Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
fedge
2025-09-03 20:48:01
1867文字
Public
Pixiv非掲載
Clear cache
ふんわりナタっこ現パロ小学生妄想②『作文の宿題』
ふんわりナタっこ現パロ小学生妄想②『作文の宿題』
※都合の為全員同年代 ふんわり設定現パロ
実際の幼少期との乖離などが見受けられますのでご留意ください。
作文の宿題に頭を抱える先生の話
ネタ元
https://x.com/f_edge_talker/status/1962435203441582124
「ん
……
?んん
……
??」
ひぐらしが鳴き、赤々とした夕日が差し込んでいる職員室で、マーヴィカは一人首を捻っていた。クラスの子供たちが全員もれなく宿題を提出してくれたのはいいのだが、確認して皆にコメントを書こうとしていたところで最後の一人の作文に躓いてしまったのだ。
「まだ残っていたのか。新学期が始まったばかりだ、お前も今日くらい早く上がれ」
学年主任を務めている大男が、帰り支度を済ませながらマーヴィカに声をかける。この暑さだというのに全身黒ずくめで肌の露出すら極力ないその格好は、見ている方が暑くなる程だ。
「ああ、これを読み終えたら帰るつもりだ。だが
……
」
「作文か。読めない文字の生徒でも居たのか?」
「いや、文字自体は読めるんだ。読めるんだが
……
君も見てくれるか」
文字として読むことは可能だったが、おおよそ小学生には似つかわしくない言い回しや独特な比喩表現が多分に盛られており、いったい何を言いたいのかがてんで掴めなかった。子供たちにはきちんと意を汲んだ感想を贈ってやりたいと思うマーヴィカであったが、その意を掴めずに頭を悩ませていたのだった。
「ふむ
……
」
渡された四百字詰め原稿用紙の束を手に、ぱらぱらとめくって男はその作文に目を通す。五枚に及ぶ大作に目を通し終えると、原稿用紙を畳んでマーヴィカに差し出した。
「『オニカブトムシを捕まえるために日の出前に友達を連れて山に出かけて、その時に見た朝焼けがとても奇麗だった。だけどこっそり出かけたのがバレて祖母にすごく怒られてしまった。それでももう一度あの景色を見たいから、こんどはバレないようにしたいと思う』だそうだ。書いたのはオロルンだな」
「ああ。その通りだ
……
」
「お前が言うほど難解な文章でもあるまい」
「そうか
……
?いや、とにかく助かった。感謝する」
二人がやり取りをしていると職員室の窓を叩く音がする。音のほうを見やれば、蝙蝠耳をぱたぱたと元気に揺らす少年が二人の先生に向けて手を振っている。マーヴィカを先ほどまで唸らせていた作文の筆者だ。小さくため息をついた男が鍵をあけてやると、微笑んだ彼がビニール袋を差し出してきた。
「マーヴィカせんせー!たいちょー!夏休み、みにとまとがいっぱい採れたんだ!せんせーたちにも食べてほしい。あまくておいしいから、きっと気に入ると思う」
一度家に帰ってからトマトを持って戻ってきたのだろう。学校で定められた帽子ではなく、鍔の広い麦わら帽子をかぶっている。耳出し穴から覗く薄い耳は楽し気に揺れていた。
「これは君が育てたのか?赤々としているし実も大きいな」
「うん。マーヴィカせんせーみたいな真っ赤なトマトになったから、せんせーに食べてほしかったんだ」
「そうか!ありがとう、大事に食べさせてもらう」
トマトを受け取ってもらえたオロルンは嬉しそうに微笑む。こうも無邪気な少年があの難解な文章を、とマーヴィカの脳裏に過るが、眼前の笑顔で先ほどまでの疲れもろとも吹き飛んだ。
そうこうしているうちに外はもう日が殆ど落ち、宵闇の帳が降り始めていた。先ほどまでカァカァと鳴いていたカラスの声ももうない。
「もうだいぶ暗いな、オロルンは帰りがけに俺が家まで送って行く」
「たいちょのくるまに乗っていいのか?」
「ああ。おとなしくしておけ」
「やったー!ありがとう、たいちょ」
「お前も早く帰るんだ、明日からは遠足のことも詰める必要があるからな」
「ああ、わかっている。これを片づけたら帰ることにする」
「では、お先に失礼」
「マーヴィカせんせー、また明日!」
「ああ、また明日!」
***
「たいちょもトマト食べて」
車を出そうかとなったところで、助手席に座ったオロルンがぐしぐしとトマトを自分のTシャツで拭い、ひとつ差し出す。仕方がないなとふっと笑い、男はそれを口に含んだ。陽光をたっぷりと浴びたみずみずしいミニトマトを口の中で潰してやれば、甘酸っぱさが口の中に弾けた。
「
……
美味いな」
「よかった、じしんさくなんだ!家にまだあるけど
……
もっと食べるか?」
「その袋の分で十分だ、気持ちだけ貰っておこう」
「そうか
……
ねえ、たいちょ」
「なんだ」
「また美味しいおやさいできたら、食べてくれるか?」
「
……
ああ」
その返事を聞いたオロルンはまたにこりと微笑み、今は甘薯を育てているんだとか、来年は大きなトマトも育てたいのだとか、オロルンの家に着くまでの間楽しそうに語ったのだった。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内