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サケブンダト
2025-09-06 15:40:19
1539文字
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目覚めの夜は、仄暗く淡い。
中在家 長次は同室を愛しすぎている。
【恋心を隠すストーカー探偵の事件簿】
の番外編
1年生・4年生の年齢操作・劇場版パンフレットネタ・ストーカーあり。女体化なし。ストーカー注意です。
1
とある長屋の1年生は、深夜に目を覚まして隣を見た。
寝息を立てる同室はまだあどけなく、緩んだ口からヨダレを垂らして寝ている。まだ短い幼い手足をめいいっぱいに伸ばして。
長次は、その足に蹴られて目を覚ましたに過ぎない。けれど彼は頬を染めて嬉しそうに微笑んだ。なんと可愛い寝顔なのだろうか。弟や妹が居なかった彼には寝相の悪い彼が物珍しく、また、愛くるしく見えたのだ。
惚れ惚れと見蕩れ、その口のそばで光る物に目を奪われた。1度目にすると胸の内に湧き上がる好奇心を抑えられなかった。長次は、音を立てずに小平太の布団の縁に膝をおろす。
彼は自身の髪を耳にかけてゆっくりと顔を近づけ、その甘露を啜った。
どこの世界に、同室のヨダレを甘露と称するものか。そんなツッコミが聞こえてきそうだが、生憎まだこんな真夜中に起きてる文次郎はなく。
長次は、糸を引きながら口を離し、むにゃむにゃしながら口を拳で擦る小平太を眺めていた。
きっとあの口を吸えばもっと“彼の味”を味わえると思い喉を鳴らす。
そう、もうこの時には救いようのない物へ変わってしまっていたのだ。あまりにも早すぎる目覚め。本来、愛ある口付けをすればどんな童話も大抵は、美しい姿へ変わると言うのに。いや、本来の姿に戻るという点では、長次は自身の欲に正直な、本来の気質を解放したとも言える。
甚だ、気持ちの悪いものではあるが。
「小平太
……
私の宝物」
2
煮え湯を飲まされたように地団駄を踏む彼がようやく拝めた。悔しそうに何度も自分たちの鍛錬の様子を思い出し、負けた要因を探ろうとする小平太。私は、勝利の感触を確かめるように縄鏢を何度も握り、胸に大きく空気を吸い上げた。
アドバイスを貰ったから勝てたところもある。それはしっかり自覚しないとと思った。
それでも、小平太は衝立無しに寝てはくれないだろう。少なくとも今夜は。
だから、より良いのだ。
悔しそうに暴れる音も、ひっくひっくと喉を鳴らす音も消え、寝息に変わったところで長次は起きてきた。長次にとってどんなに怪我をして疲れてても、この“日課”を欠かすことはない。例え自分が医務室で指先1つ動かせなくなっても、必ず這ってでも長屋の部屋に向かい行うことだろう。
相当疲れているのか衝立から覗き飲んでも起きない。近づいて見れば、目元がうっすら濡れており、若干腫れている。
可愛いなと思いながら長次は布団の縁まで音を立てずに近づいた。どんなにぐっすり寝ていても、流石に音を立ててれば小平太も飛び起きてしまうから。
どんな顔をしていても可愛らしい。こんな日は、どんなことから始めようか。まずは悔し涙が乾かないうちに。
そういえば、小平太にとって宝物はなんだろうか。
3
長次は本当に強くなった。4年生のあの時、負けた日から何度も負けてしまい、悔し涙をうかべる日も少なくなかった。負ける度に悔しくもあり、次第に嬉しくも。
傷の影響で頬も固くなり、声も小さく聞きづらくなったが、それでも長次は諦めなかった。
文字通り血のにじむ努力が成果を上げていた証拠。励まされるようで、自分も鍛錬に身が入った。背筋を伸ばされる気分と言うべきか。
それでも、やはり悔しいし、もっと強くなって勝ちたい。それでも挑み続けて強くなって私に勝つ長次は、私にとってもかけがいのない友であり誇りだ。頬の傷も執念も全部が良く見える。傷があろうと無かろうと笑っている長次をみると、不思議と心が期待に満ちてくる。
そんなことを考えていたら、ストーンっと想いが定まった。
「あぁ、私にとって宝物は、長次だ! 」
最近、長次のそばで香りを嗅ぐとムズムズしてしまうけど。
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