sheeph811h
2025-06-01 21:03:17
2428文字
Public 🌳受け
 

愛情表現は盛大に

コルオキ。再掲です

 アオキが好きだ。まず、顔が好ましい。太い眉毛が特徴的だが案外よく動き、喜怒哀楽が分かりやすいのだ。
 それに、光が差し込まない灰色の瞳は奥が見えて来ずそれが面白いと思う。かと思えばバトルの時や食事をしている時のアオキはどうだ!? 一転、瞳に光が差し込み輝き出すのだ!

 さて、次は鼻だ。ワタシは特に鼻フェチではないが、アオキが食事の匂いをすんすん嗅いでる時の鼻の動きは悪くないな。
 そして口だ。ワタシより背が高い男でありながら、その口は意外と小さくそれがまたギャップ萌えと言うやつか……愛らしい。
あの小さな口がワタシとのキスを懸命に受け入れたり、時にはワタシのものを……おっと!脱線してしまったか。

 ともかくアオキは手も小さいな。背丈で言えばハッさんと変わらんと言うのにワタシと変わらないくらいか、もしかするとワタシより小さい可能性もあるのでは……!?
 ああ、堪らないな。うむ、ワタシはアオキの体型も好きなのだ。まずどの辺が好きなのかと言うと……

……そろそろ口、閉じてくれませんかね」
「何故だ!?」
「ずっとそれを聞かされるこっちの身にもなって下さいよ……
 そう、ワタシは今アオキに愛をぶつけている最中だ。恋人だからな、当然だ! だがアオキは口を閉じろと言う。何故だ? もしや、ワタシがアオキの外見ばかり褒めるから不満とでもいうのか……!?
「全部口に出てるんですけど……
「!」
「違うんですよ……言い過ぎなんです」
 アオキははぁ、と溜息をついて珈琲を一口飲んでから美味い……と呟く。ああその表情……素晴らしいぞ、アオキ!
「無理だな! ワタシはアオキを世界で一番愛する男だ!! 語れと言うなら三日は……いや、一週間は語りつくせる自信がある!!」
「要りませんよ、そんな自信……というか誰相手に語るんですか。絶対やめて下さい」
 アオキはこの人ならやりかねないな……とぼやく。それすらも愛らしいのだからどうしようもない。ワタシはアオキの全てを愛しているのだ。世界で一番面白いと思った男だ。そして美しいとも。
 付き合って随分経つが、新しい発見が日々ある。興味が尽きない……芸術とはまた違った魅力がアオキにはあるのだ。
「だがワタシはアオキを愛している。だから毎日でもキサマには言いたい」
「いやだから……
「ワタシは好みのくさタイプを見つけたら声を掛けるのと一緒で、それは人間とて変わらん。アオキが愛おしいから声に出すのだ!!」
……出し過ぎなんですけどね」
 平行線だ。だが、ワタシは譲る気はない!
「良いではないか。アオキだって満更でもないのだろう?」
「何でそうなるんですか……
「ほう? だったら、毎回ワタシがセックスの最中に愛していると囁くと悦ぶのは何故だ?」
……っ」
 セックスの話を持ち出すとアオキは言葉を詰まらせて、少し遅れてアオキの肌に赤みが差す。ああ、その表情は駄目だぞアオキ……!!
「嬉しいのだろう?愛していると言われて……違うのか? アオキ」
「さ、囁かないで、ください……っ、耳弱いの、知ってるでしょう……
「ああ、世界中の誰よりも……知っている」
 ふーっ、とわざと息を耳に吹きかければアオキは分かりやすく体をビクビク揺らす。赤みの差した頬は更に赤く染まる。
 愛くるしい、そして普段のアオキから想像もつかない程の色気がある。それを口で説明するのは実に難しいが、難しいからこそアオキが愛おしいのだ。
……っ、でも、言い過ぎ、です……あっ」
「そうか? 本当は毎日言っても言い足りないくらいなんだがな……
 赤みが差したアオキの肌は耳まで広がっていた。その無防備な耳を甘噛みすると、アオキは何とも悩まし気な声を出しついにワタシにしがみついてくる。
 大きな男が、ワタシの言動でこうなるのだ。ああ、やはりアオキはいい。ずっと新しい刺激をワタシに与えてくれるアオキ。
 ——だが、昨晩体を重ねたばかりだ。欲望ばかりをぶつけるのではなく、慈しむのもまたワタシの愛情だ。
アオキから離れると、アオキはあからさまにほっ、と溜息をついた。
……コルサさんは愛が重すぎると思います」
「それは否定しないな!」
 暫くするとアオキはそう口にし、ワタシはその言葉に即答したのだが次の瞬間アオキの反撃が始まった。

「まあ、自分も人の事言えませんけど……何だかんだ実際は喜んでしまいますし、口にしませんけどちゃんと愛してますんで」
……っ!?」
……カップ、片付けてきます」
 アオキはそそくさと席を立つと、ティーカップをキッチンまで持っていく。ワタシはアオキの爆弾発言にただただアオキを眺める事しか出来なかったのだ。
「あ、アオキっ!!」
……何ですか」
「アヴァンギャルド!!」
「意味、分かりませんけど……
 ああ、駄目だ! 不意な愛情表現にワタシはあからさまに動揺してしまった。
 成程、毎日口にする愛情も悪くないがアオキのようなたまに口にされる愛情も悪くないものだと……。いいや、これは効果はバツグンだ! の上に急所をつかれたぞアオキっ!!
「フッ……やはりアオキには適わんな! ワタシはバトルだけでなく愛情でも勝てないとは……
「は?」
「だが! 愛情に関してはいつか必ず勝つ! 絶対に、だ!!」
「何言ってるんですか……と言うかどういう思考回路なんですかそれ……
 アオキは呆れているようだったが、ワタシは本気だ。しかし、アオキは更に攻撃を仕掛けてきてワタシをついに瀕死状態に追い込むのだった。

「よく分かりませんけど……自分も大概コルサさんに対する愛情は半端ないんでいっぱい食わされるつもりはありません」
「な……っ!?」
「自分、強いんで。コルサさんには負けませんよ」

 アオキの瞳に光が差し込んだのを見て、今更ながらアオキの愛情の重さに気付いたのだった。