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2025-09-08 00:51:25
2070文字
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軌跡
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素直な気持ち
アーロン生誕祭用のアーロンのお話です。アーロン誕生日おめでとう!
祝ってやるなら、盛大に祝ってやりたい。
なのだが、本人にそれを伝えると
調子に乗るのでヴァンはアーロンに
バレないようにコッソリ祝うことにした。
そんなヴァンを見てカトルは呆れた顔をした。
「素直におめでとうって言えばいいのに。」
「
…
あのガキに直接言ったら『そんなに祝いた
かったのか、オッサン。仕方ねぇな、特別に
祝わせてやる!』とか言ってくるに違いあるまい。
なんか悔しいだろ。」
アーロンの声真似までして悔しそうな顔をして
いるヴァンにカトルは苦笑いするしかなかった。
「だから4spgをこなしながら、さり気なく
アーロンさんの欲しい物を探すなんて周りくどい
やり方なんだね
…
。ヴァンさん、本当に大丈夫?」
ヴァンのアーロンに対する素直じゃない部分を
よく知っているカトルは不安そうに見ていた。
「大丈夫だっつーの。俺を信じろ。」
「本当に大丈夫かなぁ
…
。」
それから数日後、ヴァンはカトルに言ったことを
後悔する羽目になった。4spgをこなしながら、
アーロンの欲しい物を探すのは予想より困難
だった。何故ならー。
「アーロン!誕生日おめでとう!」
「サンキューな。」
アーロンは歩く度に声を掛けられ、
プレゼントを貰っていた。その度に
候補として考えていたプレゼントが
潰され、ヴァンは頭を悩ませていた。
同じものをプレゼントしても別に問題はない。
大事なのは気持ちだ。だが、ヴァンは
それは嫌だと思い、結果的に自分の首を
絞めていた。
「で?オッサンは何をくれんだ?」
「は?」
「見ているこっちが恥ずかしくなるぐらい醜態を
晒してんでな。オレ様が救いの手を差し伸ばした
ってわけだ。感謝しろよ?オッサン。」
アーロンにバレないように行動していたが、
アーロンには気付かれていた事実にヴァンは
ショックを受けていた。
「
…
いつからだ。」
「ん?」
「
…
いつから気付いていた。」
「最初から。」
「なん
…
だと
…
。」
「オッサンの様子がおかしかったからよ。
それとなくカトルに聞いてみた。最初は
黙っていたんだけどよ、『アーロンさんで
ヴァンさんのこと、フォローしてあげて』って
お願いされてな。」
ヴァンは驚きのあまり、唖然としていた。
「最初は何のことだ?って思っていた
んだけどな。オッサンが何かある度に
頭を悩ませているみてーじゃねーか。
で、今日はオレ様の誕生日なことを考えると
プレゼントで悩んでいるってわかってな。
最初は見ているだけのつもりだったが、
あんまりにも醜態をー。」
「
…
もういい。わかった。」
ヴァンはカトルに気を使って貰ったことも
ショックだったが、誕生日を祝う相手を
気にかけるどころか気にしてもらっていたと
いう事実に打ちのめされていた。
歳上の尊厳とは
…
。頼りになさすぎて
泣けてきた。
「あー
…
でも、なんだ
…
。」
アーロンにしては珍しく歯切れが悪かった。
「
…
励ましなら、いらないぜ?」
「そんなんじゃねーよ。
…
素直に嬉しかったぜ。」
そうアーロンは照れ臭さそうに言った。
「
…
昔は毎年のように祝ってくれる友人がいた。
けど、今は一人だけになっちまった。」
アーロンが言っているのはセイたちのことを
言っているのだろう。
「心のどこかでは怖れていた。あんな思いを
するぐらいなら仲間なんていらねぇって。
けど、何の因果か俺の周りには仲間たちが
いて、あんなに要らねぇって思っていたのに
…
悪くねぇって思っている自分がいる。」
アーロンはそう言って笑った。
「だから素直に嬉しかったぜ。祝って
もらうのは。
…
ま、醜態を晒していたが。」
「ぐっ!言うな
…
。ただそうだな
…
。」
アーロンの頭を優しく撫でてヴァンは言った。
「成長してんじゃねーか。」
「うっぜ!!」
そう言ってヴァンを振り払うアーロン
だったが、顔は穏やかだった。
「
…
おめでとな、アーロン。」
「なんだ?変なものでも食ったか?
素直過ぎて気持ちわりーぞ。」
ヴァンなりに素直に言ったのに
この扱い。やはり素直に言わないべき
だったかとヴァンは少しだけ後悔した。
「たっく。人が素直になった途端にこれか。
…
今日ぐらい素直になってもいいって
思ってな。」
思えばヴァンは誕生日を誰かに祝って
貰ったのは嬉しかった。アークライド院長に
ルネにエレイン。親という存在がおらず、
少し捻くれていた幼少期のヴァンは
素直に受け取れなかった部分があった。
けど、思い返してみれば嬉しかったのだ。
大層なケーキでもないし、プレゼントは
豪華なものではない。けど、本人たちに
祝って貰えたことが。だから、ヴァンは
素直にアーロンを祝おうと思った。
「
…
ま、そういうことなら素直に受け取って
おいてやるぜ、オッサン。」
アーロンと共にビストロ《モンマルト》で
盛大に祝って貰ったアーロンだったが、
ヴァンから誕生日プレゼントを貰ってない
ことはしっかり覚えており、後のヴァンは
アーロンの無茶振りに付き合わされる羽目に
なったのであった。
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