三毛田
2025-09-05 21:33:36
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6 006. 微かな笑顔がよけいに苦しい

6日目
苦しいから、上書きしたい

 何もかもを諦めたような、そんな笑み。
……腕、重い」
 そんな笑みを浮かべた彼を、俺は知らない。知りたくもない。
 先ほど見た、微かな浮かんでいるのかどうかも怪しい笑みと比べ、穏やかで幸せに満ちた笑みを浮かべて眠る丹恒。
 均整のとれた体は、無防備にさらされていて。
 シーツをそっと、彼の肩が隠れるところまで引っ張り上げる。
 首や鎖骨周り、豊穣な胸に散りばめられた赤にちょっとだけ赤面。
 互いに夢中で体を貪り合っていたため、その後のことなんて一切考えてなかった。
 反省してます。ちょっとだけ。
「ん……
 小さく唸り、ぐりぐりと額を俺の胸に押し付けてくる。
 でも、表情はあまり変わらない。
 嬉しそうな、笑み。
 そっと頭を撫でれば、艶やかな黒髪は少々汗で湿っている。
 先までの行為でかいた汗で湿っているのだろう。
 顔を埋めて匂いを嗅ぐ。丹恒が起きていたら、こんなことできないけど。
「きゅ、ぅ……ん。す、き」
 慈愛の込められた、呟き。
 思いきり抱き締めたいのを我慢して、そっと抱き寄せるだけにとどめ。
 何これ。生殺しじゃん。
 少し前まで、互いの体を貪り合って。それで満足していた。そのはずなのに。
「我慢できなくなるじゃん……
 俺の呟きが耳に届いたのか、もぞもぞと俺の腕の中で動く。
 その動きさえ、可愛くて。俺の性を刺激して。
「可愛い」
 耳にキスをして、先端を軽く食む。
……
「起きて、る?」
 じわじわと赤く染まっていく耳に、思わず問いかければ。
「さっき、起きた」
 羞恥でほんのり赤く染まった頬。微かに潤んだ瞳。
 可愛くて、ギュッと強く抱きしめてしまう。
「可愛い。本当可愛い」
「お前の方が、可愛いだろう」
 恐る恐る背中に腕が回ってきて。
「こ、こらっ」
 思わず股間を押し付けてしまったら、怒られた。
 てへ。
「今日は、もう我慢しろ。俺だって、我慢しているんだ」
「そんなこと言われたら、もっと我慢できなくなるに決まってるじゃん」
 シーツをはぎ取り、丹恒を押し倒す。
 纏っていたものがなくなれば、互いに全てをさらけ出した状態に。
「なあ、いいだろう?」
 唇を舐めながら問いかけると、視線があちこちに動き。
 瞳の奥に、欲がちらついているのが見えたのは、気のせいじゃないだろう。
「丹恒、いい?」
「っ」
 彼が俺のおねだりに弱いことを知っていての、提案。
 もうちょっと押せば、頷いてくれそうな気配はある。
「これ、きりだっ。明日も早いんだ。これだけだぞ」
「はーい。ありがとう、丹恒」
 頬にキスを。