朝から電話をかけるという時点で、既に自分らしい行動ではないな、とは思った。思いはしたが、相談するなら早い方がいい。何より、陵が早朝から動いている人間だということは知っている。
電話をすると、陵はすぐに出た。少し声が怪訝そうなのは、この時間はいつも律が寝ている時間であることを知っているからだろう。
「おはよーなかみー。ごめんね、朝から」
『構いませんが……どうかされましたか?』
「いやちょっと、うん、ごめん。俺今ちょっと死にかけててさ、解決の依頼したいんだけど」
『はい!?』
「ここ数日ぶっ通しで魔術使ってたせいで、ちょっと体動かなくなっちゃって」
実際、今もベッドからは動けそうにないので嘘ではない。起き上がれる程度には回復したが、ずっと体を起こしているのはつらい状態だ。巧都に対価を持っていかれるときとは違う、嫌な疲労感。
『……何やってるんですか……、桜ちゃんは大丈夫ですか?』
「後で怒られると思う……」
『でしょうね。原因はお仕事ですか?』
「いや、仕事としてはここ数日打ち合わせがほとんどなんだよね」
2回ほど討伐依頼はこなしているが、そちらはほとんど恭一人で片付けたようなものなのでノーカウントだ。
その前に、とふと思い出して先日陵から話を聞いた、感情オークションとやらの噂のその後の情報については共有しておく。律に現在掛けられている術が『幸福』と紐づいているということから考えても、何かしら関連している可能性は否定できない。念の為ではあるが、情報は共有しておいた方がいい事案だ。
「で、本題なんですけど」
『はい』
「俺ちょっと急に調子が悪くなって、桜や咲といると頭とか胸が痛むようになって」
『完全に呪われてるじゃないですか』
「そうそう。何か変だと思って自分のこと調べたら違和感あったから、防御系の魔術を四六時中展開してて、それで昨日過労でぶっ倒れまして……」
『それは……まあ……当然倒れるでしょうね……?』
「でも、心当たりがなくてさ。ちょっと手がかり掴んだら、相談しに行く予定でいたんだけど」
手がかりをつかんだ直後に倒れてしまったので、こうして相談が事後報告になってしまったことは反省点だ。もし『院』に関係するようなことなら下手に巻き込みたくない、とどこかで思っていたことも否定はできない。
昨日の憂凛の指摘から、恐らく術の大元となっているのは、打ち合わせで行った貸会議室に置かれていた香炉。打ち合わせ相手は恐らく何の関連もなく、そして人物が人物だけにそこに問い合わせるのは控えてほしいこと。なので香炉から辿るしかないと話せば、陵の困惑した呻き声が聞こえた。
「この件、憂凛ちゃんが手伝ってくれることになってるから。俺からしたにおい、憂凛ちゃんが辿れると思う」
『……成程。しかしそれ、柳川くん的には大丈夫なんですか?』
「うちの『カミサマ』がちょっと手助けしてくれるってさ。それで恭くんも渋々頷いたみたい。ただ、憂凛ちゃんを守る代わりにヒトの力だけで何とかしろっていう制約はかけられた」
『……『カミ』に助力を求めてはならない、ということですね』
「そう。面倒な依頼になっちゃって申し訳ないんだけど、あとで神社に憂凛ちゃんに行ってもらうから、お願いできる? 誰に手伝ってもらうかは任せるけど、俺が倒れてるのは広めないようにはしてほしい」
『私が受ける前提で考えてますね? 全くもう……、分かりましたよ……』
「あはは、ありがと。報酬ちゃんと払うし。何でもいいよ」
『なら茅嶋さんの休暇で』
「うーんそれはちょっと無理かなー」
『今何でもって言ったじゃないですか』
以前ほど過密スケジュールではないし、適度に休みは取れている。とはいえ、陵から見れば足りていない、という判定になってしまうのだろう。不服そうな陵からせめて睡眠時間をもう少し取れと怒られて苦笑いしつつ、電話を切る。
これで話すべきことは話しているはずだ。くらりと眩暈に襲われて、律はベッドに倒れ込む。調査前に憂凛が話を聞きに来てくれるということなので、それまで少し体を休めておいた方がよさそうだ。
「わっるい男だなー、やっしー」
「何が」
ふらりと現れた巧都に視線を向ける。いしし、と意地悪く笑う巧都が言いたいことは、律にも分かってはいるつもりだ。
陵に対して、一つも嘘は言わなかった。――意図的に話さなかったことはあるが。
「……魂に傷がつくとかその辺の話のことなら、言ったら無駄に心配させるだけでしょ」
「ふーん?」
「無事に解決すればそれで良し。解決しなきゃ俺が巧都に殺されて終わりなだけだし」
「まあそうだな」
