたかぁ笑」


咄嗟に感じる。


危ない。


〇〇:なんか用ですか?


小田倉:


彼女を後ろに隠す。


「あなたは?どなた?」


〇〇:誰でもいいでしょ、なんですか?


「小田倉さんとお話し、したくて笑」


〇〇:なんで彼女の名前を?


君、どっかいってて邪魔」


〇〇:できません


「できませんって笑、なに様?」


〇〇:


「君に用はないからさぁ、もう一回言うね?
邪魔だから、どっか行ってて」


〇〇:できません



「だからぁ!!」



小田倉:〇〇さんっ





〇〇:彼女のボディガードです




小田倉:




〇〇:小田倉さんが怖がってます、やめてください





小田倉:///




ボディガード笑、そっかそっか……おい」



〇〇:



後ろから、大男がでてきた。



「ボディガードさん?役割、期待してるよ笑」



小田倉:〇〇さんっ


〇〇:後ろのドアから逃げて


小田倉:〇〇さんを置いてなんて


〇〇:大丈夫、絶対大丈夫です



〇〇後で、合流しましょう


小田倉:はいっ



刹那、小田倉さんは走り出す。



「おーい、どこ行くのー?」



〇〇:お前っぶふっ



腹に一発、全体重を乗せられた。



〇〇:ゴホッゲホッおいっ


「ボディガードさん頑張れー笑」



〇〇:やめそっちは




ガツン




〇〇:うっ


左頬に拳が乗る。


じんじんして頭が揺れてる。



小田倉:あ開かない


ドアに鍵がかかってる、行き止まりだった。



〇〇:小田倉さ



バキッ




〇〇:


骨に響く、視界がぼやけて来た。



「ボディガードってなに?殴られ屋さん笑?」



小田倉:〇〇さんっ!?大丈夫



〇〇:小田倉さん逃げてゴホッゲホッ!ゴホッ!


背中を蹴られ続けられる。動けない。



「あらあらそんな無理しないで、それ以上やったら危ないから笑」



〇〇:小田……くらさん



小田倉:〇〇さんっ!逃げてください私なんか



〇〇:できませんっ守るって約束……したじゃないですか



小田倉:〇〇さん



「約束したのに、果たせない笑、小田倉さん行きましょうか」



小田倉:離して下さいっ!やめて



"お前はここで寝




バキッ




"ぐわっ"



「ん?」




〇〇:小田倉さん逃げて


一発入れた」


小田倉:〇〇さんっ!そんな体で


〇〇:小田倉さん、俺が守らないと


小田倉:


「日雇いのボディガードでしょ?なんでそんなに頑張るの?」





〇〇:大切だから自分にとって小田倉さんは





〇〇:誰よりもいちばん大切な人だから






〇〇:だから、その人には手を出さないで



小田倉:〇〇さん



………








〇〇:うおおおおおおお!!!






ペシッ




〇〇:ぐっ




小田倉:〇〇さんっ!!





バタン



小田倉:〇〇さんっ!しっかりして!〇〇さんっ!?



〇〇:…………くら…………さん……………













「合格です」







_____________________________________________







〇〇:……んっ……


だんだんとピントが合ってきた。



すごく落ち着く空気。


どこからともなくいい匂いがする。


誰かに握られた左手。


温かくて柔らかい。



誰かがこっちを覗いてる



小田倉:〇〇さん


〇〇:……小田倉さん


小田倉:〇〇さんっ!〇〇さんわかりますか!?


〇〇:ここは


小田倉:私の実家です〇〇さんが気絶してしまってそれで


〇〇:なんで無事


小田倉:よかった!!


〇〇:がはっ


寝ている自分に思いっきり抱きついてくる。


小田倉:〇〇さん///……///


〇〇:お、小田倉さんっいだぃっ嬉しいけど痛いかも


小田倉:あっご、ごめんなさいっ


〇〇:いや


小田倉:///


〇〇:


子犬の様にシュンとする姿、胸がムズムズする。



「おぉ、意識戻ったか」


〇〇:あっ


彼女の父が部屋に入ってきた。



「どうだ?体の調子は」


〇〇:そのまぁなんとか


「そうか、ともかく無事でよかった」


〇〇:あの小田倉さんを危ない目に遭わせて、本当にもうし






パンッ




「おめでとう!合格だ!」


〇〇:へ?



パンッ パンッ



パチパチパチパチ



クラッカーがあちこちで鳴って散らばってぐちゃぐちゃに。



「●●くん君は、麗奈に相応しい男だ!」


〇〇:え、ちょっと意味が


「おい、入ってこい」


〇〇:え?


部屋に入ってきたのは、さっきまで小田倉さんを攫ってたはずの男。


〇〇:いやっ危ない逃げてっ


「ははおい」



首元からぺりぺりと顔の皮が剥がれる。


マスク


〇〇:うぇっ?



その素顔は




〇〇:執事さん!?


「お疲れ様でございます、●●様」


執事さんだった。


〇〇:えぇ


「先ほどは失礼致しました」


相変わらずピシッとした髪、メガネもばっちり。



〇〇:全然、意味が執事さんが黒幕?いや味方?じゃあ敵は?え?


疑問がこんがらがって解けない。



「それもこれも、全部2人のためだ」



〇〇:え?


「まず、執事は黒幕ではない、ずっと味方」


〇〇:はぁ


「ていうか、そもそも





麗奈に懸賞金はかかってない」





〇〇:は?



「だから全然、どうもない」


〇〇:は?


