三毛田
2025-09-02 21:54:38
1084文字
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3 003. 気付いてほしくて

3日目
俺の好意に

 この、溢れんばかりの好きだという気持ちを。気づいてほしい。でも、気づいてほしくない。
 なんて矛盾を抱えて、かれこれ数日。
 この気持ちは、本当に好意なのか? なんて考え始めてしまった。
「何をうんうん唸っているんだ、お前は」
 ラウンジで腕を組んで唸っていると、丹恒が呆れたような表情をこちらへ向けてくる。
「丹恒」
 彼の顔を見たら、これは好意だ。そう結論が出た。
「なんだ」
 ジッと見つめていたら、負けじとこちらを見つめてきて。
「好きです」
「そうか」
 淡々と、感情を、温度を感じさせない返答。
 素っ気なく感じるけれど、ちょっとは嬉しそうに見える。
 そう思いたい俺の願望。
「そのことで悩んでいたのか?」
「まあ、そんな感じ」
「そうか。ただ、他の人の邪魔にならないようにしろ」
「はーい」
 俺は戻る。と告げて、カートにあった飲み物を手に客室車両へと戻っていく。
 ひらりと手を振り、俺も飲み物とナッツをつまむ。
 色々なナッツが混ざっていて、美味しい。味はほんのり塩味。
「あ。丹恒に渡すの忘れてた」
 よいしょ。と、体を起こして器に取り分けて資料室へ向かう。
「開いている。好きに入れ」
「さっきぶり!」
 ノックの後に入室許可をもらえたので、手を挙げる。
「どうした」
「今日の軽食。というか、つまみ用のナッツ。丹恒の分」
「ありがとう」
 俺から受け取り、一つ口へ運ぶ。
「いい塩加減だ」
「姫子のお土産だったと思う。そうじゃなかったら、パムブレンド」
「なるほど。俺は好きな味だ」
「俺も美味しいって思った」
 ポリポリと、小さな口でナッツを食べていく。
 その口に、キスをしたい。そんな感情が湧き上がってきて。
 ちょっと混乱した。
「穹?」
 唇に塩をくっつけた丹恒が、不思議そうにこちらを見ていて。
 自然と彼の唇へと手を伸ばし、そっと指の腹で塩を払う。
「塩、ついてた」
「言ってくれれば自分でとったんだが」
 ちょっと恥ずかしそうに、手の甲で口元を隠しながらボソボソと。
「うん。でも、俺が取った方が早いかなって」
「次からは言ってくれ。急に触れられると、その……
「なに?」
「お前に武器を向けてしまいそうだ」
 多少俺が頑丈(多分)だったとしても、丹恒のあの一撃を喰らったらひとたまりもない。
 背中を悪寒が走り、ぶるっと震える。
「き、キヲツケマス」
「そうしてくれ」
「はい」
 下心とか向けてしまったら、最後。
 悟られたら撃雲で、串刺しにされてしまうだろう。
 恋心に気づいて欲しいけど、気づいてほしくない。