「そんな責任重大な依頼だなんてこと、知らなくていいと思うよ。……あと、なかみーならまあ大丈夫って思うくらいには信頼してるし」
信じて待つしかないというのも歯がゆい話ではあるが、今の律の体調ではどうすることもできないのも事実だ。他者に己の命を預けることになるのであれば、助けを求めることができる相手は限られてしまう。
憂凛と陵――そして陵を頼れば、恐らく英二にも話はいくだろう。後で死ぬほど怒られるなあ、といつもの光景を脳裏に描き、律は小さく笑って目を閉じた。
---
実家に子供たちを預けて、茅嶋家へ。ベッドから立ち上がるのはつらいのだと笑う律からできる限りの情報を聞き取る。打ち合わせに行った先の貸会議室、そこにあった香炉が犯人だとしか考えられない。そして原因と目される香炉については、その香炉があった貸会議室は今日ちょうど空いていたとのことで、芹が予約を取ってくれたとのことだった。
「そうそう憂凛ちゃん。念の為渡しておくね」
「ん? 何を?」
「巧都が今回噛んでるって聞いたから。これ、媒介的なやつ」
律から渡されたのは、様々な色に輝く石がついた指輪。律の指にはめられていたそれは、憂凛の指には大きいサイズだ。失くすわけにはいかないので、持っていたポーチの中に仕舞い込むことにする。
「……よし。じゃあ、お預かりしますね」
「うん、よろしくお願いします。ごめんね、巻き込んだみたいになっちゃって」
「元気になったらさくらんと一緒に茅嶋さんのお説教しますっ」
「こわ……。あ、何か困ったことがあったらいつでも連絡して、連絡取れるようにはしておくから。対応できそうなことは対応する」
「そんな顔色でー? さくらんが心配しますよ、無理せずに寝ててください」
顔色が優れないのは見て取れる。魔術の使い過ぎによる過労が原因で、今回律にかけられている術にはそれほど関係がないはずだとのことだったが、さすがに心配だ。何より、律がそれだけ魔術を使い続けなければいけなかったことと、桜が言っていたことが気にかかる。
――考えているよりも危ない状況なのではないか。
その桜の推測が、何を指すかは分からない。だが、それが当たっているとすれば、今の律にはなるべく無理をさせない方がいいだろ。憂凛に魔術的なことは全く分からないので、どうしても頼らざるを得ないことはあるかもしれないが、基本的には頼らずに済ませたい。
陵に事情を話して依頼をしているという話を聞き、その足で水之登神社へと向かうことにする。参拝を済ませてから社務所に入ると、中で英二が我が家の如く寛いでいた。思わず写真を撮ってしまったのは、彼の伴侶が喜びそうだなと思ってしまったからだ。こら、と即座に飛んできた抗議は無視して、憂凛は英二の隣に座っていた陵に頭を下げる。
「お久しぶりですっ、中御門さん。あとジッポ先生」
「人をついでみたいに」
「お久しぶりです。今日はよろしくお願いしますね」
「こちらこそっ。……ジッポ先生、ヒメちゃんに怒られなかった?」
「どうだろう。電話してるときは隣にいたがな」
陵から茶菓子をふるまわれつつ、お互いに持っている情報を共有することにする。とはいえ、どちらも情報源は律だ。持っている情報はさほど変わらないので、改めて確認しているような形にはなる。
件の香炉があった貸会議室は押さえてもらっているので、ひとまずそこから調べたいという憂凛の申し出に、陵も英二も異論はないようだった。
「じゃあ、今日はよろしくお願いしますっ」
「においが分かるのは柳川さんだけですしね。本当は茅嶋さんに直接会うことができれば、それが一番良かったかもしれませんが」
「立ち上がれる程にはまだ回復してないっておっしゃってましたし、どう見ても調子は悪そうでした」
「茅嶋くん、そんなにひどいのか」
目を瞬かせる二人に、憂凛は小さく頷く。大きな溜め息を吐いた陵は、どこか呆れた表情をしている。そんなことになるまで、と言いたいのだろうなというのが見て取れて、憂凛は苦笑した。律らしいと言えば、律らしいのだが。
「早く解決せんとな」
「私が車を出しますね。柳川さん、会議室の住所を教えていただけますか」
「はいっ」
---
神主姿から私服に着替えた陵の運転で、3人が貸会議室のあるビルへと辿り着き――その入り口で仁王立ちしていた見知った女性に、憂凛は思わず飛びついた。
「ヒメちゃんだー! 何でここにいるのっ!?」
「あら、憂凛?」
そこにいたのは玉藻 姫――狐の『化生』であり、この辺り一帯の狐を束ねている存在だ。憂凛にとっては親戚の姉のような存在である。そして彼女は現在、英二の伴侶でもあった。
何でここにいるんだ、と頭を抱えた英二を見た姫は、そのままキッと隣にいた陵を睨む。意味が分からずに瞬く陵を、びし、と指差して。