「ボディガードする必要はないし、敵などいない」


〇〇:


「すまんなぁ、騙して」


〇〇:このこと、小田倉さんは


「もちろん、知ってる」


「●●様、大変申し訳ございませんでした」





小田倉:〇〇さんっ本当に、ごめ





〇〇:よかったぁ


小田倉:え?


〇〇:小田倉さんに何もなくてよかった


小田倉:そんな私のことより


〇〇:小田倉さんに何かあったらって考えたら怖くて俺、そっちの方が大事だし



〇〇:とにかく、よかったです


小田倉:///


顔を真っ赤にして、こっちを見つめる。




「●●〇〇くん」



〇〇:はい


「麗奈のこと、これからも頼む」


〇〇:これから?いや、懸賞金ないならボディガードいらないでしょしかも一日だけだし


「一日どころか、一生」


〇〇:


「麗奈が、君のことが好きだと聞いて、父親として不安になったから、試した」


「本当に、麗奈に相応しいのか」


「ただその心配も余計だった笑、君は本当に優しい、いい男だとわかったよ」




「だからこれからも麗奈のこと、よろしく頼むっ


あの時みたいに、頭を下げられた。



小田倉:〇〇さん


〇〇:はい


小田倉:〇〇さんは覚えてないと思いますが







夏祭り。


幼い私はひとりはぐれてしまった。



麗奈:うぅおとうさまぁしつじさぁん



麗奈:うっだれかぁ……


〇〇:あのー


麗奈:うぅ


〇〇:だいじょうぶ


麗奈:だれ


〇〇:まいご?ひとり?


麗奈:うっうんっグズッ……


〇〇:おとうさん、どこにいるの?


麗奈:わかんない


〇〇:じゃああ、ほんぶにいこ


麗奈:ほんぶ


〇〇:うん、ついてきて



彼は小さな手で確かに、ぎゅっと握ってくれた。



麗奈:うぅグズッ


〇〇:なまえは?


麗奈:お、おだくらっれいな


〇〇:れいな


麗奈:あなたは


〇〇:おれは、●●〇〇


麗奈:〇〇さま


〇〇:え、さま!?


麗奈:あ、ごめんなさいっ


〇〇:れいな、ひとのことさまってよぶの?


麗奈:お、おとうさまにそうおそわってやっぱりへんですよね


この時の私に、友達はいなかった。


〇〇:へんっていうか、きょり、かんじる


麗奈:


〇〇:よびすてででよぼ!


麗奈:よ、よびすてなんてできませんっ!そんなのおこられます


〇〇:え〜じゃあ……あ、さん


〇〇:〇〇さん、それなら、いいよ


麗奈:〇〇さんっ


〇〇:そう、おれもれいなさんってよぶし


麗奈:


〇〇:よろしくね、れいなさん


麗奈:よろしくっおねがしますっ


麗奈:〇〇さんっ///



「お嬢様!あ、お嬢様!」


麗奈:あ執事さんっ


「よかった、探しましたよ


麗奈:ごべんなざぃグズッうぅ


〇〇:その、しつじさん?あなたダメですよちゃんと守らないと


「すみません


〇〇:おれじゃなくて、れいなさんに


「お嬢様すみません心配させてしまって」


麗奈:〇〇さんがいっしょにいてくれてさがしてくれました


〇〇:いやいやおれなんにもしてないよ


麗奈:いのちのっおんじんです


〇〇:おおげさ


麗奈:こ、こんどまた、おれいをさせてください


〇〇:いいよべつに、おれいそがしいから


麗奈:そ、そんなこといわずに


〇〇:れいなさん、かわいいから、きをつけないとかんちがい、されるよ


麗奈:///


〇〇:じぶんのいえにおとこのこあげるの、すきなひとにだけっ!


麗奈:すきなひと


〇〇:それいがいのひとはダメ!わかった?


麗奈:わ、わかりました!


〇〇:じゃあ、はい、やくそく


麗奈:やくそく///








〇〇:


麗奈:あれ以来、〇〇さんと会えなかったけど今年、一緒になれて


麗奈:私本当に嬉しかったです



麗奈:あの時からずっと、〇〇さんに好意があります





麗奈:私と、お付き合いしていただけませんか




麗奈:お願いしますっ




刹那、あの時泣いてた女の子。


話したこと、聞いたこと、約束したこと。



頭にほろほろと蘇る。




"やくそく"



〇〇:れいな、さん


麗奈:へ?


〇〇:こちらこそ、よろしくお願いします


麗奈:///


〇〇:うげっ



目を真っ赤にした彼女が飛びついてきた。


また、ベッドに乗り込み体が悲鳴をあげる。



〇〇:れ、れいなさんっ俺まだ、全然治って


麗奈:ふふふ///〇〇さん


〇〇:なんですか





麗奈:大好きです///





〇〇:はい




一生、大切にしよう。


彼女を見て、そう思った。








FIN






〇〇:あのそういえばなんですけど


「ん?なにか?」


〇〇:あの大男なんですか


ん?」


〇〇:俺、ボッコボコにされたんですけどあの人も味方


「いや、彼はガチだ」


〇〇:ガチ?


「あぁ、犯罪者」


〇〇:なんでそんな奴と戦ってるんですか!?嘘なら手加減するとかあるでしょ!?


「手加減?●●くんにはいらないだろ笑」


〇〇:


「だって、空手黒帯だって、麗奈が」


〇〇:


「だから余裕で倒すものだと





麗奈:


〇〇:麗奈さんっ!!!


麗奈:ふふふ




やっぱり、変わってる



FIN