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めいこ
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逃げたボスとガチギレ先生と巻き込まれ部下
ネームレス|🔫先生夢(?)|+10世界
「
……
ツナなら居ねぇぞ」
トレードマークのボルサリーノを目深く被り、男はぶっきらぼう言い放つ。つばの奥には背筋が嫌でも伸びてしまうほど深く刻まれた皺。そして机の上では、紙の山が渓谷のように積み上がりつつあった。
――
ああ、逃げたのね。
そんな目配せを目の前の男へと送れば、大きな舌打ちが答え合わせのように返ってきた。
私に当たらないでよと言いたくなる気持ちはグッと飲み込み、かわりに小さめのため息が漏れる。尤も、そんな舌打ちを聞くまでもなく、事の顛末を把握するだけなら十分すぎる状況証拠が揃っていたのだけど。
これで今月四回目。我らがボス、もとい沢田綱吉による気紛れな脱走劇は、ここボンゴレ日本支部で不定期に繰り広げられてきた。
例えばそれは仕事が立て込んだ時。あるいは事務作業が煮詰まっている時。気分転換がしたかっただとか天気が良くてつい、なんて理由もあったかもしれない。数え出したらキリがない。それこそ、両手では足りないほどだ。
大人しく仕事をしていたかと思えば、少し目を離した一瞬で溶けるように姿を眩ませてしまう。トレーニングルームへ立てこもってみたり、ある時は並盛の地上へふらり放浪の旅へ出てみたり。
その度に決まって部下、必要であれば守護者が捜索隊に駆り出されており、そんな光景ももはや珍しくなくなってきていた。
「毎回大変ねえ。
――
じゃ、これ報告書だから」
出したからね。そんな意味を込めてリボーンへ声をかける。聞いているのか聞く気がないのか。彼からの返事はなく、目には見えない刺々しい無言の圧だけが漂っている。
私もボンゴレの中ではそこそこの古株。それなりの年月を彼らと過ごしてきたから分かってしまう。こういう時の、
――
特に綱吉が逃げた時のリボーンと関わると碌なことがない。つまるところあまり関わりたく無いのだ。
書類の山脈の隙間へと長い足を放り出している男の横顔は、苛立ちを隠すことなく鋭く吊り上がっている。流石、凄腕のヒットマン。その苛立ちが私に向いてさえいなければ、素直に感嘆したのに。
綱吉には悪いけど、この後こってりねっちょり絞られる上司の心配が出来るほど、今の私には微塵も余裕が無いのである。すでに巻き添えの火の粉を浴びかけている気もするが、これ以上は御免だ。
そう思いながら作成したばかりの報告書を、彼の足を避けるようにそっと置き、今しがた入ってきたドアへと大股で向かう。
「おい」
丁度、ドアノブへと手をかけたところだった。リボーンのドスの効いた声が執務室を支配する。とても低くて、反射で振り返ってしまいそうになる。そんな声。それをグッと我慢し背後の殺気に声を返す。
「
……
。リボーン、私ね?徹夜明けなの」
「奇遇だな。俺もだ」
だったらボスなんてほっといて休めばじゃない
……
!なんて事を言える訳もなく。嫌嫌ながらも振り返り、責めるようにボルサリーノの奥を見る。
「も〜〜
……
貸しだからね」
「安心しろ。百倍にして返してやるから、ツナが」
先ほどの威圧感なんてすっかり霧散し、交渉成立だなとニヒルに口角を上げるのだった。
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