「そこの旦那様の悪い御友人が! また旦那様を危険なことに巻き込もうとされているようでしたので! 部下に仕事を押しつ……任せて駆け付けた次第です!」
「わるいごゆうじん」
「押し付けてやるなよ……」
「ヒメちゃん、誤解だよ、憂凛が助けてもらうの」
「憂凛が? ……何かあったの?」
慌てたせいで思わずいつも『狐』の身内側で見せている、昔ながらの甘えた口調で話してしまい反省しつつ。怪訝そうな表情で憂凛を見下ろした姫に、かいつまんで状況を説明する。とはいえ、こんな場所では誰が聞いているか分からないので、流石に律のことまでは話せない。
それでも何となくは察してくれたのだろう、姫は神妙な面持ちになった。
「……せっかく来てくれたし、ヒメちゃん、私のこと手伝ってくれたりしない?」
「それは……、けれどあまり旦那様を危険な目に遭わせたくはないのだけれど……」
「人手は多い方が嬉しいし助かるんだけどなあ……あ、そうだ」
ふと思い出して、憂凛はスマートフォンを取り出した。姫の前に差し出したのは、先程神社で撮影した英二の写真である。
――そして思った通り、姫の目の色が変わった。
「ファイル共有」
「手伝ってくれるの?」
「当たり前じゃない!」
「さっすがヒメちゃん!」
「おいこら待てそこの狐たち、俺の写真で取引を成立させるな」
「まあいいじゃないですか……ここで丁野さん連れて帰られても困りますし……」
「ぐう」
ツッコミを入れる陵の声が、既に疲れている。何だか申し訳ないなと思いつつ、メンバーに姫を加えて一行はビルの中に入ることにした。
受付に話を通し、指定された部屋へと入る。それほど広さのない、応接室に近い会議室だ。デスクと椅子は綺麗に並べられており、整然とした印象を受ける。
「……香炉はないな」
「そうですね……」
「でも、絶対にここに何かあった、と思う」
律から感じた、嫌な雰囲気の甘くて苦いにおい。それは確かにこの部屋に残っている。それほど広い部屋ではないのだから、香炉があればすぐに分かるはずだ。だがしかし、それらしいものは見当たらない。
「あったとしたら、ここでしょうか」
陵が指摘したのは、棚のように置かれている一角。何か乗せられそうだが、そこには何もない。しかし、何かを動かしたような形跡はある。香炉が置かれていたとしたら、会議用の長机か、その棚の上しか考えられない。
律がここに訪れたときには存在していたはずのものが今はない。つまりは香炉を持ち込み、そして持ち帰った人間がいるということだ。
「下の受付で入館履歴とか見せてもらえないかなあ」
「個人情報じゃないのかそういうの。茅嶋くんならさくっと確認しそうだが」
「ああ、そうか。持ってきてますよ」
英二の言葉に、陵がごそごそと取り出したのは――警察手帳。以前、律に「調査するときにあると便利だから」という理由で持たされた、とのことだった。何らかの報酬のような形で調達したのかもしれない。
「何でもアリだなあの男」
「まあ茅嶋さん、警察はお得意さんみたいですし……」
「恭ちゃんも持ってる、警察手帳」
「大丈夫なのかアイツに持たせて」
「……この間出すタイミング間違えてましたね……」
遠い目になった陵には、何か苦い思い出があるらしい。何故か詳しく聞かない方がいい気がして、憂凛はそっと目を逸らした。
ひとまず、目的の香炉がない今の状況では、この部屋にいつまでも滞在していても仕方がない。会議室を出てもにおいは残っていたものの、ビルの外で話しているときにはにおいはしていなかった。紛れて消えてしまっているとなれば、嗅ぎ分けて追うことは難しい。
「ねえヒメちゃん、あのにおい覚えある?」
「全く。あまり良いにおいではなかったわね……けれどかなり特徴的ではあるから、間違えることはないと思うわ」
「うん、私もそう思う」
嫌な、甘くて苦いにおい。そうとしか形容できないが、同じにおいは恐らく二つとないだろうと思えるもの。
辿るきっかけさえ掴むことができれば、問題はない。
悩みつつ階下に降りると、さっそく陵が受付に話を通していた。職員が出してきた予約履歴のファイルには、ここ1か月分の予約の状況と予約者の情報、そして入退室の記録が残されている。
「柳川嫁、茅嶋くんが来た日時は聞いてるか?」
「もちろんですっ」
その辺りはしっかりと確認済みだ。該当する日付のページを開けば、確かに『茅嶋』の記載が遺されている。偽名や他者の名を借りずに予約しているのは、律の方針だろうか。
なら、と英二が前後のページを確認する。――該当するのは、一人だけ。同じ名前の人物が、律の前後の日付で予約を取っていた。
