傘道
2025-09-01 01:09:00
1298文字
Public 複数CP(キャプション表記)
 

目が見えない犬は灰皿にもなる

znzrの地下闘技場🔦さんの話です。
Xの相互さんのリクエスト小説で灰皿の話です。
モブが出ます。
CP要素は薄めでデイイトとモブレ?があります。

「こちらが本日の犬兼灰皿です。」
包帯に覆われた翡翠色の瞳には今日のご主人様が見えない。
ボクサー用のトランクスと首輪以外に何も身につけていない自分は浮いているだろう。
犬のようにお座りをして、主人の命令を待つ。
目を怪我したライトが金を稼げる方法として運営に提案されたのがVIPの犬兼灰皿になることだった。
借金が膨らみ続けるライトには選択肢がないようなものだった。
稼げない期間があるのはまずい。
そう思った青年は屈辱を受け入れた。
説明がようやく終わったのであろう。
強引にリードが引っ張られた。
抗議をあげることなく、犬はついていく。
観客席に着くまで四つん這いで目的地まで向かう最中、視線が突き刺さる。
きっと嘲笑混じりで指でも指されているのだろう。
もう慣れたものだった。
ご主人様が観客席に座った。
足元で犬のように座って待機する。
煙草の匂い。
昔吸っていた懐かしい匂い。
それでも禁煙のために渡されたレモンキャンディで耐えていた。
今、レモンキャンディはない。
過去に思いを馳せているとリードが引っ張られた。
あぁ、灰皿の時間だ。
肩にじゅうっと煙草を押し付けられる。
くぐもった声をあげて痛みに耐えた。
どれだけ押し付けられたのだろう。
ぽいっと煙草が捨てられた音がして、慌てて回収する。
手に握った煙草の本数で今回貰える金額が変わるのだ。
一本だって見逃してはいけない。
手が火傷するが、それでも握りしめ続けた。
もっと灰皿の役割をしないとお金が貰えない。
ライトは媚びるようにご主人様の膝に顔を乗せた。
煙草の煙が顔に吹きかけられる。
受動喫煙で煙草が欲しくなるが、犬が強請る権利はない。
仮に貰えたとしても仲間の顔が浮かんで吸う気にはなれなかった。
口をだらしなく開ければ、舌に煙草が押し付けられた。
痛みに敏感な場所に当てられて声も上げず痛みに悶える。
それでも耐えた。
それが灰皿の役目だからだ。


うるさい歓声と罵倒で試合が終わった。
スタッフがVIPに駆け寄り、犬兼灰皿を回収しに来た。
アフターはどうされますか?
その言葉を聞いて、VIPは犬を抱く趣味はないと断る。
それを聞いて、ライトは今日の役目を終えたことを知った。
回収された後、握った煙草の本数と身体にこびりついた根性焼きを見て、今日の報酬を告げられた。
今日もそこそこ稼げた。
アフターがあればもっと稼げただろうが、引き換えに何かを失っていく気がした。
乱暴に身体を洗われ、割り当てられた狭い個室に放り投げられた。
敷かれた布団に身を寄せていると、明日も灰皿になる予定があることを告げられる。
明日の客は物好きだからアフターもある。
そう言った後、スタッフは去った。
あぁ、どうしてこうなったんだろう。
寝具のそばに隠したドッグタグを手探りで見つけて握りしめる。
「デイン
恋人の名前を呼んだ。
早く会いに行きたい。
でも償いが終わっていない。
罰が終わっていない。
この掃き溜めの中でこれからも人間ではなく犬として道具として生きるのかと、ライトは諦めた表情をした後眠りについた。