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三毛田
2025-09-07 22:06:19
1087文字
Public
1000字5
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8 008. 君がくれた一粒の飴
8日目
例えのど飴だとしても
時折歯にぶつかり、軽い音を立てる。
「どうだ。少しは喉は楽になったか」
「スースーする」
「喉の炎症に効く成分が入ってあるからな」
「いつも持ち歩いてるのか?」
「簡易応急キットと、のど飴、鎮痛剤は一応」
「ふうん」
丹恒らしいな。
その言葉は、飴のせいで上手く紡げなかった。
「ん。だいぶ楽になった」
「そうか。それはよかった」
俺が口を開けて見せると、彼は嬉しそうに笑みを浮かべ。
「確かに、少々赤みが残っているレベルになっている」
「本当? それなら、丹恒とデートを楽しめるな!」
「それで、のど飴を持っていないかと聞いたのか?」
「うん。だって、そっちに気を取られて楽しめないのはもったいないだろ?」
俺の言葉に、彼は不思議そうな表情で。
どうやら、あまり理解できないようだ。
「お前がそう思っているのならばそれでいい」
「うん!」
そっと手を掬い上げると、優しく握り返してくれる。
「た、丹恒先生!?」
「文句があるのならば、離すが」
「う、ううん! このままでいい。このままで、お願いします」
「ああ」
手を繋いだまま、二人で歩く。
デート、デートを許された。それが嬉しい。
嬉しくて、丹恒と手を繋いでいるのに、スキップしてしまいそう。
「何処に行きたいか決めてあるのか」
「ううん。行き当たりばったりで!」
「お前らしいな」
「えへへ」
褒められて嬉しくなって。頭をかいてから、歩き出す。
「丹恒、こことかどうだ?」
「ふむ。悪くないな。入ってみよう」
まずは、目についたお土産店。
列車のみんなへのお土産を選ぶ。
一人で選ぶよりも、二人で選ぶと楽しい。
なのと選んだ時よりも。なんて、本人には言えないけど。
「じゃあ、これとこれで」
「俺はこれとこれだな」
二人で選んで、それぞれをお土産袋へ入れてもらう。
「食べ歩き、する?」
「いや。まだ腹は減っていないな」
「実は俺も、です」
「なら、なんで」
「もし、お腹空いていたらどうかなって」
そう告げれば、彼は考えるように顎に手を当て。
「もう少し歩いて周囲を見て回ろう。そうすれば、動いたことで腹が減るだろう」
「うん!」
嫌がらずに俺の提案に頷いてくれる。
きっと当たり前のようで当り前じゃない。
「えへへへへ」
「嬉しそうだな」
「当たり前だろ! 丹恒とデートが出来て、嬉しいからだよ」
「なるほど。俺も
……
お前と、こうしてデートが出来て嬉しい」
ボソボソと告げられたら。
「うぐぅ」
彼が好きすぎる俺は、ダメージを受けるに決まっている。
ズルい人だ。
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