「……この佐藤某が怪しいな」
「明らかに偽名でしょうね……佐藤なんて名字、ありふれてますし……」
「一応住所は同じみたいだな」
「その住所、でたらめですわね。検索しても一致する住所がありません」
「じゃあもうコイツで決まりじゃないか?」
「監視カメラを確認させてもらいましょう。この人物の姿は確認できるはずです」
日時が分かっていれば、映像も確認しやすい。再度陵が職員に声を掛け、バックヤードで該当する日時の映像を用意してもらう。
何人かがビル内に出入りしている中、一人だけ明らかにおかしい人物が映っていた。体格から男であることは想像がつくが、顔の部分だけが妙に不鮮明で、認識ができない。何らかの術を使い、特定できないように細工をしているのだろう。そこまでしているのなら、この人物が犯人で間違いないと考えていい。
だが、問題は。
「……とはいえ名前は推定ですが偽名、そして住所はデタラメ。姿も分からない……となると、調べようがないですね……」
「何とかならんのか」
「うーん……簡単に尻尾掴めるとは思ってなかったけど……」
職員に礼を言って、バックヤードから出る。さすがにこれ以上、このビルで得られる情報はない。情報は得られたが、手詰まりだ。
「……茅嶋くんに一度連絡してみるか? アイツ実はまだ情報隠し持ってるんじゃないだろうな」
「さすがに自分に関わることですし、何も隠してないと思いたいですが」
「う……でも、茅嶋さんだいぶとしんどそうだったから……」
「ふーむ。まあまだ電話する段階でもないか……」
おずおずとした憂凛の申し出に、英二が腕を組んで唸る。律から何かあれば連絡してと言われてはいるが、あまり頼りたくないというのが正直なところだ。手詰まりであると言ってしまえば、律の性格上無理をしかねない。
ちらり、と手に持っているバッグに視線を落とす。ここで一度、巧都に助言を求めるべきだろうか。何かしらの対価を支払う必要はあるかもしれないが――と思ったところで。
「……?」
不意に視線を感じて、憂凛は顔を上げた。辺りを見回したものの、周囲にいるのは、ビル内に出入りする僅かな人数。こちらに視線は向いていない。ビルの外だろうか、と3人に断って少しだけ外に出て。
「――! ヒメちゃんっ」
「どうしたの、憂凛」
「ちょっと来て!」
慌てて戻って姫の腕を掴み、二人で外に出る。急な憂凛の行動にきょとんとしていた姫はしかし、すぐに憂凛の言いたいことに気付いたらしい。
――鼻を擽る、甘くて苦い、嫌なにおい。
外であるにも関わらず、先程の貸会議室の室内よりも遥かににおいは色濃い。先程までここに犯人がいて、様子を窺っていた可能性は高そうだ。二人を追って出てきた陵と英二は何も感じないらしい。となればこの先は、憂凛と姫で追うという話になる。
「におい、追いかけてみる! どこかに辿り着けたらチャンスだしっ」
「私も一緒に行きます。旦那様と中御門さんは」
「姫と柳川嫁のスピードについていける訳がないだろう……」
「後で車で追いかけます。どこかに着いたら、すぐに教えていただけますか。……どこかに辿り着いても、二人で行っては駄目ですよ?」
「はいっ」
真剣な表情の陵に念を押され、憂凛は頷く。においを追った先にどこに辿り着くのかは分からない。行動は慎重であるべきだ。
姫と二人で少しの確認を行い――そのまま、二人はにおいを辿り走ることとなったのだった。
---
辿り着いた先は、どこにでもありそうなマンションの一室の前だった。
その部屋の前にいるだけで、明らかににおいが強い。表札は出ておらず、階下のレターボックスも確認してみたが、名前は分からない。ひとまず場所を共有し、陵と英二とも合流する。
「この部屋ですか?」
「間違いないと思いますわ。離れるとにおいは弱くなりますし」
「とりあえずは在宅かどうかだな」
ぴんぽん、と英二がインターホンを鳴らす。しばらく待ってはみたものの、人が出てくる気配はない。何の音もしないので、中に人がいるかどうかも怪しいところだ。
少し考えた後、英二が玄関前に座り込んでがちゃがちゃと何かを始める。十数秒の後に鍵がかちゃりと音を立てた。どうやらピッキングに成功したらしい。
「そら、開いたぞ」
「……うちの玄関の鍵が心配になってきちゃった……」
「柳川家に侵入しても仕方ないだろうが」
言いながら立ち上がった英二は、そのまま迷うことなく玄関の扉を引いた。内鍵は掛かっていなかったようで、扉はあっさりと開いた。違う部屋だったらどうしようかと思ったものの、その心配はなさそうだ。――扉が開いた瞬間、においはかなり濃く変わっている。
香炉自体がここにあるという雰囲気ではないが、少なくともここの住人と香炉は間違いなく関係がある、と考えてよさそうだ。
「お邪魔しまーす……」
「人の気配はしませんね。住人は留守でしょうか」
「帰ってきてもらった方がいいが、帰ってくるとそれはそれで面倒だな。手帳でどうにかなるか?」
「完全に不法侵入ですからね……」
部屋はワンルームのようだった。リビング兼寝室、キッチン、そしてトイレと浴室だろうか。さほど広くはないので、調査にそれほど時間はかからなさそうだ。
先に奥へと入っていった英二が、部屋の奥にあるデスクに目を留めた。デスクの上にはノートパソコンが置かれており、書類が散らばっている。難しい顔で書類を眺める英二を見て、憂凛も横から書類を覗いてみたものの、何が書いてあるのかさっぱり分からない。そもそも書かれている言語は、どう見ても日本語や英語の類ではなさそうだ。
「……姫、中御門さん、読めるかこれ」
「残念ながら、全く……」
「こういうのはウィザードの領分のようにも見えますが」
「だよなあ……」
残念ながら、今この場に『ウィザード』はいない。しばらく考えた英二が、不意に書類を写真に撮ってどこかに送る。分かりそうな人間に助けを求めることにしたのだろう。
「茅嶋さん?」
「いや、ええと、柊 隼人。アイツ、魔術にも明るかったろ」
「ああ、そうですね。とはいえ突然送りつけてどうするんですか」
「茅嶋くんに見せれば話は早いだろうが、さすがにな。他に魔術のことが分かりそうな知り合い、いるか?」
「うーん……そういうのは大抵茅嶋さんにお伺いするので……」
「あっ、らっちっちさんは? 今日は恭ちゃんとお仕事してるはず」
「ああ、そういえば。聞いてみましょうか」
隼人にも禮知にも、今の律の状況について話すことはできない。急に写真を送ってこれが何か分かるかと聞かれても困るだろうが、とりあえず見てもらうことで何かしらのヒントが得られる可能性はある。
ややあって、二人から返事が返ってきた。隼人からは「何かを改造するために色々試しているように見える」、そして禮知からは「感情に起因する呪いを作っているように見えるが、ページが足りていない」という返答だった。どちらも急に何なのかという質問がついてきていたが、ひとまずそちらは無視を決め込んでおく。
「感情、ですか。この間感情オークションなんていうよく分からない噂がありましたが」
「ああ、中御門さんと茅嶋くんが怒ったって言ってたやつか。ちらっと聞いたな」
「……となりますと、これはそのオークションとやらの落札結果、ということになるのでしょうか」
「え」
回答を待っている間、デスクの上にあったノートパソコンを独自に調べていた姫が呟く。全員の視線が姫へと向けられ、姫はノートパソコンの画面を3人にも見えるように向きを変えた。
そこに写っていたのは、一枚の写真。美しい意匠の香炉が掲載されており、その隣に少し大きめな文字で書かれていたのは。
「……絶望を濃縮した香炉」
「これはまた趣味が悪いな……?」
「詳しい説明は既に削除済、どうやって届けられたのかも不明、そしてこのページからどこにも飛べないのですけれど」
「そもそもこのサイト、URL変だもんね」
「そうなの」
画面上に表示されているURLは文字化けしていて、全く何も読み取れない。恐らく何らかの力が働いているのだろう。普通にネットサーフィンをしていて辿り着くようなサイトではなさそうだ。
何らかの手段でこの香炉を手に入れ、そしてそれを改造し、律を呪うものとして使ったと考えるのが自然だろう。或いは無差別かもしれないが、そうなるとわざわざ律が来るタイミングで香炉を仕掛け、そして持ち去ったのかが分からない。
「……推定佐藤某が見つけられるかどうかだな、これは」
「そうですね、麻葉さんの見立てではページが揃っていないようですし。残りのページを見つけないと話にならないというところもあります」
「でも、あと探すところ……キッチンとお風呂……?」
「私はもう少しパソコンに何か残っていないか確認しますわ」
「なら私は浴室を。丁野さんと柳川さんはキッチンをお願いできますか」
「よし来た」
「はいっ」
陵の指示に従って、憂凛はキッチンに入る。とはいえキッチンは割と片付いており、洗い物も残っていない。冷蔵庫を開けてみたが、普通に一人暮らしをしている人間の冷蔵庫だろうという感想しか出てこない。
そんな憂凛の隣で、キッチンにあるごみ箱を開けた英二が嫌そうな声でうわ、と呟いた。つられて中を覗き込めば、そこにあったのは粉々に破り捨てられた写真の山だ。
――わずかに残った断片から、それが律の写真であることは読み取れる。しかもアングルとしては完全に盗撮としか思えない。これは完全に、狙いが律であるという証拠になるだろう。そうこうしているうちに浴室から戻ってきた陵が、同じようにゴミ箱を覗き込んで眉を寄せる。何枚か手に取ってみたが、繋ぎ合わせるのは根気がいる作業になりそうだ。ひらりと写真を裏返すと、何かが書き込まれていた形跡。
「……茅嶋さんストーカーされてた?」
「まああの男、敵は多いだろうからな。心当たりが山ほどありそうだ」
「でしょうね……。そうだ、浴室なんですが、魔法陣が描かれていました」
「何の?」
「麻葉さんに確認したところ、移動系の術式ではないかと。もしかしたらそれを使ってあちこちに移動していたかもしれませんね」
「そうか、ならとりあえず踏みに行くか……うお!?」
「何を考えてらっしゃるんですか! そんな危険なものに触れないでください!」
話は聞こえていたのだろう。パソコンの前からすっ飛んできた姫が、英二の身体を抱きしめる。一歩も動けなくなった英二が離せと訴えているが、姫は全く離すつもりはなさそうだった。
憂凛としては姫の気持ちもよく分かる。その魔法陣に飛ばされた先で、何が起こるか分からない。そんな場所に先陣を切って行こうというのは、誰だって怖い。
「……ねえ中御門さん、ジッポ先生って結構無茶する人?」
「『直してもらえる』のも手伝っていると思いますが、かなり」
「ヒメちゃんが過保護になるわけだ……」
「本人、自分ならいいと思ってますし、無自覚なところもありますから、なかなか難しいところですね」
「そっかあ……」
姫も大変だな、と思う反面、胸の奥でざわりとしたものを感じる。あまり良くないな、とゆっくりと息を吐いて深呼吸。
どちらにしろ、残る手がかりはその魔法陣だけだ。陵の先導で浴室を見に行くと、ちょうど人一人が立てる程度の大きさの魔法陣があった。一人ずつ入る――というのはさすがに不安がある。魔術の知識があるわけでもない上、全員が同じ場所に辿り着けるかどうかは不透明だ。
「危険な場所かもしれないのに柳川嫁を連れていくわけにもいかんだろう、だから離せと」
「それはそうですが! だからと言って旦那様が率先して行く理由にはなりません!」
「あ、えーと、私は行くよ? 茅嶋さんに頼まれたし、恭ちゃんにも頑張るって言ったもん」
「……そう言われると、茅嶋さんから依頼を受けたのは私ですし。私も行くしかないですね……お二人はここで待たれますか?」
「いやそういうわけにも、」
「どうしても行くとおっしゃるなら私は旦那様と共に行きます。抱えていれば二人でも入れますよね?」
「あっ、その手があった」
真剣な表情で訴える姫に、憂凛はぽんと手を打った。さすがに4人全員でとなると難しいが、二人ずつであれば、分断されたとしてもそれなりの対処は可能だろう。
姫は英二と共に行く。となれば、と憂凛は陵の方に向き直り。
「中御門さんのことは私が抱えていきますね!」
「あ、そうなるんですね……?」
---
先に英二を抱えた姫が魔法陣を踏んで消え、憂凛も陵を抱えて魔法陣の中へと入る。何とも言えないぞわりとした感覚に襲われ、その次の瞬間には周囲の景色が一変していた。
薄暗い部屋の全面全てが、様々な魔法陣に覆われている。そして先に行った姫と英二の姿――の先に、香炉がひとつ。
「っ……」
「大丈夫ですか、柳川さん」
ひどいにおいが、する。
甘くて苦くて、ひどく濃密で、頭がくらくらする。同じものは姫も感じているのだろう、青い顔をして口許を覆っているのが見えた。陵を下ろして、憂凛も同じように口許を覆う。意識して嗅覚を遮断しても、既に鼻の奥ににおいが残ってしまっている。ふらふらする体を叱咤して、周囲を伺い。
最初に異変が起きたのは、英二だった。
「――、何だ?」
「旦那様?」
英二の足元の魔法陣がぼう、と発光している。直後、動きを封じるように赤い光が英二の足にまとわりついた。何なのかと思う間もなく、ぱちぱちという緩慢な拍手の音が響く。音の方に視線を向けると、いつの間にか一人の男が立っていた。
見た目からして、30代半ばだろうか。どこかやつれた雰囲気を漂わせる、その男から感じる気配は。
「……『ソーサラー』?」
「辿り着いたのは見事だが、君らに用事はないな。死んでくれ」
「ぜーったい、やだっ」
跳躍の瞬間には、憂凛の身体に狐の耳と尻尾が顕れていた。力任せに尾を叩きつけたものの、突如現れた赤黒い何かに阻まれ届かない。立て続けに動いた姫の攻撃も同様に対処した男の唇が、何かを紡いでいる。
「っ……ひめちゃんあぶない!」
「な、」
気付いたときには遅かった。姫の背後にあった魔法陣が発光し、赤黒い光が姫の身体を貫く。膝をついた姫に英二が声を掛けているが、反応が薄い。そして今、英二は動きを封じられている。
救援に駆け出そうとした憂凛を制止したのは陵だった。懐から取り出したのは応急処置用の薬だろう。傷口に当てれば、僅かながら回復していくのが見える。
それに舌打ちしたのは男の方だ。ふっと英二の足元の光が消え、代わりに同じように捕らえられたのは――陵。
「姫、大丈夫か」
「情けないところを……申し訳ありません……」
「ひめちゃんになにするの……!」
自由になりすぐに姫に駆け寄る英二に安心しつつ、憂凛は男に向き直る。先程は止められた、ならば狙いを変え、動きを変え、僅かでも相手に一撃が入るように。掠りさえすればいいと思った一撃は、狙い通り。憂凛の尾は男の右肩辺りを直撃し。
――どくん。
嫌な鼓動。途端湧き上がってきた感情は、恐怖だ。慌てて気を奮い立たせたものの、ばくばくと動悸が収まらない。恐らく攻撃の瞬間に何かをされた――だが、それが何なのかは分からない。
とてつもなく嫌なものを、相手にしている。それだけは確かだ。
体勢を立て直した英二と姫がそれぞれ動いているが、あっさりと攻撃は防がれ、代わりに赤黒い光が再び二人を蝕んでいく。このままでもどうにもならない、突破口を見つけなければと考えた直後、今度は憂凛の足元の魔法陣が光り。
「もうっ……これ、うっとうしいっ……!」
「憂凛!」
力任せに赤い光に抵抗しようとしても、びくともしない。恐らくこの部屋に誘い込まれてしまった時点で、避けることができない罠ではあったのだろう。とはいえ、一度に一人しか捕らえられないのであれば、臨機応変に対応していくしかない。
目まぐるしく入れ代わり立ち代わりながら、戦闘は続く。4対1の状況で攻撃も防御も捌いている男はさすがに疲れてきたのか、小さな舌打ちが聞こえた。気付けば赤黒い何かが男を守ることはなくなっている。余裕がなくなっているのか、あるいは手持ちのリソースを使い切ったのか。
どちらにしろ、男を止めるには今が好機と考えた方がいい。畳みかければ――いける。
陵の斬撃を男が躱したそのタイミングで、憂凛は跳ぶ。そのまま背に尾を叩きつければ、男の身体がよろめいた。その隙を見逃さず、英二の銃撃。瞬間、英二に黒い霧が纏わりついたものの、男が昏倒して霧は消えていった。
「……手こずったな……」
「大丈夫ですか、丁野さん。最後何かされてましたよ」
「いや別に何も」
黒い霧が何だったのかは分からないが、英二はけろりとしている。何かしようとしたものの間に合わなかったのだろうかと思いつつ、憂凛は男を起こした。最後の英二の一撃が綺麗に入ったのだろう、目を覚ます気配はない。
ひょい、と英二が男の顔を覗き込み、てきぱきと拘束を始める。
「舌噛まれても困るからな。姫、起こせるか」
「大丈夫です、少しお待ちを」
「むりしないでね、ひめちゃん」
最初に喰らってしまった攻撃が、どうしても尾を引いてしまっているのだろう。満身創痍の状態でふらつきながらも、姫が男の治療を始めて――その光景に首を傾げたのは、陵だった。
「……丁野さん?」
「ん、何だ」
「玉藻先生に治療していただくんですか? ……あなたもできましたよね? 確か」
「……うん?」
「……なるほど?」
きょとんとする英二に、陵は大きく息を吐き。ごそごそと懐を漁ると、取り出した札をぺたりと英二の額に貼り付けた。うわ、と小さな声。そして溶けるようにして札が消えていき。
「……やっぱりあなた、今引きずられてましたね?」
「えっうそっ」
「……うん、多分? 何か、すまん……?」
あまりにも変化がなさすぎる。しゅんとする英二を見ても、先程の状態が引きずられていたものだとは思えない。陵が見抜いたのは、さすがと言うべきか。
はっとして姫の方を窺えば、治療を終えた姫がにこりと微笑み。
「旦那様。後程、一緒にお父様のところに参りましょう」
「いやそれは別に俺一人で」
「一緒に行きましょうね?」
「……ハイ……」
---
姫の術を使うことで、一行は一旦魔法陣まみれの空間から脱出し、元居た部屋に戻ってきていた。香炉は置いてきている――今のところどう扱えばいいものか、判断がつかなかったからだ。壊してみてもいいが、その結果として律が更に窮地に追い込まれてしまう可能性がないとも言い切れない。ひとまず男に術について話を聞き出すしかないだろう、ということになったのだった。
だがしかし――目を覚ました男は、何も話す気はないようだった。
「往生際が悪いなコイツ」
「丁野さんに言われたくはないと思うんですが」
「うーん……ワンチャンもう大丈夫になってないかなあ、と思ったりもしたんだけど……」
男を捕らえたことを律に知らせるついでに状況を聞いてはみたが、何も変わってはいないという返答だった。今朝のしんどそうな律の姿を思い出すと、何も解決できていない自分が歯がゆい。
禮知が足りないと言っていた書類を探してもう一度家探しはしてみたものの、特に何も見つからない。男が鼻で笑っていたことから考えて、この部屋からは既にその書類は持ち出されている可能性もあるだろう。
となれば、残る探し場所は。
「一度香炉を調べに戻るしかないか……」
英二の言葉に、男が英二を睨み上げる。英二はそれをちらりと見返してから、浴室の方へと歩いていく。慌てて後を追ったのは姫だ。今のところ魔法陣で移動した先から戻るには、姫の術を使う他に方法が分からない。
お気をつけて、と二人を見送った陵が、男の前に腰を下ろした。男はただ、陵を睨んでいるだけだ。
「そもそも大前提として、何が目的で茅嶋さんを狙ったんです?」
「……」
「写真から推察するに、随分と執着されていたようですし。たまたまではないですよね。わざわざあんな香炉を手に入れてまで茅嶋さんを狙ったのには、何か理由があるんでしょう?」
「……」
「全然答えてくれる気がなーい……」
「困りましたねえ……」
何を聞いてもだんまりでは、埒が明かない。先程までは英二が煽るようなことを言って怒らせて口を割らせようとしていたが、そちらにも反応はなかった。こうなると専門の人間に任せてしまった方がいいのかもしれない。
しかし、あまり悠長にしている時間はない。いつ律がどうなってしまうかも分からない。男がこうして口を割らずにいるのが、時間稼ぎである可能性も否定はできないのだ。
さてどうしたものかと頭を悩ませていると、どたばたと慌てたような音が聞こえた。英二と姫が戻ってきたのかと、そちらに視線を向けて。
「えっ、ジッポ先生どうしたの!?」
「あの香炉に触れた瞬間、旦那様、気を失ってしまって……!」
姫の腕に抱えられているのは、ぐったりとした英二。完全に昏倒してしまっているようで、陵が呼び掛けているが反応はない。
――香炉に触れると、気を失ってしまう。そうなると運ぶことも壊すこともできない。どうすれば、と思ったとき、ふと思い当たる。
ここまで来たのだ。もしかしたら、手伝ってくれるのではないだろうか。
慌てて鞄を漁って、ポーチの中から律に預かった指輪を取り出す。今のメンバーでは、魔術について詳しい者はいない。最も詳しい者は、どう考えても巧都だ。
駄目ならそのときは、律に無理を頼むしかないかもしれない。ぐ、と指輪を握りしめて、憂凛は姫の方を見た。
「ヒメちゃん、私が行く。ジッポ先生のこと心配だろうけど、一緒についていってもらってもいい?」
「……でも、どうにかできるの? 同じことに……」
「多分、大丈夫だと思う。だから私のこと、無事に連れて帰ってほしいな、なんちゃって」
「っ……分かったわ。中御門さん、旦那様をお願いします」
「はい。危険を感じたら、すぐに戻ってくるんですよ」
心配そうな陵にしっかりと頷いてみせて、憂凛は浴室にある魔法陣へと向かう。踏めば一瞬で眼前の景色が変わり、先程までいた魔法陣だらけの部屋に移動していた。強いにおいは変わっていない。気を落ち着かせている間に、すぐに後ろから姫が現れる。
「本当に大丈夫なの? 憂凛」
「大丈夫……、だと思う」
どんな畏友があれ、巧都は自分から助けを申し出てくれた。そして言われた通り、『カミ』の力は借りずにここまで来た。
――だから。
「手を、貸していただけませんか」
「ふん。まあ、ギリギリ及第点にしてやってもいい」
ふらり。音もなく、気配もなく現れた巧都が、そのままひょいと香炉を掴む。その瞬間にひらりと落ちた紙を拾い上げると、内容はさっぱり理解できないものの、足りなかった書類だろうという推察はできた。
くる、くる。楽しげに手の中で香炉を回しながら、巧都は姫に視線を向けた。どうしたのだろうと思えば、その口許を象る笑みが濃くなり。
「イイ女のことは好きだからな、教えてやろう。お前の旦那が引きずられたままなら、この香炉に触っても平気だったぞ、視野が狭かったな」
「――!」
「ま、ボーナスってことで、お疲れさん。弟クンの嫁ちゃんはその書類の内容をやっしーに送ってやれ。アイツなら後は自分でどうにかできんだろ」
はは、と楽しげに巧都が笑って。
その手の中で、さらさらと香炉が砂と化して消えていった。
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.